※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また(出演者)は、エンディングで、一列~三列で表示された男優・女優に限定しました。

1963年公開の、映画版・特別機動捜査隊全2作とは趣が異なることに注意。

 

【#642  女ざかりの女】

 

(本放送)1974年2月20日

(再放送)2017年1月19日

(脚本)元持栄美

(監督)龍伸之介

(協力)無し

(協賛)南房総 勝浦ホテル・三日月

(捜査担当)三船班

関根部長刑事(伊沢一郎)、水木刑事(水木襄)、石原刑事(吉田豊明)、

松木部長刑事(早川雄三)、畑野刑事(宗方勝巳)、三船主任(青木義朗)

 

(出演者)

角梨枝子、高土新太郎、橋本仙三、西川ひろみ、榎本英一、山田貴光、今村洋、

美輪猛雄、船田克敏、松崎真、小桜京子、中田博久

 

 

(あらすじ・予告篇から) 

※当時のナレーションをそのまま聞き写しています。

 

1億5千万円を強奪した凶悪な殺人犯、

その行方を追って千葉県の勝浦に飛んだ、三船班の刑事たち!

彼らの前に現われた得体の知れない女・・・、

ここに三船と虚々実々の腹の探り合いが始まる!

果たして、この女、犯人の一味なのか!?

後手を踏んだ刑事たちの、必死の反撃が開始される!

だが、そこに、思いがけない落とし穴が待っていた!

次回、特捜隊、「女ざかりの女」に御期待ください。

 

 

(備考)

・角梨枝子の、微妙な(?)セミヌード場面や(1928年生まれの当時46歳)、若手女優時代の写真と今昔比較するのは、これまた「#641 裸の街・東京」の村田知栄子に続く趣向か?

・劇中の勝浦ホテル・三日月の電話番号は、44年後の現在でも同じである。

 

 

(視聴録)

 

三船班は、前日午後5時30分に発生した強盗殺人事件の現場、千代田区大手町の五番ビルで捜査に当たっていた。サングラス男、マスク男の2人組が1億5千万円の現金を強奪、門外に待機中の仲間に現金入りバッグを投げ渡したが、ガードマンや警官に抵抗するサングラス男の銃弾が守衛2人に命中、1人が死亡1人が救急搬送された事件であった。三船班は、昨日に限って大金が金庫にあったこと、サングラス男からの発砲で亡くなったマスク男のポケット内の紙切れに着目。三船主任は東京での捜査を関根部長刑事のほか、畑野・石原・水木の3刑事に任せ、自らカメラマンに扮して千葉県勝浦に乗りこみ、並行してホテル・三日月へ松木部長刑事を従業員として潜入させる。

 

ホテル・三日月には、往年のミス・プリンセス優勝者で、現在では豊かな生活を送っているとされる、いしがき昌子(角梨枝子)が宿泊している。松木部長刑事が、仲居・菊(小桜京子)から怪訝に見られながらも得た情報で、昌子は「浅田春子」の名を使っていること、ホテルのアルバイト・守(高土新太郎)が異常なまでの献身をしていることがわかり、三船主任は昌子に接近を図る。そして、三船主任は昌子の泊まる310号室を隣室で監視しているところに、東京の水木刑事から入院中のガードマンの死亡を聞き、この事件に憤りを覚える。

 

東京では、畑野刑事、石原刑事がカメラマン(松崎真)に聞きこみ昌子の過去を捜査。関根部長刑事、水木刑事は五番ビルの経理責任者・大竹ごろう(橋本仙三)を取り調べ、大竹の元同僚・あらい武彦(中田博久)が経営するバーで大竹と昌子が知り合い、大竹が社内の情報を漏らしたことをつかむ。さらに、あらいと別居中の妻・富枝(西川ひろみ)に聞きこみ、提示したある写真に反応したことで、ようやく強盗殺人事件の輪郭が見えてくるのであった・・・。

 

 

当作は起承転結でいうと、「転」くらいから始まりながら事件の輪郭を明らかにしていくねらいがあるように感じます。冒頭の強盗事件からのスリリングな銃撃戦と逃亡、そして三船主任の事件からのアプローチなども、それを表しているようです。

しかし、かつて佳作や秀作を連発した脚本・元持栄美、監督・龍伸之介のコンビとは思えないまだるっこしい展開、キャスト(特に見た目で誰だかわかってしまう中田博久)の設定ミス、なぜ主犯に至りついたのか事件軸からは説明できない描写など、には驚きました。

要は、三船主任、松木部長刑事の勝浦潜入捜査のタイミングが早すぎるため、全体の展開にブレが生じ、見ていてなかなかスリル、ドキドキ感が感じられないのです。

 

また、事件の展開にしても、死亡したマスク男への追及も無く(特に故意か過失かでの被弾した追及も無く)、大竹の情報をどのように犯人が事件に応用したのかの説明も無く、昌子の過去についても辻褄が合わないところがあるなど、見ていて粗が目立つのです。

ロケ第一人者の龍伸之介監督も、当作では勝浦駅以外にはこれといって取り上げず、何か集中しづらい作品でした。遠景にあるロケ見学者(?)もそのままで撮影しているなど、失礼ながらスタッフのほうも集中力が無いのかなと思うほど、当作は?がつく出来に見えました。

 

確か初見はそこそこ見られたような印象だったのですが、再見では印象が悪く感じました。見慣れたせいもあるのでしょうか、それでも「#604 金と毒薬と 老嬢」のように、初見、再見ともガッカリする作品よりはいいのかもしれません。

かつての秀作「#462 幸せになりたい」のような作品に巡り会えるよう、両人の脚本、演出に期待したいところです。