ハグしてあげて | 沖野修也オフィシャルブログ Powered by Ameba

沖野修也オフィシャルブログ Powered by Ameba

Kyoto Jazz Massive 沖野修也 Official Blog

 

 

 

昨日

実家に戻って

土地の権利書を

改めて探した。

 

2月に亡くなった母の

相続の手続きの締め切りまで

残り2ヶ月となっているから。

 

実は、

既に

家中を探したと思っていたのだが

茶の間に隣接した

2畳ほどの小部屋のことを

すっかり忘れていたのだ。

実家に戻ると座る定位置の

背後に位置していたから

死角になっていたのだ。

 

会計士に

権利書は最悪なくても

土地と建物の寸法を計測すればいい

と言われてはいた。

でも、

バッテリーがあがったままになっている

愛車の事も気になっていたし、

その小部屋に権利書があるかもしれないと

忙しい合間を縫って1時間だけ

実家に立ち寄った。

 

必死になって

権利書を探したものの

時間切れで断念(途中で計測に切り替えた)。

しかし、

僕は別のものを見つけた。

 

それは、

母の日記。

 

33年前にガンで入院中の父が亡くなる前までの

数ヶ月、

母の行動と父が発した言葉が

克明に記されていた。

 

ページをめくるたびに

その日に起こったことの記述は減って行き、

父の発言と体温が記録されて続けていた。

 

そして

いつしか

体温だけの日々が何ページも続き、

7月の16日に

"突然の急死"という言葉を最後に

日記は途絶えていた。

 

いや、

その次のページをめくれなかったので

続いていたのかもしれない。

 

でも、

そこで読むのをやめた・・・。

 

父が亡くなった後

彼女は取り乱し、

憔悴し、

葬儀も僕が取り仕切った。

 

その後、

33年間

僕は母に優しく接することが

ほとんどなかった。

 

母が祖母の介護をしていた時も

うつ病になった時も・・・。

 

子供の頃から

ありとあらゆる事を禁止して来た母。

有名人の盲目的崇拝、拝金主義、学歴偏重と

僕とは相容れない思想を持っていた母。

 

何の仕事をしているんだ?

派手な格好は止めろ!

不健康な生活や

回数の多い海外旅行で心配させるな!

ヒゲを剃れ、

早く就職しろ!!

 

と僕に会うたびに不機嫌になり

癇癪を起こしてキレまくるから

僕もつい感情的になり

いつも口論ばかりしていた。

 

だから

彼女が困っている時も

寄りつかなかったし

助けることはあっても

優しい言葉をかけなかった。

 

だから

日記を読んだ時、

藁にもすがる思いで

父の回復を祈っていたのに

彼女の心がすり減って行って

諦めが

絶望に変わって行く様子を目の当たりにして

僕は

激しく後悔した。

 

実は

亡くなる半年程前から

心を鬼にして

可能な限り優しく接した。

 

口喧嘩はしたけれど

次に会う時は

極力優しい言葉を選んだ。

 

おかげで

亡くなった時は

後悔しなかったのに・・・。

 

今、僕は、

父が亡くなった時に

どうして

母にもっと優しくできなかったのかと

後悔している・・・。

 

そんな僕から

このブログを読んでいただいた方に

お願いが一つ。

 

母の生前に

とある友達から助言を受けた。

 

ハグしてあげて、と。

 

一回目に試みた時は

母は気持ち悪いと激しく抵抗したけれど、

二度目の時は

弱っていたのか

恥ずかしそうに

静かに受け入れてくれた。

 

ハグしたことで

僕の後悔は少しだけ

免責されている。

 

中には

僕みたいに両親と揉めている人もいるだろう。

殺したい程憎んでいるならオススメしないけれど、

お父さんやお母さんに(心を鬼にしてでも)

ハグできるならしてあげて欲しい。

 

あなたが

生まれた時に

彼らがしてくれたように。

 

小さいけれど

大切な恩返しだと思う。

 

ハグしてあげて。

優しく、そっと。