※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また、(出演者)は、エンディングで、一列~三列で表示された男優・女優に限定しました。

1963年公開の、映画版・特別機動捜査隊全2作とは趣が異なることに注意。

 

☆・・・#746  愛僧の炎

 

 

 

(本放送)・・・1976年3月3日

(再放送)・・・2020年2月6日

(脚本)・・・元持栄美

(監督)・・・天野利彦

協力)・・・無し

(協賛)・・・北陸・山代温泉、山代グランドホテル、全日空

(捜査担当・オープニング表記)・・・三船班

田中係長(山田禅二)、鑑識員(田川勝雄)、鑑識員(西郷昭二)、

関根部長刑事(伊沢一郎)、石原刑事(吉田豊明)、水木刑事(水木襄)、

松木部長刑事(早川雄三)、畑野刑事(宗方勝巳)、三船主任(青木義朗)

 

(出演者)・・・

西尾美恵子、富山真沙子、平野康、二瓶秀雄、森田めぐみ、大原百代、姿鉄太郎、

伊東正博、岸野一彦、藤野章、池田恭子、黒部進、水村泰三、葉山良二

 

 

(あらすじ・予告篇から)

・・・ ※当時のナレーションをそのまま聞き写しています。

 

断ち切られた愛を、求め続ける女・・・。

それは、愛を持続させるためなのか? 捨て去るためなのか?

求め続けた愛に、立ちはだかる女・・・。

冷たく黙し、最後の糸を断ち切ろうとする男・・・。

冬の凍てつく風の中に、殺人者として追い込まれていく女・・・。

そして今、第2の殺人が!

波荒れる海岸に立ち尽くす青年は、憎むべき女の弟・・・。

己の立場を利用して生きる男の、最後の行動は?

憎みあう女たちに、蒼い炎が燃え上がるとき、

事件は求めあう(註・聞きとれず)人間たちを、

ゆっくりと切り裂いていった・・・!

次回、特捜隊、「愛憎の炎」、御期待ください。

 

 

(備考)・・・

#740 汚れた18歳 、#746 愛僧の炎 は、脚本・監督は異なるものの、ゲスト出演がほぼ同一、三船班主体なことから、ロケまとめ撮りと推察される。

・エンディング表記では、昭子=森田めぐみとあり、後年の五十嵐めぐみが、#740 汚れた18歳 に続いてのゲスト出演ではあるが、実見すると出演場面は見当たらない。

#739 あの子が危ない など、過去の特捜隊作品に共通しているのが、この当時の預金の通帳作成・引出などであり、現在よりも緩く本人確認を行わなかったことがうかがえる。

 

 

(視聴録)・・・開始約11分後半まで

 

木原加奈江(西尾美恵子)は、小松空港へ向かう飛行機内で、男女の写る写真を見つめながら、昨夜の出来事を思い出していた。加奈江は、中年男(二瓶秀雄)の部屋を訪れたところ、襲いかかられ、とっさに側にある果物ナイフを持ち、身構えたのだったが。。。

 

加奈江の搭乗中、その中年男はマンション自室で死体となって発見され、三船班は検証に当たっていた。死亡推定時刻は昨夜10時前後、死因はナイフによる刺殺と思われるが、後頭部に激しい打撲傷もあるため解剖結果待ちであった。遺留品は、果物ナイフのほか、本人のものと思われる極東レーヨン・総務部長・板倉秀彦の名刺、写真付きの大友圭一(平野康)の履歴書、何かが写ったネガフィルムがあった。さらに、畑野のマンション住人(姿鉄太郎)への聞きこみで、昨夜10時ごろ、女が中年男の部屋から出てきたという目撃証言が得られた。

 

そして、関根・石原は現場死体写真、名刺を持ち、極東レーヨンを訪問。受付嬢(池田恭子)に聞きこむと、板倉は現在来客中だけでなく、写真の中年男は板倉では無いということが判明。そこに、手が空いた板倉秀彦(葉山良二)が現われ、関根・石原と部長室で話すことになった。すると、中年男は自分と同姓同名だが身分を騙っていたようで、先日、青年が面会希望ということで、秘書・中西しんたろう(黒部進)が案内してきたときの出来事を話す。

