【第4回再放送】が終わって市販された、

特別機動捜査隊 スペシャルセレクション<デジタルリマスター版> [DVD]

の作品から抽出しました。

市販品なので、

(あらすじ)などストーリーの本質にかかわるところは伏せ、

スタッフやキャスト、また(備考)・(ネタバレしない範囲での一般的感想のみ

にとどめます。

将来、東映chなどで、一般的視聴されるようになったら書き加えていく予定です。

 

※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また、1963年公開の、映画版・特別機動捜査隊全2作とは趣が異なることに注意。

なお、オープニングやエンディングで配役名表記がされない作品については、従来の「発声のみの役名については平仮名表記」の原則だと平仮名だらけの文面となります。そこで役名・地名等は、検証本その他を引用、あるいは当方での当て字により、以下表記します。

配役名表記が有るため、従来の「発声のみの役名については平仮名表記」「オープニング・エンディングの表記と、劇中発声・表記が異なるときは、後者を優先」する原則に戻り、以下本文を表記します。例外は、その都度(備考)で示します。

 

☆・・・#324  刑事の ブルース

特別機動捜査隊(第324回)刑事のブルース

 

 

 

(収録DVD)・・・VoL4、disc2、2021年3月10日発売

(本放送)・・・1968年1月10日

(脚本)・・・西沢治

(監督)・・・北村秀敏

(協力)・・・警視庁

(協賛)・・・土肥町観光協会、土肥観光ホテル

(助監督)・・・坂本太郎

(劇中ナレーター)・・・島宇志夫

(捜査担当・オープニング表記)・・・立石班

西本捜一係長(鈴木志郎)、鑑察医(仲原新二)、鑑識課員(上田侑嗣)、

鑑識課員(新田五郎)、事務員(佐藤敏子)、橘部長刑事(南川直)、

荒牧刑事(岩上瑛)、桃井刑事(轟謙二)、岩井田刑事(滝川潤)、

松山刑事(松原光二)、立石主任(波島進)

 

(出演者・オープニングまたはエンディング表記)

・・・劇中優先のため配役名表記を省略

神戸一郎、松川純子、菅野直行、長島隆一、川部修詩、天坊準、春江ふかみ、

西朱実、内藤綱男、三川雄三、日暮里子、大原百代、志摩夕紀子、藤原めぐみ、

水沢摩耶、森秋子、紅理子、進藤幸、下川清子、松島量子、山辺潤子、杉山登、

市川夫佐恵、河合美和、島田芳子、今井恵美子、三木宏祐、西智子、庵下千恵子、

小野川公三郎、吉田一恵、和田孝男、伊藤慶子、早瀬主税、宮原栄子、田島光男、

川奈美佐、

(東映演技研修所)

=渡辺義文・松元陽一・梅津千恵子・剣持和佳・中島和美、

京極昌子、夏川かほる、舟橋元

 

 

(あらすじ・予告篇から)

・・・ ※当時のナレーションをそのまま聞き写しています。

 

・・・・・・・・(路面の十円玉を拾った眼鏡男、別の人物に近づく眼鏡男の場面)

眼鏡男の声 「十円を笑う奴は、十円に泣くんだ! 何億の金も十円からだ!」

・・・・・・・・(以下、ナレーション)

金に憑かれた男の門出は、無残な死によって断たれた!

金をむさぼり、金に溺れる者・・・。

また、金に縛られる者・・・。

こうした、金を操る糸を手繰(タグ)って、捜査は開始された。

一心に働く姉思いの少年が、

醜い現実の犠牲者になろうとしていることを知った一刑事は、

その潔白を叫んだ!

しかし、事件のからくりは、少年を窮地へと落とし入れていった・・・。

温かい愛にうたれながらも、厳しい捜査に苦悩する若い刑事の姿を追った、

次回、「刑事のブルース」に御期待ください。

 

※ストーリーの本質に触れる部分はボカします。

 

 

(備考)・・・

・当作は、約6年半後に#677 十円玉の謎 でリメイクされた。

・土肥町は、現在の伊豆市。2004年4月1日に、土肥町・修善寺町・天城湯ヶ島町・中伊豆町が合併して伊豆市となった経緯がある。

・ゲスト主演刑事を神戸一郎が演じていることで、ふと当作の約1年半後に、本放送された#400 警察官【スペシャルセレクション】 を思い起こす。ただし、配役名は、当作が戸川、後年作が武藤ということで、ストーリーは連結しているものではない。

