脊柱管狭窄症(17)-脊柱管狭窄症2 腰・足の「痛み」に関与する神経- | 日々の小事・日々の戯言

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 脊柱管狭窄症(16)-脊柱管狭窄症1 「痛み」とは-では細胞レベルで「痛み」を考えました。それでは、痛む箇所とその痛む箇所の痛覚受容器の受け取った刺激を伝えるニューロンが体の中でどのように分布しているかを考えて見ます。  
(1)神経系
  脳,脊髄から身体各部へ興奮 (信号) を伝え,また身体各部からの刺激を脊髄,脳へ伝えるニューロンの神経線維の束が神経です。神経は身体全体にはりめぐられており、神経全体を神経系といいます。神経系は次のように分類されます。
 

(2)脊髄神経

図2-1

 脊髄からでた神経を脊髄神経といいます。脊髄から運動神経と感覚神経が別々に出ますが、それは合流して脊髄神経となります。脊髄神経はその出る箇所により、図2-2のように呼ばれます。それぞれの脊髄神経は分枝し、またそれらが吻合し、神経は網状の構造をとります。それで、その部分を神経叢(図2-3)と呼びます。腰・足に関わる神経叢は腰神経叢と仙骨神経叢です。
 腰神経叢は第12胸神経から第4腰神経の枝で構成されます。枝は皮枝(皮膚の感覚を支配)と筋枝(筋肉を支配)に分かれます。筋枝は腹筋、大腿の内側面、前面の筋を支配し、皮枝は外陰部、鼠径部、大腿の前面、内側面及び下腿の内側面に分布します。
 仙骨神経叢は第4腰神経L4から第3仙骨神経S3の前枝から構成されます。枝は皮枝と筋皮に分かれます。筋枝は外寛骨筋・大腿屈筋・下腿及び足の全ての筋・会陰筋を支配し、皮枝は臀部・大腿の後側・下腿及び足・外陰部の皮膚に分布します。

 図2-2 図2-3 腰仙骨神経叢  

 坐骨神経図2-4は人体最大の神経ですが、この坐骨神経は仙骨神経叢から骨盤の後面の大坐骨孔から外に出て、大殿筋の下方に現れ、大腿後面を下りながら大腿の屈筋群に枝を出し、膝の高さで脛骨神経と総腓骨神経に分かれます。脛骨神経は下腿の後面の屈筋群と足底の筋に分布し、総腓骨神経は下腿前面の伸筋群と外側面の腓骨筋群に分布します。

 図2-4   図2-5

 図2-5はデルマトームといって、どの神経が体の皮膚のどの領域の感覚を支配しているかを示していますが、臨床的にはほとんど役に立たないと断言される専門医をいます。確かにネット内のデルマトームを見ると異なるものもあります。患者の「痛い」という感覚が皮膚なのか筋肉なのか骨膜なのかを判断することは難しいと思いますし、その痛みの部位が確定できたとしても「痛み」が皮膚なのか筋肉なのか骨膜なのかによって支配する神経は異なり、その支配神経を特定することは難しいのが現状のようです。