オータムクラシック2017・羽生くんSP&FS | siennaのブログ 〜羽生君応援ブログ〜

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羽生結弦選手の現役時代をリアルタイムで体験できる幸運に心から感謝しつつ、彼のスケートのここが好きあそこが好きと書き連ね、ついでにフィギュアにも詳しくなろうと頑張る欧州住まいのブログ主です。

  体調は「まあまあです」。その言葉と笑顔のない到着に少し首をかしげていると、右膝の違和感で練習を休んでいたこと、さらにはプログラムの構成を下げて挑むという情報などが続けて伝えられました。公開練習ではあれほど調子が良さそうだったのにと、やるせなさが…。ハビも出場する今回、これまでのオータムのように少々出来が悪くても優勝できるという保証はなくなったな、と運を天に任せる気持ちになりました。

  ところが、練習でジャンプが決まらなかったという(この練習は未見です)SPは、なんと世界記録を更新するという、まさに世界を驚かせる男・羽生結弦的展開に。夜中2時に起きてライスト観戦していましたが、圧倒的な演技に興奮しすぎて結局夜が明けた7時過ぎまでベッドに戻ることができませんでした。4Sと3AはGOE満点の出来。後半4T3T両手タノという超レアな異次元コンボまで満点に近い美しいクオリティで見せてもらえ、羽生結弦という天才を送り込んでくれたスケートの神様に感謝するのみ(満点でなかったのは4Tの着氷が100%理想的ではなかったからかも。それでも厳しすぎるとは思いますが!)。ステップシークエンスのブラケットやイナ、ロングツイズルも圧巻。今後たとえ世界新を更新しなくても、各大会ごとに違った良さや深みのある演技が見られるはずでとても楽しみです。次回の映像ではStSqの悩ましい入りの表情が正面から見られますように!そして新衣装も!!(SEIMEI程度のマイナーチェンジかなーという気もして、あまり期待しないでおきますが)

 えー、4Loを4Sに変更したことについて、ツイで拝見したニッカンスポーツ紙面版によると、彼自身は複雑な気持ちのようです。

 「まあ、競技者なんでね。昨日のSPやって、お客さんは限りなく(ループより難易度の低い)サルコーでいいじゃん、って思うわけです。(ループではなく)サルコーでこの(高い)点数を安定して出せるようになったら、フリーにもっと力を入れられるし、そういう気持ちが僕の中で芽生えてしまったことも悔しい」

 「できることを出し惜しみしてやっていてもつまらない、 それは一生懸命ではない」。この名言を放ったあの頃から1ミリもブレてない。彼の発言は常に本心であり、真摯なのだと再確認しました。実際、ループは今年に入ってからの2試合(4CC、ワールド)のSPで2.43、2.29の高GOEを叩き出しています。基礎点10.50のサルコーに比べループは12.00。リターン的にはGOE満点の4S(SPでは過去2回)より1点近く上回ります。右膝が回復次第、4Lo再投入は間違いなさそうです。

 一方フリーの方は、一回目の公式練習の曲かけと比べ当日練習では明らかに調子が落ちていました。そして迎えた本番、最初のジャンプに入るコーナーの加速前の振り付けで、すでに心ここに在らずな気持ちの入っていない様子が見えて「これは…」と心配になりましたよ。「最初3回転の連続ジャンプって難しいなと思いました。思い切ってできない難しさ、力の入れ具合のリズムの悪さがあった。ある意味、未体験の領域でした」(同ニッカン記事)ということだったんですね。本番前に1週間練習を休み、棄権まで考えたという体の状態、そして急遽変更した構成の影響は、そういった背景を知らない素人ファンの目にも明らかでした。一例を挙げるなら、ステップの3連クラスターの間に挟まれたホップなど、一回目の公式練習が一流アスリートの走り幅跳びなら本番は子供のスキップのような弱々しさ。一事が万事そんな感じで、パフォーマンス、インタープリテーション的な弱さは否定しがたい演技となってしまいました。岡崎真さんがせっかくジャンプ以外を褒めてくださったのにアレですが、好調だった公式練習に比べ本番では2〜3割ほど表現密度が薄まるのが常ならば、今回は4〜5割は薄まっていたと感じました。どうしたことかと思っていたら、その後本人の「雑念」コメントでなるほどと飲み込めた次第です。ロシア大会では、滑り込みができた上でその滑り込んだ構成をなんの縛りもなく競技者としての本能のままに挑戦することが許されればなんの問題もないはず。3Lzが決まった一回目の公式練習ランスルーを見ても、助走の長さはもとより降りた後の間の開き方など、明らかに4Lzを組み入れた練習をしてきたと思われるSEIMEI。初戦でもどかしい悔しさを得た今、さっそくロシア大会で投入してきそうな予感がします。が、どうかステイヘルシーで!

 しかし、フリー後オフアイスや表彰式での可愛さは異常でしたね。なんというぶっとんだ不思議な生き物なんでしょうか・汗。愛されるだの愛されないだのいかにも凡人が気に病みそうなスケールの小さいクリテリウムなどどこ吹く風、本人の気持ちのままに振る舞う彼はやっぱり閉塞感漂う平成の日本における型破りな大物です!

 あと、今回マナーやルールの面が(残念ながら)話題になったので異文化在住者として少し自分の考えも述べておきます。マナーについての考えは各国各文化で異なるということが一点。ルールについても実害がないと自己判断すれば守る方がバカという感覚を持つ人々も多いのいうのがまた一点(赤信号でもクルマが走っていない、あるいは子供が周囲にいなければ横断するという感覚)。余分なセキュリティ費用が与える選手強化費用への影響など、正直そこまでの配慮はとても期待できないでしょう。また、不在中の席取りについては日本独自の慣習と思っている方が多いようですが、海外某掲示板ではテープでの席確保など武勇伝ノリのカキコミも見られ、日本人だけではなかったようです。ただ、日本人の場合、日本国内コンペにおける撮影等のルールが国際基準以上に厳しいため、海外でここぞとばかりにハメを外したくなっていることも考えられます。「旅の恥はかき捨て」ということわざが日本語にあるのは理由のないことではないでしょう。自分としては、文化による不文律的なマナーは議論可能、安全は個人のリスクおよび責任なので放置、ルールは守られない場合、ファン同士の議論は不毛、運営による断固たる処置が望ましいという考えです。違反取締りにかかる費用は遠慮なく違反者でシェアしろと言いたい。

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