将来に亘って読み継がれる大作。
以前から興味を持っていた本。
友人からのご縁があって手に取り読むことができました。
かつてテレビ番組になっていた作品。
スマップの中居さんが主演されていたものです。
犯人が、関川!?ではないのかと初期の段階で簡単にわかるようなのですが、実はそんな簡単なものじゃないのです!
犯人を断定するまでには、最後まで読まないとわからなかったのは流石。
今西刑事が、様々な推理をたてながら細い糸を辿り寄せ、なんとか犯人を追うことを試みています。
しかしながらが、あと一歩のところで犯人に先手を打たれるのです。
その苛立ちは、行間を通してぼくのココロに訴えてきます。
方言などの言語学や超音波などの音響学に関する専門知識を使いながら、分かり易く説明してくれている点がすばらしい。
また、主人公の和賀の出生に関する戸籍の取り扱いは、よく調査されられているなと感嘆しています。
今、読んでも新鮮なものとして、感動を受け容れることができるはずです。(昭和35年ごろの作品)
砂で作られた器は、雨が降り風が吹くのち、いつかは跡形もなく流れ去ってしまうものなのか。
うわべだけの虚栄は、いつか露見するものなのか。
「砂上の楼閣」のような人の虚像は、いずれ崩れ落ちるものなのか。
<目次>
第1章 トリスバ―の客
第2章 カメダ
第3章 ヌーボー・グループ
第4章 未解決
第5章 紙吹雪の女
第6章 方言分布
第7章 血痕
第8章 変事
第9章 模索
第10章恵美子
第11章彼女の死
第12章混迷
第13章糸
第14章無声
第15章航跡
第16章ある戸籍
第17章放送
◎1909‐1992。小倉市(現・北九州市小倉北区)生れ。
給仕、印刷工など種々の職を経て朝日新聞西部本社に入社。41歳で懸賞小説に応募、入選した『西郷札』が直木賞候補となり、1953(昭和28)年、『或る「小倉日記」伝』で芥川賞受賞。58年の『点と線』は推理小説界に“社会派”の新風を生む。
生涯を通じて旺盛な創作活動を展開し、その守備範囲は古代から現代まで多岐に亘った。
「しかし、彼は何か恵美子の行方に暗い翳を感じる。はっきりとした理由でなしに、いわば予感のようなものだった。
警察は、いつも事件が起こったあとでなければ、捜査権を発動するわけにはいかない。犯罪予防の点では、警察は全く無力なのである。
被害が生じて、はじめて警察が動く。予感だけでは捜査はできない―。
今西は過去の経験で、何度かこういう矛盾につき当たっている。」
「今日もめぼしいものは何もなかった。会議の空気は、焦燥と疲労だけである。
それが連日のようにつづくと、懶惰にも似たものが疲労の上に、滓のようにおりてゆく。」

