表紙から、背中が寒くなるようなイヤな感じがしました。
初めは読みにくかったけれども、段々と中に引き込まれました。
作中作には旧字体があり「冥婚」などドロドロッとした内容。
そうなのにもかかわらず、読後感は意外とさらっとしていました。
そんなホラーミステリーです。
◎1989年、盛岡市生まれ。岩手大学教育学部芸術文化課程卒業。2014年、『サナキの森』で第一回新潮ミステリー大賞受賞
280P
―深い森の奥處。うら寂しい、あの小夜告村―
来た時と同じように、「サナキの森」の最終ページに手紙を挟み込もうと本を開いた時。一陣の風が吹いて手紙を飛ばされそうになってしまった。
黄ばんだページが音を立ててばらばらと捲られ、虚実入り混じった黒い活字が叫んでいる。
風の仕業、と片付けてしまうのはいささか外連味に欠けるだろうか?
私はくすりと笑って、鞄に本を仕舞う。
帰ったらこの本を、もう一度祖父の書斎で読み返そうと思った。
