テンプル騎士団の伝説 呪われた王たち | アルプスの谷 1641

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1641年、マレドという街で何が起こり、その事件に関係した人々が、その後、どのような運命を辿ったのか。-その記録



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 賢明なる読者諸兄姉の皆さんは、もう充分ご存じの話ばかりかもしれませ
 

んが、テンプル騎士団を巡る伝説は、あまりに面白いので、もう書かずには
 

いられません。 今日は少し脱線します。


( 前回記事 : 魔女狩りの経済学(2) テンプル騎士団の最期 はこちら )


 

 

 
 その巨万の富を狙った不当な異端審問によって、テンプル騎士団は崩壊し
 

ましたが、その謎に包まれた騎士団の存在は、後に様々な伝説を残すことに
 

なりました。 ここではスペースの関係から(それと筆者の知識不足から)、
 

あまり深く立ち入ることはできませんが、興味のある方は、是非、ご自身で
 

追い掛けていみることをお勧めします。
 

 

 
  人々のテンプル騎士団に対する同情や義憤は、次の出来事により驚愕と
 

恐怖へと変わり、その存在はオカルトと深く関連づけられることとなりまし
 

た・・・。
 

 
「呪われた王たち」
 

 1314年3月18日。
 

 異端審問により死刑となり、火刑台に縛り付けられた騎士団総長ジャック・ド・


モレ―と副官ジェフロワ・ド・シャルネーを人々は、不安そうに見守っていた。 や


がて火が掛けられ、その火は二人の体に燃え移った。 その時、ジャック・ド・モ


レ―は恐ろしい声で叫んだ。
 

「教皇クレメンス、フランス王フィリップ、宰相ノガレ、宰相マリニー、
 

貴様たちを神の法廷に呼び出してやる。 それもこの年が終わらない内にだ」
 

 果たして、その呪いの言葉は現実のものとなった。
 

 4月20日。 教皇クレメンス五世は激しい苦悶のうちに病死。
 

 11月29日。 美男王フィリップは森で十字架を付けた不思議な鹿を見掛けた
 

後、落馬により死亡。
 

 宰相ノガレは11月、悪臭を放つロウソクの傍で倒れて死んでいるのを発見
 

される。
 

 宰相マリニーは公金横領の罪により絞首刑となった。
 

 

 
 上記の話は虚実ないまぜとなった伝説であり、事実を言えば、ノガレは火
 

刑の日よりも前に死亡しており、またジャック・ド・モレ―の呪いの言葉も
 

創作と思われます。 しかし、事件の首謀者たちが相次いで死亡したのは事実
 

です。
 

 

 

「騎士団の遺産」
 

 美男王フィリップによる急襲にも関わらず、フィリップは押収しようとした
 

財産の大部分を取り逃がすという結果となりました。 騎士団の財産の大部分
 

が、何者かによって持ち去られていたからです。
  

  

 騎士団が財産の保管業務を行うようになり、やがては王族に対して貸付を
 

行うほどのの財産を蓄えるに至りましたが、その財産の元はどこから来てい
 

るのでしょうか。
 

 騎士団はエルサレムのユダヤ教寺院の地下に隠された財宝を発見したと考
 

えられています。 それは単なる金銀ばかりではなく――
 

 
 キリストの脇腹を突いた槍の穂先であったのか、
 

 天から贈られた宝石であったのか
 

 ヨハネの頭部であったのか、
 

 (ヨハネはサロメによって首をはねられた。 以前からテンプル騎士団は
 
  ミイラ化した人間の頭部を崇拝しているという噂があり、異端として
 

  付け込まれる一因となった )
 


 諸説ありますが、もしかしたら、それは・・・
 

 

 
「聖杯伝説」
 

 そもそも聖杯が何を指しているのかが問題で、それが、
 

 そのまんま最後の晩餐で使われた杯であったのか?
 

 それとも・・・
 

 
 キリストはマグダラのマリアと結婚していて、その子孫の存在を示す
 

 家系図だったのか!?
 
