我が家のシステムは、それなりには人様に自慢できる程度のものですが、中でも一番のお気に入りは、最もコスパに優れているスピーカーです。

決して、最もお金がかかっているから、という理由ではありません。

だって、B&WのノーチラスN804ですよ。
それなりのお値段ですが、「なーんだ、その程度か」と仰られる方も多くおられることでしょう。

しかし侮るなかれ、このスピーカー、今でこそ、Maranzの真空管プリメインにつなげてますが、かつては、ニュージーランドのPliniusという1000W A級アンプとアメリカのConrad Johnsonの真空管プリアンプ Premium○○(忘れた・・・)の組み合わせを見事に鳴らしきってくれていた、逞しい奴なんです。

それこそ、どうして日本の家屋にN802やN801なんぞ必要なんだ?
と思ってしまうくらい、これは衝撃でした。

ただ、今のこのシステム、どうも相手にされないとすねるタイプのようで、真空管アンプを温めるのに15分間くらいかかるのに、その後、さらに
10分くらいかけないと、まともな音で響いてくれないのです。ケーブルのバーンインが済んでないような状態と言えば、分ってもらえるでしょうか?

まあ、そんなこんなで、気に行った音で聴くのにも辛抱が必要なのです。
一番聴きたいCDの前にウォームアップ用CDを聴かなくちゃならないってのも・・・どうにかならんか~?

せっかく大金をはたいて高級なスピーカーを手に入れても、セッティングが間違っていてはどうにもなりません。

特に、日本の家屋の場合、スペースの制限をかなり受けるのは間違いなく、ハイエンド・スピーカーを狭い場所に押し込めるのは、首を傾げざるを得ません。

もちろん、スピーカーからの直接音を楽しむ方と、部屋の反響音を含めて楽しむ方の二通りがあることは確かなので、最終的には人それぞれということになるのでしょうが・・・。

ただ、限られた部屋のスペースの中で、最も効率的なスピーカー選びが出来ればそれに超したことはないでしょう。

そこで、お薦めなのが、Card as Audioのホームページにある、黄金比率なのです。

http://www.cardas.com/room_setup_main.php

私自身、引っ越しのたび、このセットアップを参考にしていますので、興味のある方は是非お試しください。

私のリスニングルームといえば、リビングルームか車の中ですが、正直言って、圧倒的に車の中で聴いている時間のほうが長いのです。

クラシック音楽を車の中で聴くなんて・・・という声も聞こえてきそうですが、残念ながら、それほど時間を持て余しているというわけではないので、ご容赦ください。
こうした環境下でふと思い当ったことなのですが、
カラヤンがベートーヴェン交響曲集やブラームス交響曲集を何度も録音し直したのは、その時代にあった最高レベルの録音技術で自分の音を残したかったからなのではないでしょうか?

そうすることで、たとえ車の中であっても、自分の音だけは誰よりも美しく響かせる!それこそ氏の矜持ではなかったか、などと、車の中でふと考えました。
単なる思いつきに過ぎませんが、カラヤンのCDを車の中で聴いてみると、それほど美しく響くのです。

過去の私を含め、カラヤンの輝かしい音が苦手だという人は多くおられるようです。しかし、そういう人は騙されたと思って、一度車の中で聴いてみてはいかがでしょうか?
ふとした瞬間に香り立つ芳香に思わず恍惚となることがあると思います。これこそ、今まで多くのアンチ・カラヤン派の方々が聴き逃してきたカラヤンの魅力の一つではないか、最近、そんなことを考えるようになりました。

カラヤンの目指したものは、クラシック音楽のファンの裾野を広げるため、音とレパートリーの豊富さという二つの戦略でもって、グローバル企業にも通じる経営学をベルリン・フィルに徹底させることだったとも思われます。そして、その目論見は戦後から70年代にかけては見事に的中したと言ってもよいのではないでしょうか?
フルトヴェングラーが率いたドイツの優良企業を、グローバル企業まで発展させたのがカラヤンであり、ベルリン・フィルがカラヤン帝国と言われた所以であります。しかし同時に、それこそが、少なくない方々に敬遠される一因にもなっていると推察します。特に、匠好みの日本人にとっては、その経営学自体が受け入れ難いものだったのかも知れませんね。