よくこういった面白い小説がかけるのかと百田さんの懐の深さには、ほんと感心しますね。
彼が毎回全然違うメニュー(本)を出してくれるからこそ、ぼくははまるのです。
「夢を売る男」とは、お客さまが本を出版させる夢を叶えさせる男のこと。
191P「客にとって、本作りは夢なんです。自らの虚栄心や自己満足を満たす夢なんです。」
213P「(本を書くこととブログを書くモチベーションと)共通しているのは強烈な自己顕示欲だ。根底にあるのは、自分という存在を知ってもらいたい!という抑えがたい欲望だ」
とても共感。確かにそうだと思いますね。
本を出すことで自分が世の中でここにいることを、ほかのみんなに知ってほしいから。
全体を通じてけっこうブラックなお話ですよ!
自費出版業界の裏話をこんなに世間一般に赤裸々に露わにしてよいのだろうか!と疑問に思っています。
156P「印刷所がやっている自費出版は、基本的に著書からの受注で作るもんだから、刷った本は全部著書のものだ。
だから著書はそれを友人に売ろうが配ろうが自由だ。
しかしうちの本は丸栄社のものだから、著者は友人に配ろうと思えば、うちから買い取らないといけない。
もちろん、著書特典ということで、八掛けくらいで売ってやるがね」
ここが面白い、百田尚樹さんが自分のことを卑下して書いているところ。
206P「かといって、元テレビ屋の百田何某みたいに、毎日、全然違うメニューを出すような作家も問題だがな。前に食ったラーメンが美味かったから、また来てみたらカレー屋になっているような店に顧客がつくはずもない。しかも次に来てみれば、たこ焼き屋になってる始末だからな―」
「馬鹿ですね」
「まあ、直に消える作家だ。後世に残る作家というのは、常に新しい読者を生み出す小説が書ける作家だ。ある世代の人たちに熱狂的に受け入れられても、その世代が消えたらお終いだ。」
百田さんが後まで残り続けることができる小説家をこうなんだと定義しているところがいいですね!
179P「まあ、そんなわけで現代では、表面的なことに憧れて小説家や物書きを目指す人間は多い。またそういう奴でも、運がよければなれてしまうのがこの業界なんだ。
しかし本来、小説家なんて職業は物語ることに取り憑かれた人間がなるものだと思う。
面白おかしいホラ話を語らずにはおれない異常な情熱を持った人間だ。本当に才能のあるのはそういう人間だ」
<目次>
第1章 太宰の再来
第2章 チャンスを掴む男
第3章 賢いママ
第4章 トラブル・バスター
第5章 小説家の世界
第6章 ライバル出現
第7章 戦争
第8章 怒れる男
第9章 脚光
第10章カモ
◎1956年大阪生まれ。同志社大学中退。放送作家として「探偵!ナイトスクープ」など多数の番組構成を手がける。「永遠の0」で作家デビュー。他の著書に「海賊とよばれた男」など
