今日、
朝食時に
衝撃的な事実が発覚した。
「食パンの''端''は
今回も
僕が食べておいたからね」
と妻に伝えると
「なんで?」
と訊かれた。
僕は
「君を愛しているから
きっと好きじゃないであろう
食パンの''端"を
僕が犠牲になって食べるって
当たり前じゃないか」
と答えた。
妻が反論する。
「だから、
毎回、
私、
パンの端が好きなのに
どうして食べちゃったの?
って言ってるでしょ。
22年間ずっとよ
(妻と一緒に住み出して22年)。
私の話、
聞いてないでしょ」
と。
「え、
それ、
ずっと冗談だと思ってた...」
と口から言葉が出た瞬間に、
時間が止まる。
妻の顔は真剣だ。
「食パンの端が好きだって
あなたが
食べといてあげたよと
言う度に
伝えてたでしょ?
だから
食べなくていいって」
妻は
怒っていない。
呆れているのだ。
だから、
それは
僕の犠牲を労った
優しい言葉だと
思い込んでいた...
「ひょっとして
僕達は、
お互いに犠牲者だったの?
好きでもない
食パンの端を食べ続けた僕。
そして、
大好きな
食パンの端を
毎回食べられなかった君。
しかも、
22年間も!」
僕は思わず
大きな声を出してしまった。
僕達が
口論していると思った愛犬が
不安になったのか
鼻を鳴らしている。
僕は
石の如く
固まってしまった。
妻が肩をすくめて
目を回している。
愛犬が
妻の横に座る。
彼女が頭を撫でる。
四つの目が
部屋の中に
突然現れた
岩のような物体を
凝視していた。
おわり























