何だろね、夕べの私は髄分とポエマーで支離滅裂だわね。

春の山に当てられて酔ってたんだな。
あと酒にも酔ってたな。


出発前夜はもうまな板の上の鯉。

願わくば!!なるべく雨に当たりませんように!!

そして無事帰ってくる!!

「ただいま」があるのが旅だと思います!


よっしゃあー寝るぜよ。
四月の満月ピンクムーンは、花々がほころぶ春の兆し。

ピンクに染まるのは、地。

東の空では雲に隠れて朧気に、
中天に向かえば雲と兎を押し退け輝く月面。

宵闇にさんざめく。

血が騒ぐのか、深夜1:00でも烏が鳴き会う。

私にも言葉が分かれば良いのに。



春紅葉に色めく山肌に、ポツリポツリと桜咲く。

僅かに萌葱色を見せる早熟な木々を撫でながら、立ち上る靄が走ってる。

春雨を、生き生きと受け取る笑う山。

時折差す梅の紅。

溜め息が出る。

いや、溜め息しか出ないほど、美しい。



「未来は明るい」

なんて、もう思えないからか、急速に移り変わる季節におののきながらも、

「今が一番美しい」

と思った。


今ここにある不安と焦燥感を、分からない未来に託してしまうことが不誠実な気がしていて、
それをポジティブなエネルギーに変えるほどの力量が私には無いってもう痛いほど分かった。

だから、私なりの誠実さは、今が美しいって事を見つめることなんだろう。



初めて、最初から一人ではない「旅」をする。

出発は明後日。

ナーバスになることもあったし、今も一人ではないからゆえの緊張がある。

でも二人だからこその安心感も楽しみもある。


だからかもう一度思う。

何もなくても、何かあっても、素晴らしい時間だったと胸を張って思えるような旅にしたい。
我がマンションの近くにはコンビニがある。

徒歩一分ほどの近さ。

言うまでもないがかなりの常連である。

酒が足りなくなり、酒気漂う真っ赤な顔で訪れたことも一度や二度ではない。

故にどの店員さんもわきまえたもので、どんなにたくさんの酒やつまみを買っても、
箸の数は聞かれない。

知っているのだ。二人分に見えても、たった一人の女の腹に収まることを。

私は少し恥ずかしさを覚えるわけだが、
どうしても見栄をはって「二膳下さい」とは言えない真面目さがある。


そんな折、晩酌解禁日で弾むような心持ちの中買い出しに訪れる。

かごの中身はビール三本とレトルトのおでん、もつ煮込みである。

近頃にしては多目ではあった。

すると、
「お箸は何膳付けますか?」

思わず顔をあげて店員さんを見つめてしまった。

そこはかとなく女性に対する気遣いを感じた気がした。

「女性一人の量じゃないよね、そうだとしてもそう思われたくないよね」

そんな心の声が、その眼差しから伝わってきたのだ。

私は一呼吸おいて、


「一膳で」



慈悲の眼差しが泳ぎ俯いたのは、どちらの意味だったのか、私にはもう知るすべはなかった。

一昨日無事盛岡に帰ってきた。

家族へのお土産を早く渡したかったのと、リクエストもあって二日間実家へ泊まり、ようやく自宅マンションへ帰ってきた。

旅道具の手入れをして片付けを進めてると、どんどん現実に戻っていく。

バイクも旅の相棒から、通勤の足となる顔をちらつかせている。


でもあたり前になっていた岩手の山々も、自宅から見る空も、
新鮮に目に飛び込んできて、遠くに行ったからこそ気付く地元の美しさを再認識した。

そう、岩手は美しいのです。

こんな街中ですら美しいのです。

煩わしいことばっかりだけど、岩手を離れられないのはこの美しさがあるからなのです。

でも実はまだ旅を続けたい気持ちが収まらない。
職安の日に合わせて帰宅したけど、用事がすんだらまた旅に出たくなってる。

いつもいつもギックリ腰になって行けない男鹿にも今なら行ける気がする。

この感覚間違ってるのかな。

相反するように、家族がとにかくこの寒さの中の旅を心配してるし、自分も社会復帰に向けて早く動かなきゃと焦りがぶり返してきた。

落ち着かない。


とりあえず今日は久しぶりの自宅で、家の快適さを堪能してみるか。

そしたらまた気持ち変わるかも。
最後の撤収完了。

さあーて、帰ぇーるか。