※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また(出演者)は、エンディングで、一列~三列で表示された男優・女優に限定しました。

1963年公開の、映画版・特別機動捜査隊全2作とは趣が異なることに注意。

 

【#592  霧の中の 焼死体】

 

(本放送)1973年3月7日

(再放送)2016年7月28日

(脚本)村田武雄

(監督)伊賀山正光

(協力)無し

(協賛)無し

(捜査担当)三船班

田中係長(山田禅二)、鑑察医(仲原新二)、鑑識課員(西郷昭二)、

鑑識課員(田川恒夫)、関根部長刑事(伊沢一郎)、石原刑事(吉田豊明)、

鷲見刑事(柴田昌宏)、松木部長刑事(早川雄三)、畑野刑事(宗方勝巳)、

三船主任(青木義朗)

 

(出演者)

榊ひろみ、水木梨恵、水町千代子、鍋たかし、弘松三郎、山本緑、隅田和世、

杉山俊夫、中庸介、須藤健、杉江廣太郎

 

 

(あらすじ・予告篇から) 

※当時のナレーションをそのまま聞き写しています

 

奥多摩山中で、焼死体が発見された。

被害者は社長令嬢を妻とするエリート社員だが、

妻は夫に8千万円もの保険金をかけ、

そして不倫の情事に身を焦がし、夫殺害の機会を狙っていた。

財産を義理の娘に取られまいとする義母(ハハ)との間で、

冷たく憎悪に燃えた対立が・・・。

そして、殺し屋が暗躍していた・・・。

奥多摩、東京、横浜と次々と起こる不可解な事件を追って、

三船班は鋭く迫っていく!

次回、「霧の中の 焼死体」に御期待ください。

 

 

(備考)

・繁=鍋たかしとエンディング表記されるが、順列から圭子の実子役か?ならば顔立ちから、後年、高橋英樹主演「遠山の金さん」で籠屋・虎さんを演じた、古代一平と推察される。

・「掲示板特捜隊 6」では「特別機動捜査隊(第340回)霧のような女」を原型作としたリメイクと指摘されており、【第2回再放送】で放送歴有り(2010年7月ごろ)。

(追加)R5.9.28

→水木梨恵の役柄を、劇中の特捜隊板書には「沼沢洋子」、エンディング表記には「陽子」とあるが、劇中優先の立場から前者をとっている。

 

 

(視聴録)

奥多摩山中で焼死体が発見された。死体の腕時計は8:17を指しており死亡時刻と推定され、ポリのガソリン容器、フランス製口紅、鍵、靴、バックルなどが遺留品として残され、車が乗り捨ててあった。三船班は、各方面に聞きこみを行なう。近くの旅荘・河鹿園では、怪しげな畠山夫妻、西岡夫妻が宿泊、いずれも偽名だと判明するが、畠山の部屋から「小池様」あての猟銃店領収書が発見されたことで事件は動く。

 

畠山夫妻とは、会社員で所帯持ちの小池淳一(武田一彦)、渋谷のバーあざみのホステス・百合子(隅田和世)のアベックで、昨晩8時ごろは旅館にいたという。ただ、事件の1時間前に旅館を訪れた男が電話をかけ出て行くと、それを見ていた西岡夫妻があわてて追いかけて行ったことを目撃していた。

 

また、乗り捨てられた車の所有者が野村良彦(杉江廣太郎)であり、事件当日の朝から車で出勤後帰ってきていないことが判明した。三船班は、特捜隊本部に野村の妻・広子(榊ひろみ)、野村の義父・唐沢(須藤健)、唐沢の後妻・圭子(水町千代子)を呼び遺留品を確認、その結果、焼死体は野村良彦と推定されたが、周辺の捜査でいろいろなことがわかってきた

野村は、経理課長で約束手形を乱発して約1億円の融資横領の疑いがあること。広子は、発展家で水上産業専務・水上こうじ(中庸介)との噂が絶えず、夫に8千万円の保険金を掛けていたこと。唐沢は、ワンマン社長で社内の評判が悪いこと。圭子は、先妻の娘・広子とそりが合わず、実子の青年(未詳)を社長の後釜に据えたいこと。これらに加え、西岡夫妻は広子、水上という疑いも出たほか、野村の同僚・沼沢洋子(水木梨恵)が広子の介入で辞めさせられたことが明らかになっていった・・・。

 

 

当作は、その後、圭子を脅迫する佐竹健(肥土尚弘)、広子を襲おうと野村家に現われる男(未詳)を登場させ、スリリングにストーリーを展開させます。観賞中は非常に面白く、画面に引き寄せられるのは間違いありません。

しかし、間違い探しではないですが、見終えると「あれっ」という疑問点、矛盾点が明らかになるのです。たとえば、百合子の証言は、現場近くの作業員の証言と一致しているのに、その後追及がされなかったのがどうにもわかりません。

また、ラストでも殺人、抜きの部分が「これは・・・」という場面になっており、なんとかラストまでもってきたのに一本背負いを喰らってしましたような・・・。特捜隊の特徴である「勢い」まで止めてしまったのは、いかがかなと思います。

 

前述のとおり、当作はリメイクのようで、特別機動捜査隊(第340回)霧のような女のストーリーは検証本や某ブログで拝見することができ、完全ネタバレになるので明かしませんが、読むとけっこう面白そうで、前述の疑問点・矛盾点も明らかにされていそうです(特別機動捜査隊(第340回)霧のような女が未見なのでこうした表現になります)。

脚本が同一の村田武雄、ならばこの違いは、旧作(北村秀敏)と当作(伊賀山正光)との構成・演出の違いだと考えます。個人的には、委託殺人の部分は有っても無くても大勢に影響は無さそうなので、この部分を当作では継ぎ足したような気がします。

自分なら、畑野刑事のベッド・ディテクティヴ(ベッド探偵)が「影の捜査主任」に見えて、さらに着眼点も良いところから、ここを広げてほしかったと思います。まあ、このベッド・ディテクティヴがリメイク追加部分だという可能性もあるので、ぜいたくはいえません。

しかし、いくらこの当時グレープフルーツが希少だとはいえ、夏みかんと比較するのはどうも・・・(笑)赤いスイカと黄色いスイカとの比較の方が、わかりやすかったかもしれません。

 

当作では、関根部長刑事、松木部長刑事の登場。かつては2人の部長刑事というところがマズイと思ったのか、松木刑事の表記でしたが、当作で両部長刑事の揃い踏みとなりました。個人的には、松木部長刑事は高倉班専任のほうが良かったような気もするのですが・・・。

 

あと、広子役の榊ひろみですが、過去「#544 絶体絶命」「#555 慕情」の出演に続く3作目です。見るたび、違うカラーの女性を演じて、特捜隊の女優さんでは気になる1人です。しかし、テレビドラマデータベースによると、「特別機動捜査隊(第710回)ちぎれた舞扇」まで未出演となります。

1973年の主だった出演作品は当作くらいなのですが、プライベートでは(wikiによると)再婚して間もないころなので、一時休養というところだったのかもしれません。1942年生まれなので、ご健在なら現在72歳になります。

 

(2018年1月13日 全面追加)