☆千日のマリア  小池真理子 講談社(2015/02)★ | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。




小池真理子さんらしい哲学的な小説。


だからこそ心して読むことができました。




大人の恋が描かれた作品が入っています。


5、6年ほど少し前に読んでいたら、伝えようとしている意味がなかなかわからなかっただろう。


経験も伴っていないから。


男と女や愛と性、生と死……。



ここに出てくる物語は、当たり前のようであるが、平凡なような生き方じゃない。



一部の人たちの変わった別の人生じゃないかなと。




題名となった「千日のマリア」の義母との関係は難しいな。


そういう立場になってみないとわからない。複雑な気持ちになります。




また、「修羅のあとさき」の多幸症の女性の話は、とても印象深く記憶に残りました。



その状態が幸せともかわいそうとも誰もがそう言えないなと。


考えさせられます。


 <目次>

過ぎし者の標

つづれ織り 45

落花生を食べる女 79

修羅のあとさき 105

常夜 147

テンと月 181

千日のマリア 195

凪の光 235




◎1952年東京都生まれ。成蹊大学文学部卒業。1989年「妻の女友達」で第四二回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)、1996年『恋』で第一一四回直木賞、1998年『欲望』で第5回島清恋愛文学賞、2006年『虹の彼方』で第一九回柴田錬三郎賞、2012年『無花果の森』で第六二回芸術選奨文部科学大臣賞(文学部門)、2013年『沈黙のひと』で第四七回吉川英治文学賞を受賞






262P

潔癖さ、寛容さ、感受性、慈愛の精神、素直さ……それらが余すところなく集まって、より子という人間を作っている。真摯でまっすぐで、情は深いが、決して人の道から外れない。


そんなより子を今も深く愛し続けているであろう敏也もまた、より子に寄り添いながら、漣ひとつ立たない穏やかな一生を終えるに違いなかった。ここにいるのは、稀にみる深い信頼と確かな情愛で結びついている夫婦であった。


それは思いがけず、知美をしんと静かな気持ちにさせた。それは甘美な静けさと言ってよかった。めったに手に入れることのできない本物の安らぎ、透明で穢れのない人間の本質を見ているような気もした。

気がつくと、視界がうるんでいた。より子たちに気づかれやしなかったろうか、と慌てた。