・なお、神戸一郎は、当作より以前の特別機動捜査隊(第177回)若い刑事 でも、所轄署刑事・島野を演じていた(検証本102頁)というが当方未見(註・【第1回再放送】で現存)。

・検証本177頁の(出演)に、「畠山みどり、村上不二夫、北原義郎」とあるが、当作にはエンディング表記されていない。直前作#323  初春壽捕物控 大江戸卍絵図【スペシャルセレクション】 への転記ミスと思われる。

(追加)R4.10.31

【新聞掲載記事から】捕えた犯人"801回"・NET「特別機動捜査隊」によると、特捜隊最高視聴率33.7%の記録を持つ作品である。

 

 

 

(視聴録)・・・開始約分半まで

(ネタバレしない範囲での一般的感想)

主な関連人物をまとめますと以下のとおりです。

(演者は・・・の次に、判明出来る俳優名を表記)。

 

 

〇橋爪金融・社長・橋爪善市・・・・・・・・・・・・舟橋元

〇同・社員・伊沢・・・・・・・・・・・・・・・・・内藤綱男

〇民謡酒場さのさ・仲居・田宮啓子・・・・・・・・・松川純子

○同・歌手・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・京極昌子

〇啓子の同僚仲居(2人)

〇啓子の姉・恭子・・・・・・・・・・・・・・・・・志摩夕紀子

〇啓子の弟・良太・・・・・・・・・・・・・・・・・菅野直行

○良太の勤務先朝日新聞販売店・店主

○同・店主の妻・・・・・・・・・・・・・・・・・・進藤幸

〇バーMIMI・マダム  ・・・・・・・・・・・・・・・水沢摩耶

〇クラブモンターレ・マスター・黒木   ・・・・・・・川部修詩

〇同・マダム(黒木の妻))

〇同・ホステス・むらせマヤ・・・・・・・・・・・・紅理子

〇マヤの同僚ホステス(4人) ・・・・・・・・・・・下川清子、他

〇不良青年(青ブルゾン男)・・・・・・・・・・・・小野川公三郎

〇青ブルゾン男の兄貴分(しんたろう)

○事件通報者(2人)

○現場近くの住人(男)

〇江波ブリキ店・社長 ・・・・・・・・・・・・・・・三川雄三?

〇社長の妻

〇社長の息子・江波敏郎(トシオ)・・・・・・・・・・・杉山登

○江波の恋人・島なおみ ・・・・・・・・・・・・・・藤原めぐみ

〇江波の弟・勉 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・渡辺義文

〇勉の通う小学校担任・なかにし綾 ・・・・・・・・・夏川かほる

〇橋爪宅の近隣主婦(4人)  ・・・・・・・・・・・・大原百代、他

○辻野家・夫人

〇パール商事・社長 ・・・・・・・・・・・・・・・・長島隆一

〇喫茶店ポール・マダム

〇土肥観光ホテル・女将

〇同・女中(3人)

〇釣り堀・店主

〇東新宿署刑事・戸川 ・・・・・・・・・・・・・・・神戸一郎

〇同・戸川の同僚刑事 ・・・・・・・・・・・・・・・早瀬主税

○同・婦警・みなかみ

〇同・巡査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・田島光男

 

 

風呂帰りの男2人が高架下を歩いていると、チェック柄服男(後に、東新宿署刑事・戸川と判明)が青ブルゾン男と兄貴分らしき不良青年数人に囲まれ、襲われていたのを目撃。急ぎ、110番通報しようと近くの電話BOXに行くと、その近くで倒れている男をも発見した。

「通報を受けた特捜隊・立石班は、直ちに新宿、かげつ町の事件現場へ急行した」

(ナレーションから、訂正無しで抜粋)

すでに東新宿署の刑事・警官総出で不良青年たちを確保、戸川も青ブルゾン男に手錠をかけ、職務を全うしていた。

男の死体について、鑑察医は、鋭い刃物で一突き、死亡後間もない所見を、橘も、死体の右手に十円玉が握られていたことを、それぞれ報告。立石主任は、電話をかけようとして襲われたものかと考え、さらに発見者2人から状況を確認する。

「所持品から、被害者は四谷本町○番、橋爪善市43歳で、新宿に事務所を持つ金融業者と判明。胴巻の中から出てきた8冊の銀行通帳は、本人名義で、その預金総額は1億円を超えていた」(ナレーションから、一部ボカして抜粋)

しかし、立石主任は、遺留品の財布に五百円札1枚しかないことが気がかりだった。

 

「直ちに行われた現場付近の聞きこみは成果も無く、翌朝を迎えたが・・・」

(ナレーションから、訂正無しで抜粋)

