日時;2024年4月19日(金)19:30~
会場:NHKホール
指揮:クリストフ・エッシェンバッハ
演奏:NHK交響楽団
曲目
ブルックナー:交響曲第7番ホ長調(ノヴァーク版)
感想:
アップを忘れていたが、先日の久々に聴いたNHK定期の感想。
エッシェンバッハ氏がブル7を振ると聞いて、急遽訪れた。
かのマエストロは上海で、南西ドイツ響を聴いて新世界で心酔させられたのでN響とのブルックナーはどんなものかと気になった。
本番前にプレコンサートがあり、出番がないいわゆる下り番のオーボエとイングリッシュホルン2本という変わったトリオのベートーヴェンの楽曲が演奏された。
オケの中で聴くのとは違った軽やかなリズムで非常に楽しい曲だった。
今回3階の最安席だったが、このNHKホールというのは不思議な空間で、豊かな響きはないが、その分舞台と距離があっても明瞭に音が届くので実は聴きやすいホールとも言える。
ただこの日の客席はプログラムのせいなのか、マニアックな風貌の男性聴衆がやたら多い印象である。
さて本番だが、事前に指揮者の譜面台が取り除かれ暗譜で指揮することを伺わせる。
マエストロが登場するとさすが御年84歳ということもあって、足取りは弱弱しくあるが、スコアを置かず指揮台に立つ。
ゆったりとスタートし、よどみなくブルックナーの音楽がN響によって語られる。
決して急ぎ過ぎることなく、金管も力み過ぎることなくバランスの良い音楽で、どの楽器が目立つようなこともないが、オーボエにはきらりと光る音が時折感じられた。
マエストロの動きは決して派手ではないが、そこから豊かな流れが紡ぎ出されている。
2ndヴァイオリンやヴィオラの内声も埋もれず、きちんとメロディが聴こえる。
ただ個人的な願望を言えば、金管のファンファーレ的な部分では、弦のキラキラが少し埋もれ気味になったので、もう少し踏ん張ってほしかった面はあるが、出来栄えとしてはさすがエッシェンバッハであり、さすがN響といったところだった、
第2楽章のアダージョに入っても安定感は変わりなく、弦の和声の整え方は惚れ惚れするレベルである。
金管に合わせて弦があがっていく部分がたまらなく情緒的である。
負けじとコーダのホルンの和声も素晴らしかった。
スケルツォの第3楽章ではややゆったり目のテンポで曲がスタートする。
金管の歌いにもう少し精度が欲しかったような気もしなくはないが、不足があるわけではなく、十分なレベルである。
フィナーレ第4楽章では、軽やかに音楽がスタートする。
曲が進むにつれリズミカルに鳴ってしまったので、もう少し重々しく宇あって欲しいとか、弦の音量に比べ金管が強すぎるかなと思える部分もなくなかったが、リズムも音色も十分に整った演奏であった。
全体としてドイツの正統派の指揮者がN響を振るとこんなに王道のブルックナーになるんだなと改めて驚かされた演奏で、。
ところで余談だが、このNHKホールというのはトイレが非常に充実している施設だなと改めて感じた。
設備の清潔さや装飾などは他の施設とは変わらないのだが、数が多いというか各階に十分な余裕があるのである。
客席キャパに比較して十分すぎるくらいで設置されてあり、今回休憩なしのプログラムだったのではっきりとした検証は出来なかったが、他のホールだと休憩中にトイレ行列が出来る施設は非常に多く、それに比べるとスカスカなくらい余裕があった。
まあ紅白とか歌謡コンサートでも使われる日本を代表するようなこのホールだが、トイレの面でもかなり充実しているなと感じられるホールなのである。