【No.368】死神の精度 伊坂幸太郎 社(2005/06) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

人生最後の7日間を死神によって調査され、人の死が決められる。

 

一回ではなく、終わったあとにもう一度全部読み返すほどに、死神を通してそれぞれの死について考えさせられる。

 

「たとえばさ、太陽が空にあるのは当たり前のことで、特別なものではないよね。でも、太陽は大事でしょ。死ぬことも同じじゃないかって思うんだよね。特別じゃないけど、まわりの人にとっては、悲しいし、大事なことなんだ」

 

死は、人間に平等に訪れて決して避けられない。

生と死は隣りあわせ。

花火のように、太く短く印象に残る人生もあり。

悔いのない人生を過ごしていきたい。

自分の一生がこれでよかったのかどうか、幸せかそうでないかは、死ぬときにわかるものなのだなと。

 

千葉は、雨男、ミュージック好き、クールで人ではないが人間味あり。

 

「死神の精度」の藤木一恵や「恋愛で死神」の古川朝美のお話がここでにつながったところが好き。

 

老女が千葉と出会ったとき死神だ認識し、いつも雨なのに最後に突き抜けるような青空が広がった「死神対老女」をぼくは気に入った。

 

印象に残った言葉

「誤りと嘘に大した違いはない。微妙な嘘はほとんど誤りに近い」

 

 

 

 

 <目次>

死神の精度  

死神と藤田   41

吹雪に死神   79

恋愛で死神   125

旅路を死神   169

死神対老女   233

 

 

 

 

 

1971年、千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年、『オーデュポンの祈り』で第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞し、作家デビュー。2003年、『重力ピエロ』が直木賞候補となる。2004年、『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、本書収録の『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。若い世代を中心に今もっとも熱い支持をあつめる作家。

 

 

 

 

272-273P

驚きのあまり言葉を失っている私を連れて、老女は海岸までやってきた。降り続いた雨のため、砂浜は湿っていたが、むかるみさほどなくて歩きやすい。私は海を前にして沖を望み、感嘆を洩らす。「青い」私は真上を見る。濁りのない青色が一面に広がっている。雲の欠片もなく、延々と空だ。「広いな」

老女は、私の横に立って笑いを噛み殺していた。「突き抜けるような青い空ってのはいい表現だよね」と腕を組む。「誰が最初に言ったんだろ」

「じっと眺めてると、こっちが溶け込んでいきそうだ」私は広漠たる青にうっとりしてしまう。深くも浅くも見える。際限なく広がるこの青空と、目の前で揺らぐ海が混ぜこぜになり、自分自身を飲み込んでくるような迫力を感じた。遠近感がない。

「綺麗でしょ」

私は立ち尽くして、空を受け止めるように目を瞑る。