その青年は、就職のため板倉と名乗る中年男に履歴書を渡したり金を工面していたが、板倉本人と面会して(註・以降は板倉と名乗る中年男=偽板倉と称する)、ようやく偽板倉に騙されていたとわかったという(註・関根、石原は、履歴書のこともあり青年が圭一と認識する)。

また、履歴書から、圭一の部屋を捜索する畑野・水木は、板倉秀彦名義の通帳と印鑑を発見、今日の日付で200万引き出されていることがわかり、銀行でも圭一が引き出しに来た証言を得る。

 

これらを特捜隊本部でまとめていた三船主任に、石原から、偽板倉は圭一と知り合う3か月前までは業界紙記者だったが、会社の金を横領して馘首になった報告がもたらされる。さらに、水木からも、圭一の部屋の追加捜索で、圭一あての現金書留封筒が3通残されていたと報告され、その差出人は山代温泉の大友久美子(富山真沙子)という女性であった。

 

その久美子は、自宅で「ぜんさん」と名乗る男(水村泰三)と雑談していた。ぜんさんは、記憶を失い山代温泉に現われ1年になるが、久美子と弟・圭一の写真を見て何とも言えない表情を浮かべる。久美子の「家族はいないの?」という問いにも、自信なさげなのか「いたかもしれない・・・」と呟くのだが、お互い仕事の時間が近づいていることもあり、出かけることになる。ぜんさんは、久美子の知人・くぼ(岸野一彦)が支配人をしているホテル・よろづやで働いており、そこで2人は分かれ、久美子は仲居として働いている山代グランドホテルに向かう。

と、小松空港を降り山代温泉の街並みを歩いていた加奈江は、久美子の姿を見かけ、その後を追う。加奈江の持つ写真には、山代温泉近くの那谷寺(ナタデラ)で夫・良三と一緒に歩く久美子が写っていたからであるが、久美子は良三なる男の存在、ましてやぜんさんと瓜二つであることなど知る由も無く、加奈江もぜんさんの存在を知る由も無かった・・・。

 

 

ストーリーはその後、偽板倉の周辺捜査となり、自宅マンションに向かった三船主任・石原は、合流した松木から、3年前離婚した妻(未詳)にはアリバイがあるとの報告を受けます。そこに郵便配達員(藤野章)が偽板倉あてに現金書留封筒を届けたのを、石原が事情を話し代わって受け取ります。そこには、現金のほか

>前略、先日は、本当に奇遇だった。

>しかし、私は君との偶然の出会いも、懐かしんでいるわけにはいかなくなった。

>今の私は、ここにいることを、誰にも知られたくない、特に女房には・・・。

>同封の金、誠に不僅少(?)だが、私の心をくみ取りお納めください。

>くれぐれも女房には、私の所在を知らせないでください

と手紙が添えられ、差出人は山代温泉の木原良三であり、後ほど、現場で発見されたネガフィルムを現像すると男女(註・視聴者は、加奈江の持つ写真と同じものであることがわかります)が写っていることが判明、三船班の目は山代温泉へと注がれていきます。

 

一方、久美子に近づいた加奈江は、山代グランドホテルに泊めてもらうことになり、何気なく「木原良三」の名を出しますが、前述の通り「げんさん」としか知らない久美子にはピンときません。そこで、加奈江は久美子と那谷寺を案内してもらい、そこで写真を1枚落として久美子の様子を見ることになるのですが、果たして久美子の反応は? 偽板倉殺人事件との関連は? 加奈江は良三と対面出来るのか? 三船班はどのように山代温泉へ出張捜査を行なうのか? 興趣をもってストーリーは後半へ進みます。

 

 

と、だいたい前半までの流れをまとめたわけですが、脚本・監督は違うものの直前作#745 大学は出たけれど 、あるいは石川ロケの前作#740 汚れた18歳 でも共通に感じたことですが、ストーリーの繋がりが悪く、編集によりフィルムをブッタ斬りしたように思えることです。

これは(備考)でも書きましたが、昭子=森田めぐみの出演場面が無いこと(細かくいえば、女中=大原百代の出演場面もありません)、これは前作#740 汚れた18歳 で石川県での出演場面があるため、ロケに来ていないというのはあり得ません。その他にも

