今ね、BARNEY'S NEW YORK新宿店の控え室で・・・。 | 沖野修也オフィシャルブログ Powered by Ameba

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Kyoto Jazz Massive 沖野修也 Official Blog

今ね、
BARNEY'S NEW YORK新宿店の控え室?で
この文書いてるんです。
芳名帳と頂いた名刺で
お一人お一人のお名前を見て、
足を運んで頂いた事を
本当に感謝しています。

正直、
個展をやることになるとは
夢にも思っていなかったので、
今日も会場内を見渡して
感慨に耽ってしまいました。

何でDJがイラスト展?
みたいに今も思われているかもしれませんが、
今回展示されている作品は
結構音楽に関係しているんですよ。

一番古いものは、『ジャングル』という作品で、
ロンドンのジャズ雑誌、
"STRAIGHT NO CHASER"の為に書いたイラスト。
ラテンDJ、デイヴ・ハッカーのコラムに使われたものを拡大し、
シルクスクリーン印刷にしています。
当時、e-mailがなかったので
Faxでロンドンに送ったんですよね。
実は、
雑誌に使われた時は
縮小されていたので気付かなかったんですが、
今回、
シルクの版を作るに当たり、
拡大してみたら、
線が全てギザギザになっていたんですよ。
FAX効果(苦笑)です。
勿論、直したんですが、シダの葉だけはそのままにしました。
あれ、偶然の産物なんです。

2番目に古いのが
MONDO GROSSOがデビューした時に
レコード会社が発行した
"YELLOW NOTE"という小冊子の
表紙に使われた
架空のトランペット奏者の肖像画。
服の皺は、
筆書きを意識した
僕の中ではかなり和風な作品なんですが、
背景が黄色いので
その狙い、
伝わってますかね?

作品の中には
哲学的なタイトルの着いたものが
4点程あるんですが、
これらは、
IN NATURALという雑誌に
僕が連載していた短編小説の
挿絵!だったんです・・・。

30代前半、
文芸誌にコラムを書いていた僕は、
編集者のススメもあって
小説家への転身を考えたことがあったんですよ。
でも、
やはり音楽家として
世界で勝負したいという思いが強く
小説は書かなかったんですが、
短期間だけ、
短編を挿絵と共に
連載していたんです。
だから、
『変な音』とか
『不条理な正義』とか
『STRANGER THAN PRIDE』とか
『曖昧な幸福』という作品名は
元を正せば、
全部短編小説のタイトルなんです。

その他、
女性の顔シリーズ(一枚だけ男性2人組が入ってます!)は
全て、
渋谷のThe Roomのフライヤーと
10周年+15周年記念の
コンピレーションの為に描いたものですね。

もっとあったんですが、今回厳選し、
自分が特に気に入っていたもの14点を作品化しました。

勿論、
新作はBARNEY'S NEW YORKさんの為の描き下ろし。
過去のキャンペーン・ビジュアルに
インスパイアーされたものをというリクエストがあったので
皆さんもご存知の某モデルをモチーフにしています。
会場にお越しになるとその発想の元になったものが
見れますよ。

こうやって
自分が選んだBGMで
展覧会会場に佇んでいると
自分でも気付かなかった可能性というものが
人によって見いだされ、
世の中に送り出されることがあるんだなーと
改めて神妙な気持ちになりました。

BARNEY'Sの中野さんの決断がなければ
今、僕はここにいなかったと思うんです。

DJとして普段、
人に知られていない曲を発見(時に救出し)
世の中に紹介している僕が、
逆に今回はこうやって見いだされ
紹介されているんですもんね。

人生とは不思議なものです。

残り3日。
僕はここに居て、
最初で最後になるかもしれない個展を
開催できた
そのありがたみを噛み締めたいと思います。

「あんたの絵なんか誰が見に来んの?」
と言っていた母を誘うべきかどうか迷ってたんですが、
今、
控え室で
この文章を書きながら
ようやく
決めました。

僕に命を与えてくれた母に
お礼を言う為にも
これから電話して
新幹線代もホテル代も払うから
「おいでよ」
と言おうと。

僕は
自分にどんな可能性があるかを確かめる為に
生まれて来たと思うんですよね。

散々迷惑かけて来た母に
少しは親孝行できるかな?

えっ、本業は音楽家なんだから
DJとかライブに誘う方がいいんじゃないのかって?

それが、
DJやってる姿を見せても
「あんた何やってんの?」
って言う始末だし、
アルバム出しても
「あんた歌ってんのか?」

てんで判ってない母も、
絵なら理解できると思うんです。

「ホンマにあんたが描いたんか?」
と疑われると思いますけど。

何でも人に振るの
よく知ってるのでw。