※追加 R5.11.7

【1966年】(1)特捜隊の収録回・未収録回・欠番回で、3月22日に高校教師さんから頂いたコメント未承認を、本日になって気づき承認、自分のコメントにお詫びと桜井良子の見解について書きました。

大変失礼いたしました<(_ _)>

 

 

【第4回再放送】が終わって市販された、

特別機動捜査隊 スペシャルセレクション<デジタルリマスター版> [DVD]

のVoL.1-6の全巻は、2020年12月から2022年11月の間、約2年かけて視聴録アップを終えました。当方としては、あとは、自分の調べられる範囲で「特捜隊のDVD未収録回・収録回・欠番回」を編年的にまとめ、のんびり記述するつもりでした。

 

ところが、2023年の1月になり、コメント欄高校教師さんより

>第7弾5枚組30話収録。立石班のみの構成

で新たにDVD-BOX発売の情報が寄せられ、急遽、突貫工事で「特捜隊のDVD未収録回・収録回・欠番回」をまとめる方針に変更、終了次第、新たなDVD-BOXを観賞・視聴録をつくることとしました。

「特捜隊のDVD未収録回・収録回・欠番回」は幸いにも2023年8月に書完しましたが、今回の新たなDVD-BOX(結局、VoL.7,8の立石班2巻が発売)を観賞することで、さまざまな箇所に訂正・追加・削除等が出ると思いますが、その点はご了承ください。書き方は、従前の方式を踏襲することを原則とします。

 

市販品なので、

(あらすじ)などストーリーの本質にかかわるところは伏せ、

スタッフやキャスト、また(備考)・(ネタバレしない範囲での一般的感想のみ

にとどめます。

将来、東映chなどで、一般的視聴されるようになったら書き加えていく予定です。

 

※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また、1963年公開の、映画版・特別機動捜査隊全2作とは趣が異なることに注意。

 

配役名表記が有るため、従来の「発声のみの役名については平仮名表記」「オープニング・エンディングの表記と、劇中発声・表記が異なるときは、後者を優先」する原則に戻り、以下本文を表記します。例外は、その都度(備考)で示します。

 

☆・・・#334  煙が目にしみる

特別機動捜査隊(第334回)煙が目にしみる

 

 

 

(収録DVD)・・・VoL7、disc3、2023年4月12日発売

(本放送)・・・1968年3月20日

(脚本)・・・西沢治

(監督)・・・北村秀敏

(協力)・・・警視庁

(協賛)・・・常磐ハワイアンセンター

(助監督)・・・稲垣信明

(劇中ナレーター)・・・島宇志夫

(捜査担当・オープニング表記)・・・立石班

西本捜一係長(鈴木志郎)、鑑察医(仲原新二)、鑑識課員(上田侑嗣)、

鑑識課員(新田五郎)、事務員(佐藤敏子)、橘部長刑事(南川直)、

荒牧刑事(岩上瑛)、森田刑事(北原隆)、岩井田刑事(滝川潤)、

松山刑事(松原光二)、立石主任(波島進)

 

(出演者・オープニングまたはエンディング表記)

・・・劇中優先のため配役名表記を省略

国島英慈、加川淳子、浅見比呂志、小井戸利行、浅沼創一、青山宏、柏三七子、

加藤恒喜、沢田和子、佐々倉英雄、磯野則子、小笠原弘子、打越正八、徳久比呂志、

榎本英一、小林テル、雪比呂志、大友町子、乙黒一、佳川ヨコ、本間文子、

江見俊太郎

 

 

(あらすじ・予告篇から)

・・・ ※当時のナレーションをそのまま聞き写しています。

 

音楽家の夢を描いて、故郷を遠く離れた青年の挫折・・・。

追い打ちをかけるがごとく、水野殺害事件の容疑が、この青年の周辺に渦巻く。

いたたまれぬ望郷の想いは、青年を古里(フルサト)へとかきたてる。

が、想い出の地は、すでにそこに無く、常磐ハワイの新しいイメージをもとに、

昔の仲間も恩人も、新しい生活に邁進する姿をそこにみるのであった・・・。

(略)

その青年はいかなる生き方を見い出すのであろうか!?

