※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊を参照。

また(出演者)は、エンディングで、一列~三列で表示された男優・女優に限定しましたR6.7.24 (出演者)をエンディング表記された「全男優・女優」に訂正

 

【#455  金髪と口紅】

 

(本放送)1970年7月22日

(再放送)2015年4月16日

(脚本)元持栄美

(監督)龍伸之介

(協力)警視庁

(協賛)無し

(助監督)小笠原猛

(劇中ナレーター)島宇志夫

(捜査担当)立石班

西本捜一係長(鈴木志郎)、鑑察医(仲原新二)、鑑識課員(上田侑嗣)、

鑑識課員(新田五郎)、事務員(森るみ子)、橘部長刑事(南川直)、

荒牧刑事(岩上瑛)、森田刑事(北原隆)、桃井刑事(轟謙二)、

岩井田刑事(滝川潤)、立石主任(波島進)

 

(出演者)

竹中国恵、秋とも子、沢宏美、小磯マリ、鶴賀二郎、花原照子、柴田浩貴、

肥土尚弘、川島育恵、山口千枝、中村哲、川部修詩、宍倉るみ、若山みち子、

石川玲、大野広高、神鳥よし恵、亀井三郎、徳久比呂志、美穂まさ子、池田純子、

(舞踊指導)石井小文美

富田ジョージ、森野五郎、花岡菊子、片山明彦、清水一郎、本間文子、水木襄、

武藤英司、阿部寿美子、三田登喜子

 

 

(あらすじ・予告篇から)

 

自分の幸せのため、子供を捨て金持ちの男に走った女、

その子供を引き取り、死に物狂いで育てた薄幸の女、

二人の母の間で戸惑う子供、

事件はこんな人たちの織りなす葛藤の中で起こった。

現代に生きる若者たちが、

大人たちに対する断絶、疎外感、無軌道さに驚き、迷い、

その捜査は一向に進展せず、捜査を開始した立石班は焦っていくのだった。

次回の特別機動捜査隊、「金髪と口紅」にご期待ください。

 

(備考)

・後に三船班所属で水木刑事として活躍する水木襄が、杉本恒夫役で出演。

・1980年の相続法改正以前の作品であることに留意(後述)。

・参考視聴録=【補足】#455 金髪と口紅

 

 

(視聴録)

予告篇から#452 母恋し1,500キロのような作品かなと思いきや、関係なくはないのですが遺産相続にまつわる事件です。現在は、「配偶者は常に守られる」という概念もあり、「法定相続分=子供(全員で)1/2、配偶者1/2」と定められています。

ところが、1970年制作当時は、「法定相続分=子供(全員で)2/3、配偶者1/3」と定められていたのです。それゆえに、遺言に不平不満があれば遺留分減殺請求を行なうことになりますが、相続人が子供と配偶者(#455では子供は恒夫1人?)のときは遺留分は各々1/2。

 

となると、現在なら遺留分の扱いは、子供の恒夫は相続財産の1/2×1/2(=1/4)、配偶者の佳子(ヨシコ・三田登喜子)も相続財産の1/2×1/2(=1/4)と、同格になると考えられます。

しかし、1970年制作時は、子供の恒夫は相続財産の2/3×1/2(=1/3)、配偶者の佳子は相続財産の1/3×1/2(=1/6)と、格差があった。遺言にしか拠りどころがなかった。こういった雑学知識をもって当作を見ると、登場人物が知悉していたかは別にして意外に興味深い。

 

・妹(花岡菊子)や甥(鶴賀二郎)の相続は絶対的でなく、遺言次第だから期待しすぎの感がある。

・相続財産の規模は不明だが、茅ヶ崎の土地150㎡と天秤にかける余裕はなかったのか? という疑問がわく。

・天秤にかけることは、妹夫婦と不動産屋との会話から想起させている。

・そして、恒夫も佳子も相続人から脱落したら相続人はどうなるのかという点が、冒頭の土管近くで苦しむ女(沢宏美)が再度クローズアップされることとなる。

これらがクロースアップされるのですが(ホントはもっと具体的に書きたいのですが…ご勘弁)、要は、相続をある程度わかっていればこういった事件は起きなかったのでは? もちろん、財産には負債も含まれるので、そこらへん今泉弁護士(武藤英司)も説明していればとも思いました。

 

生みの母佳子、育ての母ゆき江(阿部寿美子)、その子供である弘美(竹中国恵)の織りなすドラマについては、残念ながら尻つぼみの感は否めません。二人の母の行動が左右ブレブレで、感情移入しにくいのです。極端に言えば、このドラマ部分だけ全体から浮いている感じで遺産相続主体に話を展開させた方が良かった気がします。

穿った見方ですが、題名から、金髪=ギター弾き洋二(富田ジョージ)、口紅=遺留品と連想されます。なので本来は、遺産相続人の若者に蹂躙されそうな京子(秋とも子)と、彼女に好意を持つ洋二のストーリーだったのでは? (あらすじ・予告篇)からの文章も、実見したものと趣旨が違うとも感じます。もちろん、自分自身の妄想にすぎないのですが(笑)

 

あと、気がついたことで、京子の女友達役二人を演じたのは、川島育恵と山口千枝という女優さん。前者は、時代劇出演が多く「遠山の金さんシリーズ」「伝七捕物帳」で見かけます。後者は山口刑事(山口暁)とプライベートでは夫婦とのことです。

 

今回は個人的に母子の話が気にはなるものの、トータルではテンポよく流れた回であるので相殺できたかなという感じです。

 

(2017年11月21日、全面追加)