世代間交流が少ない現状に、子どもをあらゆる世代と接する必要性をわかりやすく強く訴えています。
この状況を打破するよう、現世代のぼくらに一石を投じた本でした。
タイガーマスクの伊達直人氏などの名前を借りて、各県で児童福祉施設にランドセルなど児童に必要な品物を寄附されたというニュースが何年か前にありましたよね。
それを聞くにつけて、「まだ日本は捨てたもんじゃないな」と思っていました。
人のために何かをする、売名行為じゃなくって、心がこもった品物をおくることで、寄付の思いに、目頭を熱くするようなその気持ちのすがすがしさを感じたのです。
数十年前のぼくがまだ小さい頃、祖父や祖母がおられる三世代同居が周りに普通にありました。
祖父、祖母、兄弟などの親族が普段から家におられるということは、家族のやさしさに包み込まれた、心あたたかい家庭が身近にあったのです。
他世代とともに暮らしていると、生活態度や考え方などで、日々無意識のうちに、いろいろな常識を教えていただいていたんだろうなと思います。
自分を形成している性格のうちには、大変良い影響を与えていたと思うのです。
それが大きな大切な意味があったことなのです。
しかしながら、昨今は、親と子どもだけの核家族や独りの単身世帯が増えてきています。
たしかに、自分の好きなことが気にせずにできるから、日々の生活は楽なのかもしれないのです。
誰にも干渉されないし、一人っ子の場合には兄弟もいないし。親以外はあまり関わらないから、うざくないしうっとおしくないのかもしれない。
でも、このままでいいのでしょうか?
他世代と交流がないこの状態は、長い人間の歴史の中では当たり前だったのでしょうか。
ほぼ同じ世代や年齢としか接しないような状態のままでよいのでしょうか。
今からこれから改善することで何かできることはないのでしょうか。
これからの社会を担う世代が、このような状況のまま将来大人になっていきます。
我々が、将来安心して年齢を重ねていくことができないようで大変不安な気持ちです。
親族、祖父や祖母、兄弟などに相談できるような形で抑止や歯止めがあったのに、DVや家庭内暴力、自死(自殺)の増加など負の連鎖が続くのには、こんな家庭環境が影響を与えているのではないかと思ったりするのです。
こういった状況の下、まさしくぼくが感じていた疑問に対して、大きなヒントを与えてくれたのです。
「昨今、子育ては、親に責任がふりかかりすぎていないだろうか。あたかも「そんな子にしたのは親のせい」とでも言わんばかりの空気が、日本中に充満している。」と。
なぜ親以外の周囲の人々は子育てに参加しなくなり、親だけが子育ての責任を負う空気ができあがってしまったのか。
子どもの育つ環境や親の負担について、社会学の視点を用いて考えています。
また、他世代との関わり、養護性などについても言及しておられます。
さらに、国家資格である社会福祉士に世代間交流の調整・連携の役割を担えばよいのではという提言があります。
世代間交流が少ない現状に、子どもをあらゆる世代と接する必要性をわかりやすく強く訴え、この状況を打破するよう、現世代のぼくらに一石を投じた本です。
☆1972年生まれ。慶応義塾大学卒業、PennsylvaniaState University大学院修了。博士(Ph.D.,社会学)
西武文理大学サービス経営学部准教授。NPO法人日本世代間交流協会理事
主な著書に、「社会福祉を学ぶ」「親になれない親たち」「社会福祉調査」など。
