2023年12月27日にリリースした保坂修平トリオのアルバム「ボス・サイズ・ナウ」。
アルバム収録の各曲について、CDのライナーノートに書ききれなかったこと。
今日は7曲目の解説です。
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7, The rose
映画「ローズ」(1979)中でベット・ミドラーが歌っている。アマンダ・マクブルームが作曲し、はじめは評価されなかったが、ベット・ミドラーが気に入り演奏したことでヒットした。日本の映画「おもひでぽろぽろ」では都はるみによる日本語のカバーが使用されている。疾走感のあるアレンジで雰囲気を一新してみた。
The moon is a harsh mistressの回で「ダイアトニック追求」のお話をしたが、この曲もまさに、ザ・ダイアトニックな音楽。非常にシンプルな曲なので、よく音楽理論のレッスンで使っている。そして数え切れないくらいボーカリストの伴奏もした。
ということで、いくらいい曲と言えどもすこし食傷気味みなっていたのは事実。比較的最近、このアレンジをこしらえ、伴奏したりバンドで演奏するようになった。ミュージシャンは「新鮮なもの」が好きだから、みなこのアレンジを喜んでくれた。まずコードをすこしだけ複雑にした。そしてフィールをアップなものに変えた。気分一心。楽しん演奏してきた。
ところである日レストランで一人で弾いていたとき、お客様にリクエストされた。「ローズ」を弾いてくださいと。喜び勇んでこのアレンジで弾いてご挨拶に伺うと、「ローズは弾かなかったんですね」と寂しそう。ああ、このアレンジ、伝わらなかったのかと。そう、こういうことがあるのだ。良かれと思って施したアレンジが裏目に出た例。原曲の大切な要素を挙げるとすれば、この曲の場合、イントロの4分音符の和音。あの魔法。あれを弾かずにやるなら、相応の覚悟がいるのだ。
ともあれ、このアレンジには自信があるので、そんな事件(!?)にもめげずに演奏を続け、ついにこの度CDに収録しました。とくにトリオで演奏すると楽しいから。
それにしても、映画「ローズ」はたしかに面白かったけど、世の中の目線による「ミュージシャンってこういうもんだよな」的なステレオタイプな描き方。これがけっこうしんどい映画でもあった。こういうタイプの音楽映画はけっこう存在する。最近だとクイーンとかエルトン・ジョンの映画とかがそうだった。まあ、仕方がないのかもしれない。「皆が望むアーティスト像」を描くのが映画のヒットのためには必要なのだろう。
でも、そんな違和感がほとんどなかった音楽映画もある。「アマデウス」のモーツァルト、「五線譜のラブレター」のコール・ポーター、「ラウンド・ミッドナイト」のジャズマンなど。
話がだいぶそれましたが、結局僕は「ローズ」という曲を愛しているし、信じてる。この極限までシンプルな構造で唯一無二の個性、その強さを。だから、これくらいのアレンジでは揺らがないのだ。その強さは。
最後まで、ありがとうございます。
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保坂修平トリオ「ボス・サイズ・ナウ」
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ずいぶん前のバージョン。