☆アポロンの嘲笑 中山七里 集英社 (2014/09)☆ | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。



この題名にある「アポロン」のことが文章の中にあります。




306P


「不意に邦彦はアポロンの存在を思い出す。裕未から借りたギリシャ神話の本に出てくる神々の中の一人だ。



太陽神アポロンは同時に弓矢の神でもあった。その矢は自分を軽視し侮辱する傲岸不遜な相手に死をもたらしたという。





人間はある時からアポロンを軽視したのではないか。太陽の力に代わる原子力を手に入れた瞬間、太陽神を侮辱したのではないか。





邦彦の目には、この荒涼とした景色が神の火を軽視した報いのように映る。矮小な人間が自分の力を過信したゆえの刑罰のように思える。





もし天井にアポロンが実在するなら、今頃は下界を見下ろして嘲笑しているに違いなかった。

そして自分はアポロンに嘲笑されながら、悪足掻きを続ける哀れな存在に過ぎない。」






殺人事件の被疑者の加瀬邦彦が、重いを傷を負って全身をボロボロにしてまでして、どうして逃走しなければならなかったのか!




極限状態に置かれた人間があの危険な福島第一原発に行かなくちゃいけなかったのか!




ラストまでその理由がわからなかったのです。


その真実を知ってしまうと目頭がとても熱くなりました。






あの3.11の東日本大震災と原発事故をずっと忘れてはいけないし、多大な犠牲をもって教えていただいた我々日本人への教訓や知恵などを将来に向かって活かしていかねばならないと改めて考えさせられました。






 <目次>


1 脱走

2 潜伏

3 去来

4 蠢動

5 終局



◎1961年岐阜県生まれ。「さよならドビュッシー」で「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し2010年にデビュー。ほかの著書に「連続殺人鬼カエル男」「魔女は甦る」など。



52P


「大抵の人間は弱い立場に立たされると、自分より弱い者を探そうとするもんだ」