次回、「煙が目にしみる」に御期待ください。

 

※ストーリーの本質に触れる部分はボカします。

 

 

(備考)・・・

【1968年】(1)特捜隊の収録回・未収録回・欠番回で、当該回の事前調査済み。

・福島県いわき市へのロケ作品。そのなかでも、常磐ハワイアンセンターは当作の約2年前の1966年にオープン(1990年にスパリゾートハワイアンズと改称)。この点、当作の約40年後の映画「フラガール」(2006年)は、施設側からの視点という点で、比較してみると興味深い。

・ゲストの歌手・佳川ヨコについては、ブログ「記憶に残る歌手たち」の「忘れた頃に佳川ヨコ」(2006年10月4日更新)に詳しく、そこで紹介された「君こそわが命」「銀座のマリア」の曲は、YouTubeで聴くことが出来る。

・劇中で、#319 おんなの ブルース【スペシャルセレクション】に出演した扇ひろ子の「新宿ブルース」が流れる。

・西本捜一係長の登場場面が見当たらない。後年、オープニング表記されながらも登場しない準レギュラーのパターンは、このころからあったようである。

・1968年本放送の当作では、杉並区阿佐ヶ谷を舞台としているが、「阿佐ヶ谷」(1〜6)の町名は1965年を最後に廃止、wikiによると現在の「阿佐谷北1〜6、阿佐谷南1〜3、本天沼1、下井草1」を指す。劇中のある場面では、法面の下を走る総武線が映るが、上記該当地域には小高い丘が無いとみられるため、撮影場所は杉並区阿佐ヶ谷以外で行なわれたと考えられる。

・またロケ地では、福島県湯本町と表記されるが、湯本町は1954年に常磐村と合併して常磐市となり、旧湯本町は常磐湯本と呼ばれていた。さらに1966年には、常磐市は他の市町村と合併、いわき市となり、常磐ハワイアンセンターが誕生した。以上のように、劇中の杉並区阿佐ヶ谷、福島県湯本町とも実際の歴史とは、やや齟齬がある。

 

 

(視聴録)・・・開始約分半まで

(ネタバレしない範囲での一般的感想)

主な関連人物をまとめますと以下のとおりです。

(演者は・・・の次に、判明出来る俳優名を表記)

 

 

〇東京サンライズ・バンドマスター・宗方・・・・・青山宏

〇同・顧問・水野京太郎・・・・・・・・・・・・・江見俊太郎

〇水野の隣家未亡人・つちだ玲子・・・・・・・・・柏三七子

〇水野家の近隣夫人(3人) ・・・・・・・・・・・・小林テルほか

〇水野家の近隣住人・寺島(寿司屋店主)・・・・・・佐々倉英雄

〇バーみどり・マダム

〇同・バーテン・堀内淳一・・・・・・・・・・・・浅見比呂志

〇同・ホステス・麻里・・・・・・・・・・・・・・沢田和子

〇同・ホステス・・・・・・・・・・・・・・・・・磯野則子

〇不良青年・江上武・・・・・・・・・・・・・・・浅沼創一

〇同・三好登・・・・・・・・・・・・・・・・・・小井戸利行

○いずみ荘・男性管理人

〇湯本町長谷駐在所巡査・・・・・・・・・・・・・打越正八

〇常磐ハワイアンセンター・フラガール・夏子・・・加川淳子

○同・歌手・・・・・・・・・・・・・・・・・・・佳川ヨコ

〇ギター奏者・田代英次・・・・・・・・・・・・・国島英慈

〇英次の母・・・・・・・・・・・・・・・・・・・本間文子

〇英次の旧友

 

 

「110番からの通報に接した特捜隊・立石班は、直ちに杉並区阿佐ヶ谷の事件現場へ急行した」(ナレーションから、訂正無しで抜粋)

夜も更け駆けつけた立石班は、捜査を開始。死体発見現場は水野ギター教室の門前横、うつぶせの死体の背中にはナイフが刺さっていた。そして鑑察医は、死後まもない状態であり、その他にも刺傷が1か所(合計2か所)、出血多量死と立石主任に所見報告。立石主任は、さらに発見者のギター奏者・田代英次に聞きこみを進める。

