雨のなか走り出して一時間。
心折れる。
道の駅新潟ふるさと村でホットコーヒーとコンポタ飲んでも体暖まらずまんじりともできない。
雨が上がってきたので意を決して走り出して、ひたむきに走ること一時間半、
青看板の表示がおかしい。
逆送してた。
一時間半逆送してた!
もう泣いちゃってもいいよね。
でも、軌道修正までの道のり、ぱらつくことはあっても雨に打たれることなかった。
道は濡れてたから降ったあとだったみたい。
逆送のお陰で雨に当たらずに済んだ模様。
時間もまだ昼だし、朝いつもより早く出られてたし、返って良かったんじゃないの?!
燕三条ではどうしてもラーメンが食べたかった。
背油と玉ねぎのラーメン。
バイク屋を出てから一目散でラーメン屋に向かった。
途中、ガソリンを入れに寄ったスタンドで、目当てのラーメン屋はこっちであってるか聞いたところ、
とても親身に教えてくれたばかりか、
何故かこのガソリンスタンドで卵を扱っていて、その卵を使った煮卵がおすすめ!と教えてもらった。
岩手ナンバーに仰天されつつ、店員さん二人に囲まれて左右を交互に見ながら旅談義。
笑顔で見送られたそのすぐ先に、お目当てのラーメン屋さんが見えてきた。
10年前に食べた「侍」!
どんな味だったかもう覚えてなくて、でも美味しかったことは覚えてたからまた来たかったんだ!
燕三条の職人さんたちの技が生きるグラス、箸、箸置き、どんぶりで登場。
もちろんおすすめしてもらった煮卵「どろたま」もトッピング。
醤油スープのパンチを背油がマイルドにならしててウマイ!
けどしょっぱめだなぁーと思ったら、太めの平麺が適度な絡みでいい塩梅!
どろたまはもうバツグンに旨かった。スープと合わせてもまんまでもぐーですよ。
聞いてて良かったー!!
食後の空はまだ晴天!まだ崩れる予感はしないけど、少し風が出てきた。
膨れたお腹を擦りながら、宿の方向へ…
思ってたのと違う道にはなったけど何とか宿の方向へ。
その途中、ばかでかい鳥居をくぐる。
遠近感おかしくなったかと思うくらい大きい鳥居の向こうには、弥彦山。
なだらかな稜線が眼前に聳えてる。
そして、徐々に雲が増え風が強くなってきた。
やっぱり今日は荒れるんだ。
弥彦神社にてご挨拶。
かなり大きな神社だけど、わりと新しいのかな?と思っていたら、
威厳に満ちた佇まいのお宮が見えた。
精悍な狛犬が守ってる。
どこからか横笛の音色が聞こえてきて、何故だか涙が出そうになった。
境内には十柱神社もありしめやかな空気。
幹が枯れていながら、新しい枝を伸ばしている神秘的な姿のご神木。
立派な角を持つシカがのんびりしてた。
可愛いけどすごい迫力。
その横に、いろんな種類の鶏がズラリ。
聞いたことのある鳥無い鳥みんなコッコしてて可愛いし、飾り羽が美しい。
どんどん広がる雲が不安を煽り、そのまままっすぐに宿に向かった。
すごい!これで2250円だなんて沖縄のゲストハウス並みだよ。
早速荷物を置いてから、歩いて温泉へ。
歩いたのは失敗だったか?と言うほど急な坂を上ったら、景色が美しいという「よりなれ」到着。
しかし今日の女湯からは展望が望めないとな?
あと少し先から一望できるらしいけど、もう汗だくだし足も棒だからさっさとお湯へ。
先客はおばあちゃん一人。
「連れが来て良かった(一人じゃなくて良かった)」
と一緒に露天風呂へ。
おばあちゃんはとてもおしゃべりだったけど、方言が強くて聞き取れない。
どうしよう、外国語みたいだ…
聞き返すと丁寧に答えてくれるから、何度も聞き返しつつ、勘で答えつつ。ごめんね。
それでも身の上話なんかして、ケラケラ笑ってたらのぼせてきちゃった。
ここのお湯はゴムみたいな匂いで、白い濁り湯。
効く~。
上がったらまたおしゃべり。
身支度の済んだおばあちゃんが「また会うときまで~。」って先に帰っていった。
次また会えるかな。
そんな期待を乗せた柔らかな挨拶。
ゆでダコ顔で上がって、カラカラの喉に牛乳を流し込んでプハーしてたら、
受付のおじさんがえらく笑っていた。
「こんなに美味しそうに牛乳飲むなんて!面白いねー!」
おじさんとまた話し込んじゃったけど、外はもう真っ暗。
やっぱりきれいな景色がみたくて、少し上って見張らしてみると、一面の夜景。
真っ平ら!ロマンチックな眺め。
つか、雨降らないじゃないの。
キャンプ出来たじゃないの。
帰り道、森のなかを通る坂道が怖くて電話しながら帰っていたら明らかに見覚えの無い道に出る。
あれ、ここどこだろう。
歩いてても迷子かい。
電話してるからGoogle先生にも聞けない。
と、空が瞬く。
やばい。迷子なのに雷来た!
