上野正彦氏。
この方こそ、道を極めたプロフェッショナルというべきか。
彼は、死体鑑定医として、いままで検死2万体、解剖5千体を行ってきました。
「死体は語る」
圧倒的な実績から導く真実。
彼の実直な説明に共感を覚えます。
31P
私の仕事は、あくまで声なき声を発する死体の声に耳を澄ませ、そこで聞き取った真実を生きている人たちに責任をもって語って聞かせることだ。
90-91P
生きている人の言葉には嘘がある。
しかし死体は決して嘘をつかない。
解剖をした結果に疑義をとなえて、警察や保険会社、遺族などから再鑑定の依頼が上野さんのところにきます。
引き受けると、数々の資料を詳細に検討しながら最初の鑑定が間違っていたかをわかりやすく紐解いていきます。
その過程を紙面で見ているだけで、気持ちがなにか高揚してきます。
「自死ではない、事故死なのだ」
「事故死ではない、病死なのだ」
「病死ではない、殺されたのだ」
最初の鑑定の嘘を暴いていく様子は、まるで上質なミステリーを読んでいるようで、
まさにドラマチックでワクワクドキドキしています。
まえがき
1.母親からの切なる手紙
2.自殺か他殺かのボーダーライン
3.「目からウロコです」
4.お寺はなぜ燃えたか
5.ふたつの死因はない
6.父の無念さを晴らしたい
7.二転、三転……
8.温泉の湯船に浮かんだ死体
9.涙の遺骨鑑定
あとがき
元東京都監察医務院長・医学博士。1929年茨城県生まれ。東邦医科大学卒業後、日本大学医学部法医学教室に入る。59年東京都監察医務院監察医となり、84年同院長になる。30年にわたって変死体の死因解明に努め、浅沼稲次郎事件、三河島列車二重衝突事故、ホテルニュージャパン火災、日航機羽田沖墜落事件などを担当。2万件以上の検死と解剖を行ってきた。89年東京都監察医務院退官後に出版した『死体は語る』(時事通信社)は65万部を超える大ベストセラーになった。
著書に「監察医の涙」「監察医が泣いた死体の再鑑定」など。