「発見者の証言により、被害者は水野京太郎というギター奏者で、ジャズバンド・東京サンライズの顧問を務め、今、死体の前にある水野ギター教室を主宰していた」

(ナレーションから、訂正無しで抜粋)

そこに現場調査をしている岩井田から声がかかり、立石主任が近寄ると、血痕が現場から点々と先に続いている痕跡であった。。。

 

翌朝、鑑識からの解剖報告を持った岩井田が、特捜隊本部に入室。立石主任・橘に、死亡推定時刻は昨夜10時半前後、死因は所見通り出血死、背中の刺傷2か所は同一ナイフによるもの、刺さっていた方は深く肺にまで達しており、ナイフ付着の指紋に前歴無しと報告した。

現場近くでは、荒牧・森田・松山が聞きこみ。水野家の近隣夫人の4人に聞いたところ、水野は人柄・態度など高評価されており、現住所に越してくる前に水野は夫人を病気で亡くしており、一人暮らしの愛妻家とのことだった。

「一方、被害者・水野京太郎が顧問をしていたジャズバンド・東京サンライズの事務所を訪ねた立石主任と岩井田刑事は、バンドマスターの宗方から・・・」

(ナレーションから、訂正無しで抜粋)

突っ込んだ話をしてみると、宗方から、水野が夫人と死に別れた話を否定される。別れた「妻たち」はみな健在であり、女性関係は派手なのだが、なぜか自分のギター教室の生徒には手を出さないなどの情報を得ることが出来た。そこで立石主任は、相手の女性たちの詳細を聞くことになる。

 

特捜隊本部に戻った立石主任は、水野と(妻も含め)交際のある女性の写真7枚をまとめ、橘・松山そして佐藤事務員に見せる。呆れた口調の佐藤事務員だが、橘は痴情の線もあるが隣家のつちだ玲子の写真に着目、松山も玲子が水野家の近隣夫人の4人のひとりであり、わざわざ水野の愛妻家ぶりを口にしていたことに着目する。これに立石主任は、玲子が現場に最も近い家に住んでいることも有り、2人の意見に同意する。

と、そこに聞きこみ中の荒牧・森田から無線連絡。近隣住人の寺島から、昨夜10時ごろ、ギター教室の横丁を歩いてると、近所でも悪い評判しか聞かない不良青年、江上武・三好登が現われ、金を融通されたというものだった。中でも江上はナイフをちらつかせて迫ってきたこともあり、寺島は金は持っていないと言って逃げ、事なきを得たという。この報告から、立石主任は、江上・三好を追うよう指示を出す。

 

「一方、被害者・水野京太郎と関係があったと噂される隣の未亡人・つちだ玲子をあたった岩井田刑事は・・・」(ナレーションから、訂正無しで抜粋)

門前で玲子へ聞きこみをするも、玲子は水野との関係を否定。そこで岩井田は、未亡人なのにどうやって生計を立てているのかを問うと、玲子は亡夫の遺した株の話をするが、岩井田の質問の真意に気づいたのか、話を打ち切り家の中に入ってしまう。そこに、聞きこみのさなか、別動隊として玲子宅の勝手口でお手伝いに聞きこみをしていた松山が合流。玲子は水野家に出入りしているのがたびたびで、昨夜10時ごろ、玲子は出かけてくるといって30分ほど外出したことが明らかになった。

一方、江上・三好を尾行している荒牧・森田は、丘の上で堀内という男から6千円を強請りとっているのを目撃。そして、5万円だった約束の金額を揃えられなかったことに、三好が「こうなれば堀内の『あのこと』を、警察に話してやろうじゃないか!」と叫んだところに、荒牧・森田が近づくが・・・。

 

 

上記本文の前には、例により、「立石班の知らない場面」が描かれています。アパートの窓に腰掛け、ギターを爪弾く英次に管理人が電話を取り次ぎ、相手は水野という男性と伝えます。そして、電話に出た英次に、水野は「今夜10時に来てほしい」「話の続きをやろう」「結論を出そう」「君はギターを持って来るんだぞ」など話しますが、英次からは話をした形跡はありません。

