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[simju]の詩集

紡ぐ言の葉の箱

黒猫と主人
初出1995
016

黒猫と主人

Lyrics/詩麻

 

価値と重さを考えてあの猫はいつも彼女の部屋にいたい

あいつの黒い毛を彼女の醜いところに搦めて

主人に逃げられないように

 

彼女に起こり得る全ての可能性をその爪で否定し

主人の求めるべき全ての欲望をその牙でうえつけ

 

彼女の重さを その名を奪う そのもののみに変化させ

彼女は主人となる

 

その後でその猫にははじめて名前がつけられる

それは主人の名である
初出2005年10月09日20:53 一部改編
You are free
Lyrics:詩麻

「楽しかったよ」
「幸せだった」
でもそのコトバは意味をなさないんだよ

なんで同じコトバをあげれないんだろう
ココロが凍り付いたままだから?

たくさんのキモチや風景を革袋につめて
深い緑の淵にゆっくりゆっくり沈めて

うきあがる泡の糸をながめながら
ゆっくり片目で泪した

たくさん狂わせてしまったね
たくさん浪費させてしまったよね

夢の世界でみるキミの姿はナニもかわらず
でも俺は狂ったままで

たくさん狂わせてしまったね
たくさん泣かせてしまったよね

川縁で進めず 座り込んでいたから
キミの船のロープをはずして俺が押してやるから

キミを自由にしてあげる



「冷たいの?」
「暖かかったよ」
アナタのコトバが何よりもやさしくて

なんで同じコトバをあげれないんだろう
ココロが凍り付いたままだから?

たくさんのキモチや風景を届けたくて
ただあいに行く ゆっくりココロ鎮めて

弓張り月の空を眺めながら
ゆっくり両目で泪した

たくさん星を見上げたままで
たくさんアナタは浮遊しているんだろう

夢みる世界でのあなたの姿はナニもかわらず
でも俺は狂ったままで

たくさん星を見上げたままで
アナタのウタを唄いつづける

川辺でうごけず 座り込んでいたから
躯を冷やしすぎて でもなぜかあたたかい

あなたのキモチが自由で あれば

あなたのキモチが自由で さえ あれば




初出1995年
豚の海 とこしえの枕
Lyrics:[simju]

腐敗している 躯のすべてが

太陽のあたらない 豚の海

浸かる我 斑の肌 洗っても洗っても
耳 鼻 声 すべて豚のそれ 同化というそれ

※はりつけよう 空に天使を
あの陸へ泳ぎわたろう
浄化されよう 唯一の節理で


あなたの形を思いだして とこしえの枕

横たわる白き肌 思い出してる
腰 瞳 声 すべてきみのそれ 同化というそれ

※はりつけよう 空に天使を
あの陸へ泳ぎわたろう
浄化されよう 唯一の節理で

海をゆくのか 躯のすべてが
暖かい光 夏に茂る樹(いつき)

見上げる枝葉 ふりそそぐShine

声 声 声 すべて ただひとつのそれ 自己というそれ

はがれおちた空から天使は

あの陸に舞い降りて

根付く大地に

その樹の下で とこしえの枕

とこしえの木漏れ日よ

終わることのない昼
限りなく続く夜

あなたとねむる とこしえの枕
花束
Lyrics:詩麻

夢の中
記念日に花束を買う

いつもの
夢の中
あの店で花束を買う

いつもの
見覚えのある路地を通りながら

電話する

つながらない


いつのまにか知らない道

夢の中

花束はわたせないまま
キミを探して
狂いそうに走りだす

覚める  

そこでそれが悪夢だと知る
現実に帰ることはまた悪夢に帰るということ

夢のなかに忘れた花束
せめて誰かが夢で拾って いけていますように

届くことなど望むことではないのだけど
ただ枯れるために買われた花束ではないのだから

(初出2005年08月14日19:12)