☆月光のスティグマ 中山七里 新潮社 (2014/12)☆ | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。




表紙の双子の姉妹がかわいいです




神戸と東日本の二つの大震災を結びつけたアイデアはなかなか素晴らしい。



神川淳平は、大人になってちょっとずるさを身に着けたものの純粋で精悍な男を演じてます。




八重樫優衣は、以前の清純な印象からどんどんかけ離れていきます。

それでも、優衣を最後まで護ろうと思う淳平の気持ちはよくわかるよ。




展開が早くてもう終わってしまったのかと思いつつ。



ラストまでワクワクして読めました。




 <目次>

一 思春の森 5

二 運命の人 86

三 恋人までの距離(ディスタンス)

四 逢瀬いま一度 178

五 いのちの戦場 230




◎1961年岐阜県生まれ。「さよならドビュッシー」で「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し2010年にデビュー。ほかの著書に「追憶の夜想曲」など





37P

中学三年、もう十四歳だから姉妹のことを異性として意識しないはずもない。こうして登下校に同行しているのは変質者に襲われた事件が未だに尾を引いているからだが、彼女たちが接近する度に女の匂いが鼻腔を刺激する。

あのミルクに似た匂いがいつの間にかこれほど変質したのか。仄かに甘ったるい匂いは、今や戸惑いを誘うフェロモンのようだった。

指通りの滑らかなそうな髪、、磁器のような素肌、すらりと伸びた手足。そのどれもが自分とは違う生き物の部品に思える。


優衣と麻衣は気づいているのだろうか。最近は、二人に接近する距離と心拍数が反比例している。






178P

縮こまった姿勢のまま視線を窓の外に向けると、異様な光景を目撃した。

はるか向こう側、二十階以上の高層ビルがゆらゆらと踊るように撓っている。スタッフ連中は中腰で机にしがみついている者、蹲っている者、壁に張りついている者と様々だが、共通しているのは全員が驚愕で呆けたような顔をしていることだ。


淳平は知っている。感情が状況に追いついていない時に、人はこういう表情をする。あまりに突拍子もないことが起きると、人間は咄嗟の反応ができなくなる。

普通であれば十も数えれば止むはずの揺れがまだ終わらない。振幅も変わらない。