桃井が現場近くの住人から聞きこむところに、立石主任も合流。住人の会社帰りの昨夜11時前のこと、橋爪が電話をかけようと電話BOXに入ろうとしていたところ、20歳くらいの青年が割り込み、口論のあげく橋爪が地面に倒されたのを目撃。その青年は、サングラスをかけマフラーに金色ブローチをつけていたということだった。

と、そこに特捜隊本部の松山から立石主任に無線連絡。橋爪の解剖結果から、死亡推定時刻は昨夜11時前後、凶器は刃渡り13cm、幅1cm7mmの大型ナイフ、橋爪以外の指紋が検出されたが前科者リストには無いというものだった。

「被害者・橋爪善市に喧嘩を売った若い男を、土地の愚連隊とみた立石主任は、所轄の東新宿署を訪れ、捜査の協力を要請した」(ナレーションから、訂正無しで抜粋)

そして、戸川が兄貴分を取り調べのところに、立石主任・桃井も加わり、ブローチ男のことを追及する。すると、島なおみという女性からブローチをもらった江波敏郎のことを話し出す。

そこで桃井・戸川で、江波の実家である江波ブリキ店を訪れると、父からは、江波は勝手に勤めを辞め、昨夜も出かけたまま帰ってこないこと、母からは、父の頑固もあり江波を庇う素振りがみられた。そこで、戸川は桃井に、ブローチを渡した女・なおみをあたりたいと提案する。

 

「一方、立石主任と橘部長刑事たちは、被害者・橋爪善市の身辺を洗うべく、それぞれ橋爪の事務所と自宅に急行した」(ナレーションから、訂正無しで抜粋)

橘・松山は、自宅近辺で主婦4人に聞きこみ。橋爪には妻子がいたが、家族を養うのは金がかかると5年前に追い出したこと、最近近くの川に十円落としたからと半日川底を探していたこと、「十円を笑うものは、十円に泣く」というのが口癖なこと、などを聞き出す。さらには、時々朝早く若い女性が訪ねてきては、「金を返して」「妥当な金額は支払済みだ」と言い合い、女性が今に暴力団や愚連隊を使ってでも取り立てると絶叫していた情報も得る。

立石主任・荒牧・岩井田は橋爪金融を訪れ、貸付者名簿を調べながら社員・伊沢に聞きこみ。伊沢によると、橋爪がおしぼり会社(後に、パール商事と判明)の一社員から独立して1億円を稼いだことを絶賛、借りた人もみんな感謝しており、今どき月1割の利子は常識だという。とそこに、和服姿でむらせマヤと名乗る女性が訪れ、橋爪へのお悔やみを述べ、短いつきあいだったが善い人を亡くしてしまったと話し出す。立石主任は、これが橘から報告のあった自宅前で橋爪に取り立てを要求していた女性(註・報告場面無し)と目を見張るのだった・・・。

 

 

当作は、例により序盤(上記本文以前)に「立石班の知らない場面描写」があるのですが、(備考)で明らかにした通り、当作の約6年半後に#677 十円玉の謎 でリメイクされます(以後、リメ作と略)。ですので、詳細は、過去ブログ記事に譲りますので、ここでは触れません。

なぜ、このような書き方になるかというと、当作もリメ作も脚本・西沢治であり構成はまったく変更した様子は見られません。ところが

○監督:北村秀敏→伊賀山正光

○捜査班:立石班→矢崎班

の大勢における変更面、さらに

○所轄署刑事:戸川(神戸一郎)→中野(水村泰三)

○金貸し:橋爪善市(舟橋元)→橋田嘉市(高品格)

○水商売女性:むらせマヤ(紅理子)→瀬戸マヤ(夏川圭)

のキャステイングの変更面から、さまざまに思うところがありました。

 

一番大きいのは、

○金貸し:橋爪善市(舟橋元)→橋田嘉市(高品格)

の違いです。リメ作は、高品格の個性が強く出過ぎ、

>橋田のあまりな非道さに、犯人を連行する矢崎班が悪く見え

てしまったことであります。これに対して、舟橋元といえば「新選組血風録」「燃えよ剣」の朴訥とした近藤勇(註・誉め言葉の意)を思い出す自身としては、意外なるキャステイングの驚きでありました。それゆえ、事件を追及する立石班が悪く見えることも無く、所轄署刑事とのぶつかり合いも嫌味に感じることはありませんでした。

 

また、

○所轄署刑事:戸川(神戸一郎)→中野(水村泰三)

