アルベール・カミュの「異邦人」と江戸川乱歩の「芋虫」が参考資料として。
生まれながらの「たびの人」で、生まれながらの「よそ者」の人生。
旅行の話ではないけれども、新潟や富山など各地での出来事に対してスポットライトを当てストーリーを展開しているのはうまいな。
自堕落なダメ男、乾ケンジロウを通して語られる物語は、軽薄なのに理屈っぽく、現実感に溢れているようで不条理で奇妙な世界感。
読んでいても楽しい物語でなく不愉快を感じるくらいの不快感。
何をどこまで描くか、どういう言葉を選ぶかは、著者の絶妙なさじ加減の為せる技だ。
ちょっと間違えると嫌悪だけで終わってしまうところ、引き込まれてあっという間に読み終えてしまえたのはさすが絲山さん。
「小松とうさちゃん」や「沖で待つ」などの他の作品を読んでみたくなる(読了)
「ニート」の短編「愛なんかいらね~」の続編。
これも読んでみたい。
<目次>
生まれる
取り立てる
好きになる
盗む
佇む
入る
解説 鹿島田真希
1966(昭和41)年、東京生れ。早稲田大学政治経済学部卒。住宅設備機器メーカーに入社し、2001(平成13)年まで営業職として勤務する。03年「イッツ・オンリー・トーク」で文學界新人賞を受賞。04年『袋小路の男』で川端康成文学賞、05年『海の仙人』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、06年『沖で待つ』で芥川賞を受賞する。
※10月のとやま月イチ読学部
芥川賞作家「絲山秋子さん」の講演会&読書会。
レトロ電車内で読書会を開催等
http://www.toyama-tsukiichi-dokugakubu.jp/