夜道では、江上・三好がナイフを持って誰かを襲おうとしているようですが、ナイフを持っての襲撃は初めてなようで、震えが止まらない仕草をしています。

そしてあるワンシーンを挟み、ギターを持った英次が現われ、水野家の呼び鈴を鳴らしますが、ふと横を見ると足元をふらつかせた水野が現われ、「英次くん・・・、やられた・・・」と呟き前に倒れます。そして、水野の背中にはナイフが刺さっており、英次の驚いた表情がアップになり、上記本文の冒頭に繋がります。

 

 

当作は、開始約25分後半までは「東京篇」で容疑者を絞り込み、それ以降は「福島篇」で真相解明に至る構成です。面白い西沢治の構成に加え、器用にポイントをまとめあげる北村秀敏監督の演出も冴えているのですが、「時間という宿命の壁」があり、物足りなさが残る印象です。

特に、上記本文でも挙げた

(1) ナイフに残った指紋

(2) 現場に残された血痕跡

の点は、時間があれば解消できたのではないかと考えます。

というのが、(1)については「残すこと」がストーリー展開の核であるのですが、最後まで観賞した側からは、犯人の置かれた状況なら拭き取らないか? の疑問が湧くのです。そこで、時間があれば、拭き取らなかった意味、描写をつくりだすことが出来るので、何とかできなかったかの思いがあります。

(2)についても、「東京篇」の後半で、水野がどこで刺されたか? なぜ刺されたか? という点がクローズアップされるので、せっかく岩井田が発見した物証をそのまま触れずにラストというのは、どうにも納得しづらいものがあります。これだったら、最初から、物証発見には触れないほうがマシではないかとも考えます。

この2点は、視聴録を書くとき再度観賞したのですが、やはり目を瞑るまでできない粗であります。「時間という宿命の壁」を越えるのはなかなか難しい。。。

 

しかし、これらを除けば、全体的は平均値はクリア出来ているといえます。いわゆる、誰が本当のことを言っているのかわからない「藪の中」状態を、時間軸、次元軸の操作により納得出来るつくりにしています。例えれば、探偵小説を上手く映像化することに成功した感じです。上記で下線を引いた、あるワンシーンもその一例です。

この技法は、少し記憶も薄れていますが、当作の約8年後の#768 悪女がいっぱいでの山崎大助監督の技法に酷似しています。ただ、どちらかというと、北村秀敏監督の技法を、山崎大助監督が自家薬籠中の物にしたかという印象です。

上記本文の中でも、怪しい人物が

・未亡人・玲子

・不良青年・江上武

・不良青年・三好登

と挙げられているのに、上記本文以降は

・バンドマスター・宗方

・バーテン・堀内淳一

・ホステス・麻里

までもが怪しいと思える流れになるのは、西沢治脚本、北村秀敏監督の功績だと思われます。

 

さらに、後世からの目でいえば、「福島篇」に常磐ハワイアンセンターが登場するのも印象深い。というのが、自分自身が映画「フラガール」(2006年)を観賞していたこともあり、故郷で立て直しを図る者、故郷から離れる者、の構図が当作でも上手く描かれていたと感じます。「フラガール」は前者に重きを置いた作品でありますが、当作は後者に舵を切った人物が、果たして救われるか否かを描いた作品であります。

特捜隊では、故郷から離れる者を描いた作品が多々見受けられますが、当作は福島ロケを上手く活用した成功作のひとつであり、検証本に(内容)として全く触れられていないのは、いかにも惜しい。今回の、【スペシャルセレクションシリーズ】VoL7発売をきっかけに、目を通してくれる方々が増えてくれればと思います。

 

以上のことから、佳作の出来にあることは確定できますが、観賞した側の世界観などにより、「佳作⇔秀作」の範囲のポイントが異なる作品ともいえます。個人的には、滋賀ロケの直前作#333 夜明け前の故郷【スペシャルセレクション】から続く、「歌」をベースとした福島ロケ作品としても意義があり、上記本文の短所を何とか包み込んだ佳作よりやや上の出来にあると考えます。