の点で、#400 警察官【スペシャルセレクション】 (以下、参考作と略)を事前に観賞していたこともあり、当作とは無関係ながらも、そこでの

>立石:7年か・・・、俺とは長い付き合いだな・・・。

に代表される、立石主任との師弟関係を思い起こし、(当作での)純粋な気持ちで「ある人物」を応援する所轄署刑事の姿にうたれるのです。これは、神戸一郎の個性によるものが大きく、リメ作での水村泰三よりも大きな存在感を持って、当作のラストにも影響を与えています。これが、観賞に大きく影響を及ぼしていたことは否定できません。

 

さらには、

○水商売女性:むらせマヤ(紅理子)→瀬戸マヤ(夏川圭)

において、特捜隊ゲストで脇役に徹していた紅理子が、当作ではキーパーソン的役割を果たし、これはリメ作での夏川圭と同等の役柄であったことも着目すべき点です。紅理子のその後のキーパーソン的役柄といえば、おそらく#721 続・刑事はつらいよ で、石原刑事(吉田豊明)を苦境に陥れるパーマ風の女性を演じたくらいなので、当作でのインパクトは大きい。

当作とリメ作とを比較すると、細かく時間をチェックしたわけではありませんが、リメ作と比べ、紅理子が演じたマヤの場面描写に時間をとり、その分なおみ(藤原めぐみ)の場面描写を減らしたようにも見受けられます。これは、監督さんの演出もあるのでしょうが、当作でマヤを重要人物として演出したのが北村秀敏監督で、リメ作で島村ユキ(浜野暁美)を重要人物として奥多摩ロケまで引っ張ったのが伊賀山正光監督であったようにも感じられます。

 

ただ、こういう見方も、スペシャルセレクションシリーズの収録順だから起こった現象で、自身が【第1回再放送】から順に観賞していたら、おそらくこのようにはならなかったと思います。リメ作を観賞したときに、せいぜい「そういえば以前に原型作があったなあ」くらいで終わり、高品格の非情なる演技に驚いていただけかもしれません。その意味では、観賞の順番や収録の有無はなかなか難しいものがあります。。。

 

関連して、興味深い記事が讀賣新聞に公開されていました。

「特別機動捜査隊」「キカイダー」…ドラマ発展期1200冊の台本 鹿児島・鹿屋 北村元監督宅で見つかる(讀賣新聞オンライン・2022/01/06 15:00)

 

この北村元監督というのは、言わずと知れた北村秀敏監督のことで、

>北村監督が担当した番組の台本には、カット割りや撮影スケジュールなどが自筆

>で書き込まれている。セリフの削除や加筆もあり、演出の意図を読み解くことが

>できる。「キカイダー」11話は、良心を持つ敵ロボットをやむなく倒したキカ

>イダーが涙を流す場面で終わるが、台本ではこの後も仲間のセリフや場面が続い

>ている。北村監督はこの部分に×印を付け撮影で丸々カットしており、ドラマ性

>を重視して変更したとみられる。

とあり、単に脚本をそのまま映像化するのではなく、創意工夫をした器用さがうかがえるのは特捜隊の各作品で触れてきたのですが、そのことは、当記事からでも明らかになりました。

自分は、当作とこの記事を対比させて思うのですが、どの監督さんも良い作品を創ろうとする気概はありつつも、キャスティングや制作側の意向で捻じ曲げられることは多々あるかもしれません。ひどいときは、自分の意にそぐわぬ作品が出来てしまうこともあるでしょう。しかし、北村秀敏監督に関しては、短所ばかりに終始した作品に巡り会ったことは少なく、短所があっても長所もあるという、バランス感のある監督さんという印象が強いのです。脚本への書き込みやコンテ作りはどの監督さんもやっているでしょうが、上記抜粋を読み返すたび、北村秀敏監督は「脚本の映像化」に腐心したひとりといえると思います。

(追加)R4.1.27

ちなみに人造人間キカイダー11話は、「ゴールドウルフが地獄に吠える」(本放送・1972年9月23日)で脚本は長坂秀佳! wiki引用の「仮面ライダー Vol.5 2004」によると、『 自身(註・長坂秀佳のこと)が参加する前は「主人公が正義と悪の間で悩む」という最大の特色が活かされていないことに憤慨した』とあります。北村秀敏監督が、「良心を持つ敵ロボットをやむなく倒したキカイダーが涙を流す場面」の後、「仲間のセリフや場面」をカット、人間らしいキカイダーを強調してエンディングという事実は、長坂秀佳脚本を視聴者にわかりやすく創意工夫した証左とも考えます。