750℃で焼く緑色


 一つ例を出してみよう。


 葉っぱの色をこれから出す事にしよう。

良く見ると葉っぱの色は単純一色の緑だけではないよね。 

濃い緑、薄い緑、淡い緑、透明な緑もある。

 

 磁器に緑色を付ける場合、色の濃い緑を出すためには黒色を混ぜなければなりません。この黒い色だすための原料は“マンガン”を利用します。

(でも実際にはマンガン鉱だけに限らないその他値段の高い銀もある。他にスズ、亜鉛も混ぜると中々いい色になる。)


 緑色をだす原料である銅と、黒色をだすマンガンを混ぜて濃い緑色にしていくんだが、、マンガン鉱を5%?10%?20%?・・というふうにね。

でも簡単には思った色は出せないんだ。


なぜだかわかります??

素人にきくなって(笑)?


 ここからが前回はなした大きな障害であり、複雑な方程式を解かなければいけないところ。

 それは、『最も適した緑色(銅)を出すには750℃が適しているが、よい黒色(マンガン鉱)を出すには1000℃位が適している』 からなんです。


 つまり、適切な色を出すためには必ずこのような温度差の壁にぶつかるんです。だから温度差の矛盾を克服しなければならない。

 そのため、さらにそのほかの金属鉱を混ぜるなどして、温度差の妥協点を見つける研究努力をしなければならないのだ。



 此れでお分かりかな?

 たった一色を出すのに何度も何度も試験をしてやっと深みのある葉っぱの緑色を出す事が出来るんですよ。


 実は薄い色、淡い色、透明な色を出すとなると何十年もかかってやっとその色を探し出して来たんだよ。

 

 磁器のデザインは10年・20年の幅で理解できるもんではないといのが結論なんだ。


                                         

続く!




                プリントデザインについて


皆さんは学校で図画工作授業科目がありましたよね。

学校の外に出て写生した経験があったのを誰でも憶えているはずです。


これから目の前の風景を描くとしましょうw

 1)山の緑 

 2)お花のピンク・赤 

 3)青い空 


こういった風景を描くには、それぞれ1)緑 2)ピンク・赤 3)青 の絵具を使って色を出したのではないだろうか。


 そこで、私が今回お話したいのは1)の”山の緑”です。

緑色と一言でいっても色々あります。例えば、山の峰々・麓・森林の色を出そうと思っただけでも、緑・青・黄・黄緑・白・黒、などを混ぜてさまざまな緑色を演出しませんでしたか?

 そこで解り易くするために”緑色一色”だけに絞って説明しよう。 



                      緑色


 図画工作の時間ではパレットを利用しながらオリジナルの緑色と他の色を混ぜながら自分の出したい緑色を出しましたよね。


 何が言いたいかといいますと、それは常温の20℃前後での色のお話なんですです。 

 しかし磁器の表面に緑色を出すのは思ったほど簡単ではないんです。

極めて難しい隠れた裏ワザが必要なんだ。

(ここからはちょっと裏方の話になりますが、ちゃんとついて来てくださいよ(笑))


                 

               温度設定(プリント焼成温度)


 磁器の上に緑色を出すにはある原料がいるんだ。その原料とは銅です。


此の銅は磁器を焼く際、摂氏700℃から750℃位で焼くと最も色つやがいいの緑色がでます。しかし、それを超える高温で焼くとその色が徐々に黄みを帯びた薄い茶色に変化してしまいます。

 緑色を出したいのに薄い茶色になる、、。それでは困りますよね。 


素人の目からすると単純にこう考えてしまいません??(かつての私がそうでしたw)

『じゃあ、茶色にならないようにちゃんと700℃~750℃で焼けばいいじゃん!』 と。



現実にはそう簡単ではないんですよ。実はそのためには大きな障壁を越えなければならないからです。

さあこれからが複雑な方程式を解くことになるんだよ。



続く!!


                    製造方法の違い


 皆さん、日本製とヨーロッパ製の磁器の値段の違いが少しは分かったと思います(陶磁器知ったかぶり第十一号 ~)と言いたいところですがw、日本とヨーロッパの歴史的背景だけを知っても物足りませんよね。


 そこで今回から数回に分けて、私たち陶磁器のプロが見る、高い磁器と安い磁器の絵柄の良し悪しの見分け方をお話しましょう。

ちょっと深~い話になってしまいますがついて来て下さいねw


 先ずその前に、陶磁器を作る過程から簡単におさらいしてみよう。

(陶磁器知ったかぶり十七号を参照してね)

 

 1)原料である・・・粘土

 2)形を作る・・・・ 型

 3)色つやをだす・釉薬(ゆうやく)

 4)焼成(しょうせい)作業 (窯にいれて焼く作業)

 5)プリント作業 (絵や柄を付ける作業)

  プリント焼成作業

 6)検品作業



 この工程の 5)プリントデザインとプリント焼成作業 に限って説明していきますよ。

 


続く!



歴 史 的 の 違 い


 このように二百年以前は“利用する為の和製磁器”と“鑑賞する為の西洋磁器”とで

見る目・取扱いのスタンスがまるで反対でした。

 言い変えれば、日本の磁器は日常生活品からスタートし、その反対に西洋では高級品からスタートし今日現在に至っているんです。


 日本と西洋とでは磁器の歩み方が全く違った為に、異なった考え方の開きが現在まで繋がったのではないかと私は結論付けています。


 そのため同じ食器を眺めても日本人は高いと感じ、西洋人は安いと感じるのではないかと私は思っています。

 お皿一枚三千円が

  日本人にとっては『そんな値段は馬鹿じゃないの!』 と感じてしまい

  西洋人にとっては『まあまあいい値段』  と感じてしまう。


こういった感情は磁器の歴史的背景に由来しているのではないでしょうか。 




ご理解して頂けましたでしょうか?

私自身が磁器の歴史を辿(たど)って海外を歩いてきた結果に導いた独自の理論です。


それとも納得できない?

でもほんのちょっとはご理解をw


続く!!



                     西 洋 で は


 西洋での食器のあゆみ方は日本とはかなり違う。


はじめの第一歩は高級品を目的に“上流階級のみの鑑賞用”に作られていたのだ。

つまり、西洋では一般市民の手の届く安価な雑器は全く作られなかったんだ。


 その為ヨーロッパのミュージアムに入ると当時作られた豪華絢爛たる磁器しか見る事が出来ない。

 ヨーロッパでは磁器が発明された初期には人形ばかり作られていたが、後に入って食器が作られるようになると、お皿の表面は豪華絢爛たる装飾をそのまま画いたようだ。


                     食 事 風 景


 上流貴族のみに作られた芸術的“鑑賞用”のお皿がテーブルに置かれるようになると、並べられたお皿はどんな扱いをされていたのか私たちの想像を絶するものであると推測できる?


食器の取扱いには極めて慎重に、しかも恐る恐る運んでいたに違いない。

料理を食べる人にとってもそれこそ出された食器を傷つけてしまうのではないか、割ってしまうのではないかとヒヤヒヤしながらナイフ・フォーク・スプーンを使っていたのではないだろうか。(それほど神経をとがらせて食べていたかもしれないねw)


 いやはやこの“大変に疲れる食事風景を一度見てみたいものだ(笑)”


 私たちが子供の頃、お皿に乗った肉をナイフとフォークで切るとき、『音を立てるな!』と叱られたのも、こうした過去の実状を踏まえての話かもしれないねw

 

 皆さんも洋食を食べる時『マナーが悪いぞ!!』と言われた経験が(笑)?

 

                                            続く!!