☆怪談 小池真理子 集英社 (2014/07)☆ | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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【怪談】とは、



不思議な話。あやしい話。特に、化け物、幽霊などの話―国語大辞典(小学館)


化け物・幽霊などの出てくる気味の悪い話。真相がさだかでなく、納得のいかない出来事。―大辞泉(小学館)


化け物や幽霊などに関する恐ろしい不思議な話。―大辞林(三省堂)


怖さや怪しさを感じさせる物語の総称。日本古来のものを限定して呼ぶ場合もある。―ウィキペディア


258P

「子供のころから、しばしば『死』を強く意識してきた。」

彼女の文章を読んできて感じてきた疑問が、こう理解すると丹田から納得することができます。


260P

「そこ(死)には常に、身悶えするような悲しみと虚しさがあった。気も狂わんばかりの深い喪失感。絶望。しかしそれもまた、いつか必ず、優しいぬくもりを帯びたものに変わっていった。そうさせてくれるのは、他ならぬ死者たちなのだ、ということをそのつど思い知らされた。」

「死」の近いところに彼女は常に身を置いていて、日頃からずっと考えていたんだなと思います。


261P

「本書には七つの短編を収録した。その中のいくつかに、私自身が、あるいは私の周辺の人間が、実際に体験したささやかなエピソードが織りこまれている。といっても、別にそれは、身の毛もよだつ恐怖体験、というわけではない。日常生活において、ふと感じた何か、異形のものの気配、といったことにすぎない。」


小池真理子さんは、文章表現が鋭い。

主人公などを使ってうまく説明している。

用例や言葉の意味をよく知っている。


例えば、「座敷」


読んでいると、その場所に行ってしまいます。

情景を目に浮かぶような、実際に目の前で見ているようで、その座敷にいるような感覚になります。


じつは怪奇な話というより幻想的なのかな。

「全身の産毛が、ぞわり、と立ち上がるような感覚を覚える」ように、背中が静かにぞっとしました。


「幸福の家」もよかったな。結論がびっくりして面白い!


暑い時期に読むべきなのかな!と一瞬思ったのだけれども、物凄くおどろおどろしい話ではないから、夏にこだわることはないと思います。


生者と死者の境界を淡くゆるやかに描いた幻想怪奇小説集。



 <目次>


岬へ 36

座敷 3770

幸福の家 71109

同居人 111147

カーディガン 149186

ぬばたまの 187221

還る 222-258

あとがきにかえて 259-261



1952年東京都生まれ。成蹊大学文学部卒業。1989年「妻の女友達」で第42回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)、1996年『恋』で第114回直木賞、1998年『欲望』で第5回島清恋愛文学賞、2006年『虹の彼方』で第19回柴田錬三郎賞、2012年『無花果の森』で第62回文化庁芸術選奨文部科学大臣賞(文学部門)、2013年『沈黙のひと』で第47回吉川英治文学賞を受賞



56P 座敷


「真由美ったら」と私はできるだけ優しく、しかし、冗談めかして言った。「こういう旧い大きな家で、雨の夕暮れどきに、その手の話をするのは悪すぎない?私、怪談に弱いのよ。でもって、今夜、私はこのお屋敷に泊まるわけだ。勘弁してよ。冗談きついよ」