百田尚樹 著 『夢を売る男』 | 国道179号沿線住民とっ散らかりブログ

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第一印象は「なんという皮肉を毒舌、そして自虐感が満載
出版社を敵に回したといわれても、仕方がない内容」になってます。
百田氏って、作風(題材)が、全部違っている希な作家ですね。

主人公の「夢を売る男・牛河原」は、出版社の編集部長。
新人賞などのイベントを催しては、選に漏れたといっては
応募してきた作者に「このまま埋もれては惜しい」と、出版を薦め
費用を作者と折半することで、出版を持ちかけて本を作らせる。
その上がりが主な収入源である意味、詐欺まがいな手口なのだが
どんな「クソ作者のクソ本」であれ、本を出すという野望がある以上
「作家デビュー」させてやってるのだからという意味で「夢を売る男」
であり、口のうまさもあって訴えられたことはないんです。

しばらくすると同じような出版社が現れ、安さを武器にシェアを取られていく
のを食い止めるべく、あのの手この手で画策し、最後には倒産まで追い込んで
物語は終わっていきます。

4章の中に、出版業界が抱える現状が細かく書かれています。
ご存知のように業界全体は右肩下がり、それにもかかわらずタイトル数は
増えていく一方。
年間8万タイトルにも及び、この点数というのは1日に直すと200冊
一日あたり200冊もの新刊が発行される。
この数は異常ともいえる数で、書店に配本すらされないこともあれば
新刊でも売れなければ、あっという間に平積み台から消えていく。
早くて一週間、普通で二週、一ヶ月以上積まれている本はよほどの話題本か
有名作家によるもの。
なので、本屋で見かけないから配本していないとは、いえないんですね。

そして5章が面白い、自虐が満載。
よく考えたら今の時代、本が売れなくて当然。
単行本の相場が1500円~1800円もするのに、文字しか書いていない。
映画館で一本観ることのできる金額でもあり、レンタルDVDなら300円前後
TVはほぼ24時間やってて無料であれば、よほど面白い本でもなければ
購読されることはないんですね。
1500円~1800円も出して読む価値のある本が、どれだけありますか?
ってことなんです。
この中で、作家という人となりをこれでもか、というぐらい扱き下ろしてます。
「大丈夫か?」とこちらが心配するぐらいの、書きたい放題。
自身のことも「こんな毎回題材の違う作家なんて売りにくくてしょうがない
百田なんて作家、すぐに消えるよ」と、自虐することで
免罪符にしようとしている部分では、笑っちゃいましたけどね。

永遠の0、影法師と2作読みましたが、今回のはこれらとは全く毛色の違う
作品ではありました、いい悪いは別にしてね・・・