「悲劇なんかじゃない これがわたしの人生」という帯に見惚れます。
この小説は「曽根崎心中」を知っていたほうがラストを理解しやすい!
350P
「観る?何をだ」
「『異聞・曽根崎心中』を、です」加賀は答えた。
「すべての答えは、あの芝居の中にあるように思うのです」
「加賀恭一郎」が登場するシリーズは、ぼくは初めて。
彼は、警察に入るまえに中学校で二年間だけ教師をしていたという変り種。
そして、全日本の学生チャンピオンになったぐらい剣道の腕前がすごく強い!
この加賀警部補は、人間味に溢れていて、先輩、後輩など誰からも慕われる人物。
例えば、嵐の中でも前に突き進んでいける強い心棒を持っている人。
この物語は、2重3重のひねりが加えられていたミステリー
一進一退を繰り返しながら展開される捜査と少しずつ明らかになっていく真相にとても惹き込まれました。
宮城、滋賀、東京など別々の場所で、時系列的にもバラバラで関係ないような事件がどんどん繋がっていくのは素敵です。
また、捜査によって浮かび上がる読者の思いをするりと裏切りながら、さらに謎が深まると思わせつつも、伏線を回収していく展開がまさに見事というしかない。
東野圭吾さんの作品に嵌っていくのがよくわかります(^^)v
1958年大阪府生まれ。1985年『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞。1999年『秘密』で第52回日本推理作家協会賞を受賞。2006年『容疑者Xの献身』で第134回直木賞を受賞。2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』で第7回中央公論文芸賞を受賞。
他の著書に『宿命』『白夜行』『時生』『手紙』『流星の絆』『プラチナデータ』『白銀ジャック』『真夏の方程式』『マスカレード・ホテル』『夢幻花』など多数。
加賀恭一郎が登場する作品に、『卒業』『眠りの森』『どちらかが彼女を殺した』『悪意』『私が彼を殺した』『嘘をもうひとつだけ』『赤い指』『新参者』『麒麟の翼』がある。
148-149P
それからしばらく船は真っ直ぐに進んだ。川から眺める景色は、松宮にとって新鮮なものだった。万世橋の駅舎跡には明治を感じさせる雰囲気があった。そして聖橋を越えた先からは緑溢れる渓谷が続き、周囲の高層ビルがなければ、ここが東京であることを忘れそうだった。
「東京をこんなふうに眺めたのは初めてだ。」
「一方向から見ているだけでは、本質はわからないっていうことだ。人にしても土地にしても」
加賀の言葉に、たしかに、と松宮は頷いた。
