☆嗤う淑女 中山七里 実業之日本社(2015/02)☆ | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。




読み終えてふと顔を上げたときに、現実と虚構との間にある種の違和感が生じます。


非現実!

これが読書の醍醐味だろう。


ぼくはこんな人とはけっして知り合いにはなりたくない。


こんなおぞましい女性がいるのならば、早く警察に捕まってほしいと思った。



例えば、唆す、騙す、陥れる、操るなど、相手の人生を狂わすような話術が巧みであり、かつ美貌も兼ね備えた悪女。



これほどのに近い人がいるならば、みんなが早く気づいてほしい。



166P

「蒲生美智留という人はね、燃え上がる炎みたいな人なの」

恭子は嘲るように笑った。

「虫けらが近づいても焼け死ぬのがオチよ」


稀代の悪女のラストには驚かされます。





 <目次>

一 野々宮恭子

二 鷺沼紗代

三 野々宮弘樹

四 古巻佳恵

五 蒲生美智留





◎1961年岐阜県生まれ。「さよならドビュッシー」で「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し2010年にデビュー。ほかの著書に「追憶の夜想曲」など。


157-158P

言葉には感情を増幅させる力がある。

普段、漫然と感じていることが確固とした言葉に変換された途端、より強くそれを思い始めるようになる。

弘樹が美智留から示唆を受けたのは、つまりそういう作用が働いていた。また美智留が聡明で、かつ美しい女性であった点もそれに起因する。思慕や憧憬の念を喚起するものは、しばしば崇拝の対象になり易い。

自分を家に縛りつけようとする家族―特に父親―が自分の飛翔を妨げる敵であると認識するには、さほどの時間を必要としなかった。





168-169P

世の中が悪いのだ。

弘樹たちのような若者にちゃんとした居場所も与えない癖に、無職であることを罪悪であるかのように言う。軽率な行動なら大人だってしているのに、まるで若年層の専売特許のように糾弾する。社会のシステム自体が歪になっているのに、その責任を全て個人におしつけようとしている。それが怖くて自信のない者は部屋に閉じ籠り、匿名性をたった一つの拠り所として鬱憤を晴らし続ける。

全部、世の中のせいだ。