電話を切ってGoogle先生に聞く。
分からなかったらこの目の前のでかいホテルで聞こう。
ハラハラしたけど案外近くに宿があった。
空はビカビカと閃光を放ってる。
お部屋に入って一安心してたら、いよいよ本降りのゴロゴロ。
すると、
ビカ!ドゴーン!!
窓が震えるほどの振動。
近くに落ちた。
やっぱりキャンプじゃなくて良かったよ…。
安全な室内でこの雨しのごう。
と言っても明日も雨なんだよねー。
爽やかな青空が広がる朝。
心配と言いながら足取りは軽い。
(道の至る所に道祖神)
残り3つの町湯に浸かって、これで野沢温泉一巡り完了!
慌ただしく回っちゃったけど楽しかったな。
ゆっくり浸かるのは次の宿題。
チェックアウトの時間ぴったりに支度が整った。
急きょ決めた民宿だったけど、とにかく居心地が良くて、
目が覚めたときに自分家かと2日連続で思ったくらい。
ぶっきらぼうなのに実は丁寧なご主人も、明るい店員さんも、朗らかな奥さんもホッとするような一時をくれた。
また来るときはぜひここに。
お見送りに出てくれた店員さんの目の前でエンストするカッコ悪いところ見せてしまったが、爽やかに手を降られながら出発!
千曲川に添って北上。
高度は下がる。
太陽ポカポカで気持ちいい。
まさに小春日和。
走り出してすぐに道の駅信越さかえがあったので寄ってみた。
目論見通り、千曲川の流れが見える。
温泉成分混じってるみたいなモスグリーン。
際から連なる山は仄かな色付き。
産直にはやっぱり野沢菜。
疲れてないからすぐに出発。
今日はほんとに穏やかだ。
そよぐ風に暖かな日射し、相棒のエンジン音も落ち着いて聞こえる。静か。
本当に今日天気崩れるのかな。
心地よく走っていると、新潟県の看板が見えた。
さよなら長野。また会いましょうね。
穏やかに走りながら、道沿いの家々を観察していると、豪雪を伺わせる作りになっていた。
一回部分はコンクリートでガレージみたいになってて、ほとんどが三階建て。
多分一階部分は雪に埋まるんだろうな。
屋根がものすごく鋭角な家もある。
あれなら雪落ろし要らなくていいよね。
町中で車通りが増えても、やっぱり今日は穏やかで静かだ。
そしてとても温かい。
巨大なスケールで度肝を抜く信濃川を眺めながら、向かったのは長岡のレッドバロン。
曲がり角一ヶ所なのに素通りしていったり来たり。
よりによって陸橋の分かれ道から左折なんて私のような地図未熟児に判別できるわけないじゃない。
ずいぶん遠いなぁ…じゃねーよ!
何とか見つけたレッドバロン、飛び込みで対応してくれるか不安だったけど、オイル交換って言ったら、「なーんだそのぐらい任せろ」的な勢いで対応してもらえた。
待ってる間に天気予報を見て、愕然とする。
雨予報は知ってたよ?だけど雷と竜巻に注意とか…!
百歩譲って雨は良しとしよう、でも雷・竜巻はないよ…。
午後からって、今昼過ぎだよ?
晴天だよ?
「天気の急変に注意」
はあーい!じゃあもうこの辺にする!
ライダーハウスに泊まれなかった時から、野沢温泉の後はキャンプ!って思ってたけど無理無理。
すぐさまインターネット様に聞いてみたら、もんのすごい安いところが一時間くらいのところにある。
すぐ予約。
これでひと安心。
よっし、今日ほとんど何もしてないけど、もう宿に向かっちゃおうー。



























