雨の日だったけれど | 沖野修也オフィシャルブログ Powered by Ameba

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今日は、

雨だったけれど、

素敵な光景に出会した。


買い物に行って

家に戻り、

先に車を降りた

妻が、

「こんな所に蝶がいる!」

驚く声を発した。


エアコンの

室外機の上に置いた

いけばな用の流木にとまった

アゲハ蝶が

ゆっくり

羽根を開いたり閉じたり

している。


妻が

「雨宿りしているのかしら?」

訊くから、

僕は

「今蝶になったばかりなんだよ」

事情通の如く、

否定ではなく

真実を伝える

慎重なトーンで答えた。


実は、

それは

僕が庭先で見つけ

家の中に入れ

外敵から

守ってやっていた蛹だった。


海外滞在中に蝶になったら

外に出れなくなるので

一ヶ月以上前に

止む無く

軒先に戻していたのだ。


伸ばしているのか?

乾かしているのか?

それは

恐る恐る

羽根を

動かしているようにも見える。


早く雨が止むといいね。


僕は、

妻に家に入るように促しながら

そう言った。

蝶にも話しかけるように。


キッチンで何故僕が蛹を

家の中に入れていたかを

妻に話した。


蜂が卵を産み付けるからだ。


ところが、

携帯で調べてみて、

僕は恐ろしい事実を知る。


アゲハに寄生する

アゲハヒメバチは、

蛹を狙うのではなかった。


幼虫時代に

産み付けられた卵は、

孵化した後

宿主が死なないように

時間をかけて体内で成長し、

蛹になった時点で

全てを食べ尽くして

蛹を破って外に出て来る

と書いてあるではないか!


とにかく、

運良く

蛹は

蝶になれた。


虫であっても

その命は

僕が

守れるものではない事を知った。


守ったと思い込んでいた僕が

再び危険に晒した

(家の中で羽化しても餌がないので)。

しかしながら、

そもそも寄生のリスクは

僕の驕りの前に

既に存在していたのだ。


それでも

蝶の''誕生''に

遭遇出来て良かった。


写真を撮る時に

蝶に近付き過ぎたのか

室外機から

羽ばたこうとして

落下してしまった。


僕が手を差し出すと

蝶は

僕の指にしがみついた。


流木に戻すと

再び

蝶は

羽根を開閉した。


まるで深呼吸をするかのように。