上海鑑賞日記(主にクラシック)

上海鑑賞日記(主にクラシック)

上海生活の合間に聴いた音楽や見たスポーツなどの記録を残します。

日時:2020年11月28日(土)20:00~

会場:上海交響楽団音楽庁

指揮:張櫓

演奏:上海交響楽団

ピアノァルト:王雅倫

ソプラノ:黄英

バリトン:楊小勇

合唱:蘭州音楽庁合唱団

曲目:

モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番K488  

フォーレ:「レクイム」ニ短調 作品48

 

 

感想:先週に引き続き上海交響楽団の演奏会。

指揮者はこの楽団のアシスタント指揮者の張櫓さん。

年間プログラムだと音楽監督の余隆さんになっていたが、恐らく客演指揮者があまり来られない状況の中で、担当の組み換えが必要になったのだろう、まだ若干27歳である。

前半はモーツァルトのコンチェルトを王雅倫さんをソリスト迎えて行われた。

 

この王雅倫さんは薄紫のレース系のふわっとした衣装で、子供がスキップするが如く軽い足取りで登場した。

 プロフィールの写真もまだ大人になりきれない顔だちで、それもそもはずで2004年生まれの16歳である。

 さて、演奏が始まるとやはり若さが出てしまったような印象である。

 懸命に美しく弾こうという姿は見えるが、モーツァルトのコンチェルトなのに雰囲気的にはショパンあたりを弾いているようなタッチ加減である。

 また伴奏するオケ側も、決して下手くそではないが、あまりモーツァルト的な艶やかさというか、華やかさを感じられない。

 この違和感というのは、中国で食べた日本料理の違和感にも似ている。

 本来はモーツアルトはどの曲もモーツァルトの香りがするのだが、ちょっとその香りは残念ながらなく、音の表現が少し雑な印象を受けてしまった。

 モーツアルトの持つ光と影の世界があまり現れてこないのである。

 第3楽章も、軽やかさに欠け、あの時代の音楽にはなっていない印象である。

 このソリストは、コンチェルト終了後のアンコールでも2曲ほど弾いたが、本人は悦に入って、気持ちよく弾いていたが、繊細さという面で一段も二弾も欠け、聴いている聴衆を気持ちよくさせてもらえなかった。

 彼女にはまだ時間が必要なようである。

 

 さて、後半はフォーレのレクイエム。

 合唱団はわざわざ内陸の蘭州から呼び寄せたようで、8月末に別オケでマーラーの復活の合唱に客演していたことから、中国国内ではかの合唱団は評価が高いようである。

 確かに演奏が始まってみると、それなりに力がある印象は受けた。

 透明度とか、音のまとまりといった面ではまだ粗は否めない面もあるが、音程も安定しており、声量もそれなりに出る。

 ソリストもバリトンの方は声が渋く、いい声で歌っていた。

 ソプラノの方も決して悪いパフォーマンスではなかったが、男性ほどの魅力は感じなかった。

 指揮についていえば、合唱はつまり歌う必要があるので、オケもそれなり歌う姿勢が生まれ、きちんとしたメロディの流れは出来上がっていたように思う。

 そもそもこのレクイエム自体、私は生で聴くのは初めてであるため、細かい音の動きは把握していないのだが、音の響きや流れは心地が良かった。

 まあ、深く心に響くといったレベルには入って来なかったのではあり、もっと上のレベルの演奏は可能だとは思われるのだが、少なくとも前半のコンチェルトよりは良い印象が残った演奏だった。