・偽板倉の死因が、結局確定していないこと。

・実見すると、同じ内容の繰り返しを、違う場面でしつこく行なっていること(写真が一例)。

・上記で触れた三船班の出張捜査が、唐突に行なわれていること。

・どう考えても重要参考人となる圭一に、東京ではなく山代温泉でいきなり追及すること。

・そもそも「ある人物」が、なぜ血まみれになっていたのか、誰がやったのかうやむやであること。

などまだまだあり、ネタバレでいえば、加奈江が偽板倉の部屋を出ていった目撃証言にしても、その前後に3人の出入りがあったのを見逃すのは恣意的でありましょう。

 

近作の天野利彦監督は好調作品を連発、?がつきそうな作品でも、刑事ドラマor人間ドラマのバランスで、どちらかを秀でた演出でカバーした感もあり、特捜隊作品のアベレージを守ってきました。当作は、特捜隊常連女優で自分のお気に入りのひとりである富山真沙子が出演、初めて聞く名でしたが前作#740 汚れた18歳 でどことなく印象を残した西尾美恵子が出演するなどキャスティングに興味が持てたのですが、こうストーリーがブッタ斬りの状態では、なかなか集中して観れなかったのが、率直な感想でした。

 

ですので、直前作#745 大学は出たけれど でも触れた

>ストーリーの流れを書くときに(略)、

>各人の発言も含め、辻褄が合わないのをどうやってまとめるか、

>本当に苦労しました。

ということが当作でも発生して、上記本文のまとめでも同様でした。映像通りそのまま書いてしまうと興ざめになってしまうので、それを考えてまとめたのですが、当作が再び再放送されるのが2月13日(木)10:00-11:00であることから、今回更新を11:00にセットしていますので、比較してもらえばと思います。

 

当作をまとめますと、刑事ドラマとしてのストーリー興趣は矛盾しているところはあるものの、脚本というより映像化する際、すなわち演出上の瑕疵が多いように感じます。若者の就職に絡む事件なら、直前作#745 大学は出たけれど と上手く関連させているだけに(たぶん、当作があったから直前作の制作となったのでしょうが)、残念なところではあります。

 

自分自身、そもそも天野利彦監督は早撮りよりも、ドンと構えて撮るスタイルだと考えています。それを考えると、当作は時間に追われての石川ロケで、スタッフが違う#740 汚れた18歳 との共同ロケで集中力が分散した可能性は捨てきれない。地方ロケ2作を同一監督で演出する際、2作の出来の差が大きいのは「1作を捨て、1作をとる」の表れとも思えますが、違う監督の際は「この手」が使えず、時間に追われ集中しきれないのではないか・・・とも。

そういえば、ハワイロケ三部作も監督が3人おり(その他には田中秀夫、吉川一義)、海外ロケという対経費の問題から、押せ押せロケになったことは充分考えられることです。それゆえ#570 ホノルル特急 002便 が「満十一周年記念番組」と銘打ちながら、高評価とならなかったことと、無関係ではないでしょう。

 

近作では、こういった欠点は是正されてきたと思っていたのですが、当作で再発してしまったのは「外的要因」、すなわち前述の「押せ押せロケ」が一因だと考えます。ただ、天野利彦監督は好不調に波があろうとも、立て直しを図ってくれることが多いので、たぶんに一時的なものであり、また佳作をつくってくれることでしょう。

この特捜隊時代の経験があったからか、後年の特捜最前線では、ロケ作品でも秀作揃いなことの関連には、興味のあるところです。

ところで、このままいくと【第4回再放送】は今年の夏(8月ごろか?)には終了しそうなのを、ふと考えました・・・。それまでに、天野利彦監督が復調してほしいと思うところです。また、「掲示板特捜隊 9」では、特捜最前線の全作品再放送希望の声があるようですが、自分自身は何度も触れているように、再度の特捜隊全作品再放送希望のクチであります。

 

なお、「西尾美恵子 女優」で検索しても、出てくるのはプレイガール出演者でかつてプロレスラー・マイティ井上の奥さんだった西尾三枝子しか出てきません。エンディングでは、トップか止めで表記されるので、名のある女優さんだと思うのですが(顔つきからして、宝塚か松竹歌劇団の関係か?)・・・。ご存知の方がいましたら、コメントのほど、よろしくお願いします。