ぁ。ども…おこんばんは〜〜今日もお疲れさまですおひつじ座ひつじ音譜


さて〜〜今日の昔ばなしはにっこり

騙されたのに、なんかいい感じニコニコはてなマーク

みたいな話ウシシ←なんそれ😅?



ほんじゃ〜〜口笛


「白狐の大芝居」(初回放送1981年10月3日)

語り(市原悦子)

お常ばあさん(常田富士男)

嫁さん・見物人(市原悦子)



大分県の昔ばなしです。

https://youtu.be/pFDlj2oLP4c?si=M9PQUBsvnQgrpj3r



昔…九州は大分県の北西の方、長岩屋(ながいわや)というところに、お常(つね)さんという、たいそう人の良いおばあさんが住んでおった。

ある日、そこから峠を1つ超えた真玉(またま)の浜の親戚に、お祭りに招かれていった。

「もう1晩泊まっていきなせえ」
「そうしてもいいんじゃが、嫁や孫も待っておる事じゃし…」
「今からじゃと、白丸(しろまる)峠の辺りで日が暮れてしまうで?」

「なに、慣れた道じゃで…それに、今夜は月夜になりそうじゃ。提灯なしでも歩けますじゃろ」
「それじゃあ、十分気いつけてな」
「それじゃあな」

お常ばあさんはそう言うと、白丸峠目指して歩き始めた。

真玉川べりを、とぼとぼと…常磐(ときわ)も過ぎた辺りでは稲の穂も実り、黄金の波を打っておった。

「白丸峠ももうすぐじゃ。ちょっと休んでいこうかい…」

お常ばあさんはそう言って、田んぼの側に腰を下ろした。

「あ〜〜今年も豊作…真玉祭りも賑やかじゃった。土産物もどっさりと…嫁や孫も、ワシの帰りを待っとる事じゃろう」


じょうの前から、道はだんだんに爪先上がりの道になり、白丸峠にさしかかった。

峠の中ほどで、日が暮れてしもうた。

すると、どこからともなく、祭り太鼓の音が聞こえてきた。

「おや?あの太鼓の音は…真玉の祭りは終わった筈じゃし、この峠にお社…あったかいのう?」

ふと見ると、提灯を持った行列が…

「一体、どこの祭りじゃろう…」

祭り好きのお常ばあさんの心が、うきうきしてきた。

そこでお常ばあさんは、その行列に声を掛けてみた。

「ちょっと、お尋ねしますがのう」
「はいはい、何でございます?」
「この辺りで、祭りがあるんかいのう?」

「あれ?ばあさん、知らないのかね?この峠で、いい芝居がかかっとるので、みんなそれを見に行くんじゃよ」
「へえ…この夜中に、芝居が?そりゃまた珍しい…」
「ばあさんも見に行くといいよ」

お常ばあさんは、芝居も気になったが、家の事も気になっていた。

「じゃがのう…芝居を見ていると遅くなるし…どうしたものかのう?」

そして、暫く考えた末に…

「まあ、一幕ぐらいだけなら、ええじゃろう。そうじゃ、一幕だけ見て帰ろう」

お常ばあさんはそう心に決めて、みんなの後をついていった。

すると、どうじゃろう…

こんな山の中に、芝居小屋が建っておった。

「ありゃ〜〜?いつ頃こんな小屋が出来たんかいのう?」


小屋の中では、ちょうど「忠臣蔵」の判官(はんがん)切腹の場面であった。

「力弥(りきや)、力弥…由良之助(ゆらのすけ)はまだか?」
「未だ参上つかまつりません」
「力弥、力弥…由良之助は…」
「未だ…」
「存生(そんじょう)に対面せで、残念なと申せ…」

すると…

「国家老、大星由良之助とは、その方か?近う近う…」
「は…大星由良之助、参上つかまつってございます!」
「由良之助か…待ちかねた!」


なんとも、驚いた。

田舎芝居では見た事のないほどの、名演技ではあった。

お常ばあさんはすっかり心を奪われ、嫁や孫の事もすっかり忘れて、一幕どころではなくなった。

すると、隣にいた見物人が…

「おばあさん、どうぞ…いなり寿司、食べなされ」
「いやいや…それどころか、もう胸がいっぱいで…」
「遠慮しなんすな」

言われるままに、お常婆さんはいなり寿司をご馳走になった。

「それじゃあひとつ…いや、こりゃ美味しい!」

すると、反対側からも…

「おばあさん、フフフ…ぼた餅も食べなされ」


そしてとうとう、最後の芝居になった。

その芝居というのは、恋人を亡くした侍に助けられた白狐が、恋人の妹…葛の葉姫(くずのはひめ)の姿になり、侍と夫婦(めおと)になるのじゃった。

2人の間には子どもまででき、幸せな日々を送っておったが…

そこへ、本物の葛の葉姫が現れた。

そのため、白狐は子どもと夫を捨てて、別れなくてはならなくなった。

「とても、この家(や)に長居はならず…別れにゃならぬ定めとて…せめて名残にただ一筆…そうじゃそうじゃ…」

と…白狐は、筆を口にくわえて一筆したためた。

「恋しくば たずね来てみよ 和泉なる…篠田の森の うらみ 葛の葉…」

と、芝居がここまで来ると、今まで騒がしかった場内が急に静かになり…

見物人一同、涙をぼろぼろとこぼし、最後には大声でわっと泣き出す者もおるぐらいじゃった。

おばあさんも、それを見て感激して、一緒にもらい泣きしたぐらいじゃった。


芝居が終わった頃には、もう東の空がうっすらと白んでおった。

見物人たちはまた、それぞれ提灯を手にして帰っていった。

「いやあ…こんな素晴らしい芝居が、こんな山の中でかかっているとは驚いた。こりゃ早速、村の衆にも教えてやらなきゃいかん。これで土産話が1つ増えた」

お常ばあさんは疲れも忘れて、足早に長岩屋の家に帰っていった。


家に帰って早速、嫁さんにこの事を話すと…

「おばあちゃん…白丸峠には、そんな芝居などかかるものか?おばあちゃんはきっと、白嬢(しろじょう)に騙されたのじゃ」
「白嬢に…?」

「白嬢」というのは、この地方で有名な狐で…

上真玉(かみまたま)の白丸の「白嬢(しろじょう)」、真玉の赤坂の「赤嬢(あかじょう)」、草地猫石(くさじねこいし)の「猫嬢(ねこじょう)」を「三嬢狐(さんじょうぎつね)」と呼んでいた。

