脊柱管狭窄症(16)-脊柱管狭窄症1「痛い」とは- | 日々の小事・日々の戯言

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 脊柱管狭窄症の全体を理解するために、脊柱管狭窄症について整理してみたいと思います。私は医師でも研究者でもありません。これから記す内容は主にネットで調べた結果を整理したものです。同じことを記述していても、HPによってその記述が異なっていることはままあります。なるべく、専門医や研究者の記述した内容を選択して整理・記述したつもりではいますが、素人です。誤りや誤記などをご指摘いただければ幸いです。
(1)痛覚受容器
  刺激を受入れて最初に応答する細胞あるいは細胞の特定部位を受容器といいます。痛覚受容器は感覚点の一つである痛点に存在し,自由神経終末が痛覚受容器となります。自由神経終末とは,他の感覚受容器と異なり特別な構造を持たず、ニューロンの神経線維の末端をいいます。いいかえれば感覚神経を構成するニューロンで「痛み」の刺激を受け取り、それを電気信号に変えることのできる神経線維の末端を自由神経終末(痛覚受容器)とよびます。
(2)ニューロンと刺激の伝導・伝達
  神経細胞をニューロンと呼ぶ。ニューロンは特殊な形態をしており、細胞体、軸索、樹状突起からなる。「痛い」などの様々な情報はニューロン内を電気信号として伝導します。
  その電気信号を次のニューロンに伝達するには、神経線維の末端まで電気信号が到達するとその末端からある種の化学物質が放出され、その化学物質を次のニューロンが受け取ると次のニューロンにも電気信号が生じ、その電気信号がニューロン内を伝導していくことになります。このようなニューロン間での信号の伝達場所をシナプスとよびます。

図1-1

(3)痛覚に関わるニューロン
  痛覚を大脳皮質の体性感覚野に伝えるニューロンは3つである。信号が伝わる順に一次ニューロン、二次ニューロン、三次ニューロンと呼びます。
 一次ニューロンは感覚神経と呼ばれている神経を構成する細胞です。一次ニューロンの末端が痛覚受容器になっています。一次ニューロンの細胞体は神経節を形成し、束になった神経線維は脊髄神経後根を通り脊髄に入ります。なお、神経根とは呼ばれる箇所は図1-2で示せば、脊髄から枝分かれした部分から脊髄神経の根本までを指します。神経根ブロック注射は後根と前根が合流した脊髄神経の根元に打つそうです。

図1-2

 

 

 一次ニューロンは二次ニューロンと脊髄の灰白質の後角でシナプスを作り、対側の白質の脊髄を上行(前脊髄視床路)します。なお、温度覚・痛覚は脊髄で交叉しますが、その他多くの神経は延髄で交叉します。
 二次ニューロンは三次ニューロンと視床でシナプスをつくり、大脳皮質の体性感覚野へ「痛み」の信号を伝えます。

 

図1-3    図1-4     図1-5

(4)大脳皮質の体性感覚野
 大脳皮質は大脳の表面を縁どっているニューロンの集団です。大脳皮質には様々な形状のニューロンが6層を成して配列し、それらのニューロン同士が非常に多くのシナプス結合を作って文字通り網の目状に広がるネットワークを形成しています。
 大脳皮質は、部位によって組織構造が異なり、それに対応して機能も異なっています。視床からの三次ニューロンの感覚情報を受け取り、どういった感覚なのかを判断する場所を感覚野といい、中心溝の後ろにあります。

 図1-6     図1-7

(5)「痛い」とは
 これまで述べてきたように、例えば足を怪我をすると足が「痛い」と足に痛みを感じますが、足が痛いと感じているわけではありません。足にある痛覚受容器が怪我の刺激を電気信号に変え、3つのニューロンを経由して、大脳の体性感覚野にその信号が伝わり、体性感覚野で情報を処理し「痛い」と感じます。したがって、痛覚受容器~三次ニューロンの一つでも機能しなければ、またはそれらの間のシナプスが機能しなければ、信号の伝導・伝達が遮断され「痛い」という感覚は感じないことになります。逆にそれらのニューロンが刺激を受け、「痛み」を感ずる信号が生じれば、「痛い」と感ずる箇所の痛覚受容器がはたらかなくとも(刺激をうけなくとも)、「痛い」と感ずることになります。

 その信号の伝導経路を整理すると下図のようになります。刺激の伝導経路は複数あり、痛覚や温度覚の情報はこの経路を走行します。                 

 このように考えると「痛い」とは体のある部位が刺激を受けて「痛い」と感じるか、もしくは「痛み」に関わるニューロンが刺激を受け、大脳皮質が「痛い」と感ずる信号を生じて「痛い」と感じるかの二つがあることになります。