何とか一命を取り留めた
クワガタムシ。
次に僕に与えられたミッションは、
自然に戻すこと・・・。
片方のツノが極端に折れ曲がった
奇形の昆虫は、
おそらく、樹液を吸えない・・・。
僕の行為は
自然の摂理に反する行為だったのかもしれない。
僕の家の前で発見された時は、
弱っていたので、
もし僕に捕獲されなければ
そのまま死んでいただろう。
でも、
ゴミ拾い用のトングに必死にしがみつく
"彼”の姿を見て
助けずにはいられなかった。
いや、
僕に助けを求めているとしか思えなかった。
これは
人間のエゴなのか・・・。
僕の自惚れなのか・・・。
昼間は流木の下、
マットの中に潜って
隠れているので、
夜になると引っ張りだして、
ゼリーにツノを突き刺した（苦笑）。
これを繰り返すこと数日。
そろそろ放してやるべきかなと
決断しようとした時に
僕は
東京に
行かなければいけない日が
迫っていることを思い出した・・・。
（つづく）