「まさか、そんな事はない。この目でちゃんと見たんじゃから…それじゃあ、あのえろう美味かった、いなし寿司は?」
「馬フンじゃろ?」
「それじゃあ、あのこってり甘かった、ぼた餅は?」
「そりゃきっと、牛のフンに決まっとる」

お常ばあさんは、それでも信じられんかった。

「まさか、馬のフンじゃなんて…」

それでも嫁は、それは狐の仕業に決まっとると言い張った。

それなら、今夜もう一度行って確かめてみようと、日のあるうちに寝床に就いた。

じゃが、なかなか寝つかれるわけがない。

夜はまだかと、待ち続けるうちに…

やがて、白丸峠に月が昇ってきた。


お常ばあさんは早速、白丸峠に向かった。

やがて、月が昨日と同じくらいに昇りきった頃、太鼓の音が聞こえてきた。

「ほれ、やっぱり祭りは本当であったろうが」

昨日と同じように、たくさんの提灯が見えた。

「これ、今夜もゆっくり芝居見物といたしましょう」

と、提灯と思っておったのは…

「ややっ?こりゃ…提灯と思いの外…狐火(きつねび)だ!…という事は…嫁の言うとった事は、本当の事であったか?」

それでも、もしかして芝居だけは本物ではないかと思い、峠の上まで行ってみた。

じゃが、そこには芝居小屋はなかった。

お常ばあさんが、木陰からそっと覗いていると…

なんと、あの「葛の葉」の芝居を演じているのは、狐であった。

それにしても、あまりの上手さに…お常ばあさんは、狐である事もすっかり忘れて、見入ってしもうた。

「一幕だけ見て帰りましょう。そうしましょう…」


狐たちは、お常ばあさんに芝居を見てもらいたかったので、牛のフンや馬のフンなど食べさせはしなかった。

それにしても、道理で…狐の出てくる「葛の葉」の芝居をやっているはずじゃ。

多分、赤坂の赤嬢と猫石の猫嬢が演じて、白丸峠の白嬢が太夫元(たゆうもと)をやっていたのじゃろう。

おしまい。



この話は、大分県に伝わる民話との事で、真玉や長岩屋や猫石などの地名も実在するそうですにっこり

なんかね…騙されてるのに、何故か幸せな気持ちになる不思議な話やなと思いますほんわか

狐さんは、もしかしてお常ばあさんが芝居好きなのを知っていて、それでわざわざ芝居を見せてくれていたのかな〜〜とさえ思えてしまいますニコニコ

余談ですが、狐さんが演じていた「葛の葉」の子どもというのは、後の安倍晴明(陰陽師)やね口笛

ちなみに「太夫元」というのは、劇場の興行責任者…座長よりも位が高いんですねにっこり


にしても、お嫁さん…「馬フンじゃろ牛のフンじゃろ」って笑い泣きそんな塩対応な🧂

まあ昔から、狐や狸は人を騙すや化かすなどと言われていますが無気力

まあその…金品を騙し取られるとか、イタズラされるとか命を脅やかされるとか、そんなのは御免被りたいけど魂が抜ける

お芝居見せてくれるんやったら、ちょっと騙されてみたいかも〜〜なんてちょっと思ってしまいましたニコニコ

そーいや前回の話も、狐さんが村を救ってくれた話でしたなウシシ
 
また今回と似たような話で、「おさん狐」とゆー🦊

道行く人に声をかけては、朝まで酒を酌み交わしながら、他愛もない昔話などをして楽しませてくれるような、何とも人情深い狐さんの話もありますにっこり←狐やのに人情っておかしいけど😅

そして偶然か、今回と同じ大分県のお話なんよね指差し

昔ばなしにしては、ちょっと艶っぽい話で…

お子ちゃまやった当時見た時は、イマイチ意味が分からんかったのですけどねねー


狐さんは決して悪者ではないなと思います…なんせ神社に祀られるくらいやし神社

それ故に、もし狐さんをいじめたりすると、それに対しては復讐される恐れがあるので、要注意かも…そんな怖い昔ばなしもあります驚き


そして昔ばなしには他にも、動物さんがお芝居や祭りをする話がいくつかあって口笛


お寺で飼っている猫さんが、夜な夜な仲間たちと山の中で、お芝居をしたり猫ゆらのすけはまだにゃ?


けど猫さんの場合、狐さんや狸さんとは違って、人を化かすのではなく、あくまでも人知れず自分たちだけで集まって…という感じなんよね猫黒猫三毛猫

そして、その事を人に知られてしまったら、その家に居られなくなるのか、ある時フッと姿を消しちゃう猫さんもいたりしてね無気力

なんか、動物さんと人との隔たりというか、どこかしらに一線を越えたらいけない何かがあるのかな〜〜と思うと、やっぱり切ないですね真顔


訪問が化かされるほど遅れております…毎度ゴメンやす絶望

では〜〜明日もご安全に〜〜照れ
おーきにです〜〜ほなね〜〜バイバイチュー笑音譜