京都の街にひっそりと佇む喫茶店“タレーラン”を通して繰り広げられる数々の事件。
「こういう喫茶店に通いたいなあ!」
登場人物から発せられる言葉から「あっ、そうなのか!」とまずは驚かされます。
次に、そうなるような伏線を思い出しながら「なるほどな!」とうならされます。
でも、またそれが後半には覆させられますね。
著者さんの術中に嵌りましたね。っていう感じ。
スリルがあって面白いよ!
頭脳明晰な女性バリスタ、切間美星さんの事件簿!!
<目次>
プロローグ 彼女の夢
第1章 拝啓 未来様
第2章 狐の化かんす
第3章 乳白色のハートを壊す
第4章 珈琲探偵レイラの事件簿
第5章 (She Wanted To Be)WANTED
第6章 The Sky Occluded in the Sun
第7章 星空の下で命を繋ぐ
エピローグ 彼女はカフェオレの夢を見る
◎1986年、福岡県生まれ。京都大学法学部卒業。第10回『このミステリーがすごい!』大賞隠し玉として、『珈琲店タレーランの事件簿また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』でデビュー。現在は寺院勤務
21―22P
「良いコーヒーとは、悪魔のように黒く、地獄のように熱く、天使のように純粋で、そして恋のように甘い―そんな格言を残したフランスの伯爵の名を店名に拝借するだけあって、タレーランのコーヒーは大変に美味である。
どんな名店にも香味の面で引けをとらないことは、数多の店をたずね歩いてきた僕が保証する。
ただ、それら名店の陰に隠れ、僕が通い始めた頃のタレーランはあまり繁盛しているとは言えなかった。オーナーが地主を兼ねていることもあってか、採算にこだわらず長年マイペースな経営を続けてきたらしい。それでも店を潰さずやっていけるのだからうらやましいものだ。」
111P
「あ、あぁ、よろしく」
勢いに呑まれ、反射的に握手する。そのとき僕は彼女の肩越しに、何とも形容しがたいが決して好意的ではない念のようなものを感じた。
その発信源にたたずむ小柄な女性バリスタから目を逸らしながら、僕は思う―これは厄介な<ひと夏>になりそうだな、と。
