日本最後の国民的アイドル
1986年6月25日生まれ。兵庫県姫路市出身。29歳。(2015年7月現在)
2001年4月11日。『ドッキドキ!LOVEメール』でメジャーデビュー。同年末のNHK「紅白歌合戦」に初登場。わずか一年で全国的人気をさらったが、オリコンチャートで首位を獲得した経験はない。
それでも、国民的アイドルといわれる所以は、その才覚と努力、あとは「神話性」によるところが大きい。
友達から借りたCDに封入されていたオーディション用紙を借りて、たまたま応募してみたら、たまたま合格したこと。
デビュー前の2001年正月に、ハロープロジェクトで楽曲としては未完成だった『100回のKISS』をつんく♂の意向で、唐突に歌わされることになったことなど、こんなに「神話性」をもって語られるアイドルはいない。
2009年、ハロープロジェクトを卒業し、アイドルではなくなったが、これ以降、ソロでの国民的アイドルが日本の芸能界から排出されることはここ10~20年経ってもないと思う。
彼女の魅力は、ただルックスや歌唱力、はたまたキャラクターやプロポーションなど、アイドルに必要な要素のみを抽出して語られるものではないが、ここでは、超入門編として、楽曲のみにフォーカスを当て、そのあまりに分厚い地層の一端を垣間見ることで、彼女の成し遂げた偉業を振り返りたい。
青島玄武 五曲選
『オシャレ!』
2002年元日に発売された初のアルバム『ファーストKISS』所収。
ここで明らかにすべきは、わたくしがそんなに松浦亜弥のファンではない、ということ。(笑)
モーニング娘。ファンの中でも極端な保守派で、一時期は「ハロプロ不要説」まで説いていました。
そんな中、一気に国民的人気をさらっていく松浦亜弥は、わたくしにとっては獅子身中の虫のように感じたものです。
むろん、現在では「ハロプロ屈指の名盤」と呼ばれるこのアルバムを見向きもしないどころか、どこかで胸糞悪いと唾棄に伏していました。
ところが、「爆音娘。」という、ハロプロの曲を夜通しかけ続けるDJイベントにおいて、この曲を初めて聞いた時、身体が自然とふわふわ揺れだして、気が付いたらフロアの真ん中で手拍子叩いて喜んでいる自分がいました。(笑)
以来、松浦亜弥は、敬遠しつつも、畏敬の念を以て観る存在へとなっていくのです。
『I know』
2003年春のライブツアー『松リングPINK』より。
現在では、ハロープロジェクトコンサートでの定番曲。わたくしも、ハロコンでのメンバーのパフォーマンスに触発され、そこから逆にたどって好きになった曲です。
動画では、歌詞を飛ばして動揺する彼女の貴重な姿が見られます。(;・∀・)
『砂を噛むように…NAMIDA』
松浦亜弥コンサートツアー2006春 『OTONA no NAMIDA』より。
作曲・たいせー、編曲・小西貴雄。つんく♂作ではありません。
わたくしが買った松浦のシングルで、唯一の発売週に買ったものがこれ。(笑)
ちょっと気づくのが遅すぎたようです。(;・∀・)
『dearest.』
アンプラグド・アルバムとして企画された『Naked Songs』のオリジナル曲で、「後期・松浦亜弥」を象徴するような曲。
ここまでくると、もはや太極拳の達人のような佇まいすら感じます。
ハロプロにもこの曲をカバーする人が多く、どれだけこの人が尊敬されていたかがよくわかります。
元モーニング娘。8期メンバー、リンリン
元Berryz工房・菅谷梨沙子
※25秒~
モーニング娘。'15 11期メンバー、小田さくら
比較して聴いてみるとわかりますが、ちょっとでも腕に覚えがある人ならば、一度は歌いあげてみたい欲求をくすぐり、なおかつその分ハードルもやけに高いという、絶妙な曲なんですね。
松浦亜弥が、後輩たちにとって遥かなる峠であることがよくわかります。
『チョコレート魂』
2009年2月11日発売。現時点では松浦亜弥のラストシングル。
狂言が「太郎冠者に始まり太郎冠者に終わる」ように、アイドルである不自由さに飽いて、あらがって、自分らしい表現方法をストイックに追求し続けた結果、またアイドルソングに回帰してしまうあたり、松浦亜弥が国民的アイドルであるのは逃れられないのかもしれない。
作詞は三浦徳子(よしこ)。早見優『夏色のナンシー』や杏里『CAT'S EYE』など、80年代のアイドルや歌謡曲を牽引し、美勇伝やBuono!、真野恵里菜などのハロープロジェクトの楽曲も多く手掛ける。「名刀は然るべき鞘に収まるべし」という教訓通りの名曲。
コブラ塾長 五曲選
『待ち合わせ』
『ドッキドキ!LOVEメール』のカップリング。2002年春の「ファーストデート」コンサートライブでの映像。
シャッフルビートの心地よい、まるでポスト渋谷系の曲。こんな曲がつんく♂さんから生まれていたことが信じられません。まずはあの人、本当に多才。(笑)
歌はファルセットが心地よく、けっしてバラードではないため、リズム感も要するが、難なくこなしているあたり、すでに大器の気風が備わっていますね。
『笑顔に涙 ~THANK YOU! DEAR MY FRIENDS~』
『卒業』がテーマ。後にモーニング娘。新垣里沙が、自身の卒業の際、シングル『恋愛ハンター』のカップリングとしてカバーした。
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2003年発売の二枚目のアルバム『T.W.O』所収。映像は2005年春 『101回目のKISS~HAND IN HAND~』より。
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以上、なかなか濃ゆい内容だったと思います。
まったく、ひとりでアイドルの歴史を上から下まで舐めつくしたような活動だったのではないでしょうか。
現在は、2014年末に女児をご出産ということで、産休に入っておられますが、いつかはまたその歌声を聴いてみたいものだと思います。
最後に、2013年末のカウントダウンコンサートに出演なさった、現在最も新しい「あやや」の歌声をどうぞ。
本当に、ファーストアルバムは粒よりの一枚ですね。全部シングルカットしても、ちゃんとシングルになりそう。
『The 美学』
カップリングの『I know』はハロプロの定番曲として進化したのに対し、この曲は発売当初から不評を買っていました。
もうそろそろ再評価の時期に来ているのではないでしょうか?
『ナビが壊れた王子様 (LOVE CHANCE)』