☆逢魔 唯川 恵 新潮社(2014/11)☆ | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。




気持ち悪いけれども、艶めかしくてとてもエロティック!



番町皿屋敷、牡丹燈篭、四谷怪談、源氏物語などの古典的な怪談物語集!



女性の深く暗い情念がありありと伝わってきます。




ぼくには、なかなか経験できない恐ろしい世界観です。




 <目次>


朱夏は濡れゆく 牡丹燈篭 747


蠱惑する指 番町皿屋敷 4982


陶酔の舌 蛇性の婬 83117


漆黒の闇は報いる 怪猫伝 119149


夢魔の甘き唇 ろくろ首 151168


無垢なる陰獣 四谷怪談 169210


真白き乳房 山姥 211241


白鷺は夜に狂う 六条御息所 243268




◎1955年石川県金沢市生れ。十年間の銀行勤務を経て、84年『海色の午後』でコバルト・ノベル大賞を受賞し、作家デビュー。


恋愛小説やエッセイで多くの読者の共感を集めている。


02年『肩ごしの恋人』(集英社文庫、04年)で第126回直木賞受賞





35―36P


それから毎夜、子の刻に露が訪れるようになった。

夜が深まっても、粘っこい暑さが引くことはない。汗と体液にまみれながら、ふたりの交わりは夜が明けるまで続いた。精を発した次の瞬間にはもう、玉茎は再び熱くたぎっている。露との交合は久遠とも思えた。身体を重ねれば重ねるほど、欲情は増してゆくばかりだ。


新三郎は自分の身体に底知れぬ力が漲ってゆくのを感じていた。食べずとも飲まずとも、疲れなど微塵もない。怠惰な暮らしの中では得られなかった生きていることの実感、それを今、噛み締めている。


夜明け前に露が去ると、新三郎は死んだように眠りに落ちる。陽が昇ってから目を覚まし、その時にはもう、子の刻が待ち遠しくてならない。

傾きはじめた日差しを感じながら新三郎は思う。朝など来なければいい。日など昇らなければいい。そうすれば、露とずっと共に過ごせる。


露、露、早く会いたい。

そなたを抱きたい。