ひとり現代俳句協会「兜太俳句新人賞」落選展 | カルバートン・スミスの告白

カルバートン・スミスの告白

ふたつ、不埒な悪行三昧……。

めちゃくちゃ久しぶりにブログを書いているわけですが、何かと言いますと、去年の現代俳句新人賞に落選したので、その「ひとり落選展」をしてみようと。

 

タイトルは「ピクニック」です。

 

縦書きは画像で。そのあと、横書きに続きます。

 

 

 

 

 

「ピクニック」  青島玄武

 

鯉幟その日その日の風とのみ

一本は絵に描くためのカーネーション

薔薇の園七つの罪を美しく

レクサスの横付けされし植田かな

蝋涙に蝋の重なる梅雨入かな

五月雨や大銀行に救急車

梅雨の街象形文字に戻りけり

雨音をゆつくり殺す誘蛾灯

サンダルで登校をする女子高生

炎風の芯を捉へしホームラン

午前四時シャワーの音に目が覚めて

おつさんをくたくたに煮る西日かな

夕焼けを粉々にする都会かな

夜の秋少し失敗した炒飯

明るきは雀荘ばかりきりぎりす

名月や茶漬けに沈む塩昆布

薩摩薯一度地獄を見たやうな

ハロウィンのその翌日の街の木々

行く秋やスーツで帰るお巫女さん

今朝もぬるりと布団より生まれけり

コーヒーは苦手と言へず冬館

とりあへず蜜柑の皮を剥いてをり

花柄のパジャマの待てる柚子湯かな

スナックも隣の塾もクリスマス

煤逃の駐車場代五百円

初晴やよその犬見て吠ゆる犬

猿廻しいちいち猿を抱き締むる

あきらめて股引き履きに戻りけり

三寒や油汚れの招き猫

全体の約三割をマフラーが

一十百千万億兆と雪

どか雪の今日のパンツを脱ぎにけり

看板の豚笑ひをりとんかつ屋

しんしんとバレンタインの売場かな

その口が鶯餅を食ふたはず

朝寝せぬことのつくづく悔やまるる

まかろんのちがひわからぬ春の風邪

マスクしてサングラスしてピクニック

行く末を囁き合へる紫英雲かな

たんぽぽがいつもの顔をしてをりぬ

コンビニとイオンのほかは春景色

山々の予鈴のたびに笑ひけり

古本の誰かのにほひ初桜

制服の違ふ二人や花の駅

花降るやなほ自転車のギア上げて

花吹雪月の汀に満ち満ちて

車椅子レースの人と青き踏む

今の子の昔の遊び藤の花

人消えて春も終りの滑り台

しやぼん玉風さへ知らず消えにけり

 

 

 

感想をいただけますと、小躍りして喜びます。(笑)