 
 
 後者だとしたならば、それはキリスト教世界を根底から揺るがす大問題で
 

あって、なぜテンプル騎士団が税の免除等、数々の特権を得ていたのか、説
 

明する根拠となっています。 つまり、この秘密によってカトリック教会を脅
 

迫していたというものです。
 



 

ご存じ「ダ・ヴィンチ・コード」 は、この聖杯伝説を追ったサスペンス小説です。

ここでは、聖杯は・・・、ああ、これ以上、言えない!

可能であれば、是非、多数の図版を収録した「ヴィジュアル愛蔵版」で。 






「アーク(聖櫃)伝説」
 


 はたまた、それは聖櫃 (モーゼの十戒が刻まれた石版を収めた、契約の箱)
 

であったのか? (以下に続く)
 

 

 
「海賊旗とテンプル騎士団」


 

 その昔、マラクレアという所に偉大な女性 (A great lady of Marclea) が
 

おりました。 彼女は若くして他界しましたが、彼女に恋をしていた邪悪な騎
 

士団員 (A lord of Sidon) は、埋葬されたその女性の死体を掘り起し、犯し
 

てしまいます。 その時、虚空から声がして、 「九か月後にここに戻るが良い、さ
 

すれば、汝に息子が与えられん」 と告げました。 言われた通り、男が九か月
 

後に戻って墓を開いてみると、そこには交差した大腿骨と、その上に乗った
 

頭蓋骨があり、再び声が聞こえました。 「それを護れ。 それはお前に幸運を
 

もたらすことであろう」 男はその骨を持ち去りました。 その後、彼は無敵の
 

存在となり、その頭蓋骨を見せるだけで、いかなる敵も滅ぼしました。
 

( インディ・ジョーンズで一躍有名となったアークですが、劇中、アークの中


を見てしまったナチスに何が起こったか、今一度、思い返してみましょう )


 

 
 男の支配していた場所、Sidon は以前から海賊の巣窟であり、十三世紀に
 

世界最大の艦船を所有していたテンプル騎士団は、海賊の先駆でもありまし
 

た。 上の伝説はテンプル騎士団と海賊旗の繋がりを示しています。
 

 しかし、上記の伝説には隠された意味があり、男が授かったものとは、すなわ


アーク (聖櫃) であり、交差した骨と髑髏のシンボルは、騎士団がアークの所


有者であることを示しているという説があります。
 

 

 
 さて、何物かによって持ち去られたテンプル騎士団の財宝は、現在に至る
 

までその行方が分かっていません。 しかし・・・
 

 

 
「テンプル騎士団とフリーメイソン」
 

 
 現在でも 150万人の会員がいると言われる秘密組織フリーメイソンですが、
 

その起源は判然としません。 しかし、その最も古い存在記録はスコットランド
 

にあります。
 

 異端審問によって、フランスのテンプル騎士団は壊滅しましたが、その他
 

の地域の支部は異端で追及されることはありませんでした。 その支部のひと
 

つがスコットランドにあったことから、この地はテンプル騎士団と深い関係があり


ます。 エジンバラ近郊にあるロスリン礼拝堂は、テンプル騎士団とフリーメイソ


ンの繋がりを解く鍵とされています。
 


 

「ロスリン礼拝堂」
 

 ロスリン礼拝堂は、1446年、ウィリアム・シンクレアによって建造された
 

非常に奇怪な建造物で、その構造はテンプル騎士団が置かれたソロモン神殿
 

を模倣した作りとなっており、その内部は様々な暗号やシンボルに満ち満ち
 

ています。 ここではフリーメイソンとテンプル騎士団に直接繋がるシンボル
 

を同じ一つの場所で目にすることができます。
 

 聖杯が、或いは、財宝の隠し場所を示す地図が、或いは、キリストの遺体
 

が、この謎に満ちた礼拝堂のどこかに隠されているとさえ言われているのです。
 

 

  Rosslyn Chapel - The chapel is famous both for its decorative art and its mysterious