とても温かい気持ちになりますね。
こころがほっこりとなりますね。
どんぶりチェーン店「友々家」の各支店長さんの物語です。
フランチャイズ事業部の霧賀さんが各店長をうまくつないでくれています。
個性的な登場人物たちによってハプニングだらけの内容で面白い。
みんなが「会社愛」や「仕事愛」に満ち溢れていますから、ぼくも頑張らなくてはいけないなと思わせてくれるちょっと軽めの一冊です。
<目次>
松を飾る 5-41
雪に舞う 43-82
背中に語る 83-130
一人ぼっちの二人 131-172
夢から醒めた夢 173-218
江ノ島が右手に 219-268
寄り添い、笑う 269-316
◎1966年東京都生まれ。中央大学卒業。編集プロダクション勤務などを経て、「笑う招き猫」で小説すばる新人賞を受賞してデビュー。ほかの著書に「ある日、アヒルバス」「一匹羊」など。
143P
ウマい話を並べて、重美をイイ気にさせたりしなかった。むしろその逆だ。五十歳すぎのオバサンのあなたが、ほんとうにやっていけるのか。自信はあるのか、覚悟ができているのか。はっきり言いはしない。だが重美は、霧賀の一言一句をノートに書き取りながら、彼女の言葉の端々に、その意味が含まれているのをひしひしと感じていた。
趣味の延長でなどしていられない。本気でやらねばオシマイだ。頼るひとはいなくなった。今度、失敗したら比喩でもなんでもなく、路頭に迷うことになる。
ひとりだ。私はひとりなんだ。これから私はひとりで生きていかねばならないのだ。
霧賀の説明を聞いているうちに、改めてそのことに気づかされた。
喫茶店には三時間以上いた。外は真っ暗になっていた。
190P
「みなさんの健闘を祈ります。がんばって売ってください。よろしくお願いします。エイエイオォォ」
ラスト、そう言いながら二代目社長が青白い腕を振り上げた。その寒々しさは、見ているものの心を凍りつかせた。並みのホラー映画よりも数段上と言っていい。少なくとも友々家に関わる人間が見たら、会社の将来を不安に思うのは間違いなかった。
このDVDのせいかどうかはわからない。しかしクリスマス限定ディナーセットが惨敗におわったのは、事実だ。
この失敗の責任をだれかが取らねばならなかった。発案者の二代目を降格するわけにはいかず、担当だった佐助が責任を負うことになった。そして赤道近くの小国に飛ばされたのだ。
