☆それを愛とは呼ばず 桜木紫乃 幻冬舎(2015/03)☆ | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。




桜木紫乃さん。


愛とは双方向なのかな!




伊澤と紗希との愛しさと愛しみが交互に絡み合って、人を魔性なる狂気に変えてしまう。



そんな危うさと怖さを感じています。




これは現実にもありえるのかもしれない。




全編に漂っているある種の、背中がぞくぞくするような、鬱々とするような、じめっとするような、負の匂いや黒い背徳感。




桜木さんが描くそれらがぼくは嫌いではありません




終わりには、思いがけない展開がおとずれて度肝が抜かれます。


 <目次>

1 新潟・亮介

2 銀座・紗希

3 南神居町・亮介

4 東京・紗希

5 カムイヒルズ

6 南神居町・紗希

7 小木田と春奈

8 釧路・紗希

9 楽園の蜘蛛

10 東京・紗希

11 新潟・亮介

12 新潟・紗希




◎1965年北海道生まれ。「雪虫」でオール讀物新人賞受賞、同作を収めた「氷平線」でデビュー。「ラブレス」で突然愛を伝えたくなる本大賞、島清恋愛文学賞、「ホテルローヤル」で直木賞受賞。




108-109P

「ずいぶんと、イメージが」

その後に続く言葉を失った。陰った天候のせいなのか。身につけるものが質素であればあるほど、白川紗希の色の白さや薄い化粧や首や手足の細さ-ほどよい丸み-が際立つようだ。水商売の水に染まらぬ気配は、そのまま彼女の傷の深さを思わせた。どんな環境に置かれても、人はその場の色に染まったほうが楽に生きられる。紗希にはそうした器用さがほとんど感じられなかった。




172P

伊澤のことを考えると、胸奥に柔らかい風が吹く。彼は紗希よりも老いているぶん不幸であり、そのことを内側に隠しておける大人だった。彼の胸にある傷を素手で撫でてみたい。痛みと癒やしの均衡は、よりいっそう伊澤を輝かせ、紗希を救ってゆくに違いなかった。