※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また(出演者)は、エンディングで、一列~三列で表示された男優・女優に限定しました。

 

【#506  銭に生きる女】

 

(本放送)1971年7月14日

(再放送)2015年10月8日

(脚本)村田武雄

(監督)田中秀夫

(協力)無し

(協賛)無し

(捜査担当)三船班

田中係長(山田禅二)、鑑察医(仲原新二)、鑑識課員(田川恒夫)、

鑑識課員(西郷昭二)、荒木部長刑事(細川俊夫)、森田刑事(北原隆)、

岩井田刑事(滝川潤)、笠原刑事(伊達正三郎)、松山刑事(松原光二)、

三船主任(青木義朗)

 

(出演者)

角梨枝子、木村豊幸、杉本マチコ、伊東昭夫、水木梨恵、大原襄二、仙波和之、

真紀みどり、中庸介、小瀬朗、木田三千雄、直木みつ男、森野五郎、渡真二、

太刀川寛

 

 

(あらすじ・予告篇から) 

※当時のナレーションをそのまま聞き写しています

 

定期便のトラックの荷台から、金融業者の死体が発見された。

特捜隊・三船班は、これを他殺と断定、捜査を開始したところ、

大料亭の女将・青柳弥生が容疑者として浮かんだ。

弥生は戦争で夫を亡くし、脳性小児まひの子供を捨て、

娼婦にまで落ちた過去を持っていた。

どん底の生活から料亭の女将に納まった弥生は、

ただひたすらに金のために働き、

金のためなら探し求めてきた実の子を追い返し、

義理の娘には気の進まぬ無理な結婚をさせようとするのだった・・・。

次回の特別機動捜査隊、「銭に生きる女」に御期待ください。

 

 

(備考)

・オープニングで、衣装提供 浅草仲満   の表記有り。

・荒木部長刑事は、当作のみ細川俊夫、以降は金井大が演じる。

(追加)R3.10.30→

予告篇では「脳性小児まひの子供」と発声されているが、劇中では「精神薄弱者」と発声されている。ただし、現在ではこの言葉は、差別用語として扱われているようであるため、厚生労働省の資料により、以降は「精神障害者」「知的障害者」と言い換える。

 

 

(視聴録)

料亭青柳は主人亡きあと、女将・弥生(角梨枝子)が切り盛りしているなか、義理の娘・照子(杉本マチコ)を御贔屓の宇田川(森野五郎)の息子・博(田中正直)と結婚させようと、料亭の維持に余念がない。しかし、照子目当てに融資している氷室孝之(太刀川寛)としては不快であり、照子本人も本心では料亭の元板前・浪岡辰次(伊東昭夫)との仲を認めない弥生に不満を抱いている。そして、生方和男と名乗る男(木村豊幸)が弥生の実の子だと料亭を訪ねてきたところを、弥生は板前・海老沢(小瀬朗)や仲居・加代(金子勝美)らとともに追い返す出来事が起こる。弥生の態度・行動に、照子は怪訝な表情でみつめていた。

そんな中、ターミナルのトラック荷台に頭蓋骨骨折の男の死体が発見される。捜査に当たる三船班は、運転手(中庸介、仙波和之)の証言、死亡推定時刻の逆算から、歩道橋から走行中のトラックに墜落したものであり、被害者は氷室孝之と突きとめる。

三船班は、氷室の妻(水木梨恵)への聞き込み、遺留品の捜査から、青柳照子の線を見出すのであった・・・。

 

これは、本放送が夏であったこともあり、少し怖がらせようと木村豊幸の演技をオーバーにしたりとか、弥生の回想で義母(秋月喜久枝)をおどろおどろしく描いたりとか、かなり工夫されているのがうかがえます。ただ、こういう雰囲気のドラマにするなら、ラスト特捜隊控室での三船主任のシーン以降は不要だったような気もします。個人的に、ENDが見世物的に見えたところがどうにもモヤモヤしているからです。もちろん、人によっては崇高な場面にみえるかもしれませんので、「それだけ木村豊幸の演技がスゴかった」と評すのが正しい・・・のかな?

 

新生・特捜隊では、事件よりも人間を描くことに転換するようになったと以前触れましたが、この時点ではまだ試行錯誤しているようですね。人間を描くのであれば、歩道橋での出来事を覚えていないというのも不自然だし、生方和男がなぜこうなったのか木崎(糸博)だけの説明だけでは足りないような気もします。水木梨恵も宝の持ち腐れ感が強いです。

むしろ、事件を描く脚本だったらどうだったろうとも思います(脚本が村田武雄なので、もしかしたら旧作のリメイクかもしれませんが・・・)。というのが、死体発見現場と事件現場が離れているということ、事件現場を探し当てる行動時は渋滞だったということで、アリバイ偽装のストーリーにも出来得る素地があったからです。となると、ひねりや肉付け次第で、当作よりも意外な人物を犯人に設定できたわけで、この点が少し気にはなりました。

 

田中秀夫監督は天野利彦監督とならんで、ほかの監督さん以上に期待してしまうところもあるのですが、それでも当作はまだ本調子に戻っていないようです。

当作を実見したとき、「#470  苦い十五年」がピークだったのか・・・と素朴に感じました。#650まで見終えた現在なら、次作以降「#508  狂った夏」「#511  黒い血」「#515  私は許せない」とあるのがわかりますが、初見のとき(【第3回再放送】の当時)は「田中秀夫監督大丈夫かな? 次は撮らせてくれるのかな?」と失礼ながら考えたものです。

時代劇の名匠、伊藤大輔もサイレントからトーキーの過渡期に苦労されたので、田中秀夫監督も三船班主流の時代への試行錯誤期だった、と考えるべきかもしれません。

 

(2017年11月29日 全面追加)