「これまでの私の小説をぶっ壊してみたかった。
そしたらこんな作品ができました。 東野圭吾」
ラプラスって何?
―ラプラス【Pierre Simon Laplace】[1749~1827]フランスの数学者・天文学者。数理論を天体力学に適用して成功し、太陽系の起源に関して星雲説を唱えた。解析学を確率論に応用する研究も行い、メートル法制定にも尽力。著「天体力学」など(出典:デジタル大辞泉)
ラプラスの魔女が出てくる?
―342P「もしこの世に存在するするすべての原子の現在位置と運動量を把握する知性が存在するならば、その存在は、物理学を用いることでこれらの原子の時間的変化を計算できるだろうから、未来の状態がどうなるを完全に予知できる。」
ラプラスはこのような仮説を立てて、その存在は後年、ラプラスの悪魔と呼ばれる。
読んでみたらやはりさすがだと!
読みやすく楽しめるエンターテインメント小説。
東野圭吾さんらしい作品だとあのときもそう思いました。
彼は、ほぼ間違いないな。
最近のものは出版されるとほぼすべて読んでいます。
ハズレがなく楽しめますから。
安心して読めますから。
一見バラバラの事件が、理由があってどんどんとつながっています。
様々な方向から、点であったものが一本の線と結びついていくのは圧巻。
だんだんと謎が解けていくとともに出来事が複雑に絡み合っていく。
犯人や動機、被害者への繋がりなど、ヒントが巧みに散りばめられています。
夢中になって読みすすめれます。
東野さんのこれらのさじ加減はほぼ神業だと思いますね。
◎1958年大阪府生まれ。「放課後」で第31回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。「容疑者Xの献身」で第134回直木賞、「祈りの幕が下りる時」で第48回吉川英治文学賞を受賞
◎342P
「ラプラスの悪魔になるには覚悟が必要なんだ」
「数学者のラプラスは御存じですか。フルネームはピエール・シモン・ラプラス。フランス人です」桐宮玲が青江に訊いてきた。
「ラプラス?いや、聞いたことがないな」
「もし、この世に存在するすべての原子の現在位置と運動量を把握する知性が存在するならば、その存在は、物理学を用いることでこれらの原子の時間的変化を計算できるだろうから、未来の状態がどうなるかを完全に予知できる-」桐宮玲は詩を唱えるような口調でいった。
「ラプラスは、このような仮説を立てました。その存在のことは後年、ラプラスの悪魔と呼ばれるようになります。謙人君の予測能力は、このラプラスの悪魔にイメージが近いといえます。そこで数理学研究所では、彼の能力についての研究をラプラス計画と名付けることにしました。計画、と付けられるからには、最終的なゴールが設定されることになります。研究所が設定したゴールは大まかにいうと二つあります。ひとつは彼の脳内で何が起きているかを解明すること。そしてもう一つが、先程から再三話に出ている再現性の立証です。
◎436P
ボイスレコーダーをしまいながら、それからもう一つ、と謙人はいった。
「あなたはたくさんの間違いを犯しているけれど、最大の間違いを指摘しておく。大多数の凡庸な人間たちは、何の真実も残さずに消えていく。生まれてきてもこなくても、この世界には何の影響もない-さっきあなたはそういった。だけど違う。世界は一部の天才や、あなたのような狂った人間たちだけに動かされているわけじゃない。一見何の変哲もなく、価値もなさそうな人々ことが重要な構成要素だ。人間は原子だ。一つ一つは凡庸で、無自覚に生きているだけだとしても、集合体となった時、劇的な物理法則を実現していく。この世に存在意義のない個体などない。ただの一つとして」
