215P「これは、村上春樹の小説が何となく気にかかっている人たちのために書かれた本です。」
村上春樹さんは、早朝4時ごろから執筆を行い終えると運動するという朝活作家であり、国民的に大人気の日本で最も売れる純文学作家であり、またノーベル文学賞に一番近い日本人作家。
ぼくは、今まで数冊しか読んだことがないから。
村上春樹さんを称賛することができても、軽々しく批評をすることはできないな。
興味奥深くてとても魅了的な作家さんだということをぼくは知っています。
「ノルウェイの森」-大切な人を失った悲しみをどのように受け止めればいいのか。ワタナベトオルは、直子と緑という対照的な女性から生と死の意味を考える。(夏目漱石の「こころ」に値する小説を現代によみがえらせた!)
「1Q84」-暴力によって受けた深い心の傷、それを癒してくれるのは愛。父との葛藤を乗り越えるために必要なのは自分自身で納得すること。
「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」-いじめによる傷は長く人生に残る、いじめの原因は常にそれを「した側」にある。人はどうすれば過去のトラウマを乗り越えることができるのか。
「女のいない男たち」-自分の心の奥にあるネガティブな感情、それを直視しなければ、新たな希望は見えてこない。
翻訳やエッセイも含めて彼のほぼすべての全作品を取り上げています。
村上作品を読み解くためのポイントや物語の重要なキーワードを取り上げるなど、どのように読めばよいのか、図解を取り入れより深く楽しめる読み方を提案しています。
また、彼の生い立ちや日常生活、趣味、影響を受けた小説家などもふんだんに取り上げています。
これらを参照することができれば、村上春樹さんのことをすこしずつわかってくるようになれますね。
難解な村上ワールドを紐解くためのヒントが得られる良本だと思いますよ。
<目次>
はじめに
第1章 村上春樹早わかり
第2章 中編・長編がわかる
第3章 短編がわかる
第4章 村上文学の源流がわかる
第5章 翻訳作品がわかる
第6章 エッセイなどの作品がわかる
コラム
村上春樹作品年表
解説
監修:神山睦美
1947年生まれ、東京大学教養学部卒。文芸評論家、東進ハイスクール客員講師。2011年『小林秀雄の昭和』(思潮社)で第2回鮎川信夫賞を受賞
14P「デタッチメント(関わりのなさ)からコミットメント(関わり)への転換」
16P「短編小説、中編小説は長編小説を書くための練習場」
162P「人間関係の基本は三角関係、第三者が必ず存在するという共通の視点」
176P「翻訳は仕事ではなく最高の趣味であり文章修業の場である」
2P
村上春樹の作品は、中長編、短編集だけで計25タイトル。それに加えて、海外小説の翻訳、エッセイなどを含めると膨大な数に上る。「興味があるけれど、何から読み始めていいのかわからない」という人も多いだろう。
また、読んだことはあっても、「どこが面白いのかわからなかった」という感想を持つ人も多いかもしれない。作品中にメタファー(暗喩)が多用されていたり、物語が現実世界と深層意識の世界の二重構造で展開していたり、それらは大きな魅力であると同時に、作品をわかりにくくもさせている。
220P
つまり、小説いうのが、現実と違うのは、自分にとって最も気にかかることを、最後まで抱え続ける人間が登場するということなのです。そのことのために、この世界から追放され、死や破滅を余儀なくされたとしても、そうすることを宿命づけられた存在が私たちの前に現れるということなのだといってもいいでしょう。
