ジュニアテニス備忘録(63)スタテニのトラブル(?)(その3) | 柵飯事2~shigaramimamagoto ~

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 前回の続きです。

 スタテニ等とカマたく氏が、カマたく氏主催のテニス大会(カマたくカップ)においてトラブルとなった件について記載していますが、それは、この案件が単なる一企業、一個人の案件ではなく、テニス業界やイベント企画会社・マスコミの根深い問題の典型的な事象であると思われたので本ブログに取り上げています。

 テニス業界の大きな問題の一つとして、選手の活動費が圧倒的に不足しているということがあります。必ずしも世界に通用しない選手が出場するゴルフの国内大会でも大型スポンサーがついて多額の賞金が出ますが、テニスの国内大会で賞金を稼いでも遠征費や練習費にも満たない現状があります。そこで、プロ選手は活動費と生活費の捻出のため、個別にスポンサー探しをしますが、そもそもテニス業界の現状では大会や選手活動の宣伝効果が不十分であることから、資金的援助をする企業や個人はリターンを期待できません。すなわち、現在のスポンサーは心意気とか情熱によって選手を支えているのであって、その意味ではスポンサーというよりはタニマチやパトロンといった表現の方が現実に近いのでしょう。
 また、日本テニス協会等が組織的にテニスを盛り上げたり、資金確保に努めたりしても成果が出ていない(又はサボっている)状況ですので、多くの選手がスポンサーから声が掛かるのを待っているというよりかは、資金援助者を自ら探すか、資産家であれば親族の援助を受けるという構図となっています。
 一部の上位ランキングの選手を除いて、国内のほとんどのテニスプレーヤーは金欠状態である一方で、テレビ等で露出の機会が少ないため、スポンサーに対する恩返しの機会がほとんどありません。パッチ(ウェアにつける広告)を付けても、大会に来場した一定数のお客さんへのアピールやテニス雑誌の掲載、あるいはイベントへの出席がほとんどですし、一般的に、選手がSNSでスポンサーを宣伝しても援助される資金額に見合うものかは疑問もあります。
 そもそも、ふるさと納税にしてもクラウドファンディングにしても、寄附者に対する精神的でも物質的でもなんらかのリターンを設定するのが最近のトレンドですので、テニスの選手活動においてもスポンサーに対するリターンを真剣に考えなければなりません。しかし、全ての選手にそうしたことを企画し、実行する力があるとは考えられませんので、誰かがテニス業界全体としてスポンサーが満足する企画を考えたり、取りまとめたりすべきですし、日本テニス協会がダメであれば、テニスで商売をしている人たち、例えばスタテニでも、テニススクールでもスポンサーとのウィンウィンの関係がどうやれば構築できるのか、スポンサーメリットとしてどのようなものを提供すればいいのか真剣に考えなければならないはずです。

 スタテニにも言い分があるのかもしれません。しかし、大会運営でミスをしたなどという以前に、金銭面のやりとりや担当者の態度にクライアントであるカマたく氏が大いに不満を持ったわけです。テニス業界を代表するYoutubeチャンネルの運営のトラブルですから、多少なりともテニス業界の不振を招き、スポンサーの拡大にもなんらかの負の影響が生じ、また、釈明もせず、関連動画を黙って消したとあっては、スポンサーを大切にしない、あるいはカマたく氏を単なるパトロンとしかとらえていないと印象付けるおそれは十分にあるでしょう。要するに今回の大会の関係以上にスポンサーとの関係を発展させる気はゼロであり、テニス界の発展に寄与する姿勢ではなく、その場だけの利益優先のいたって普通の企業に過ぎないとのマイナスの印象を与えていることは否めないでしょう。
 金欠が慢性化しているテニス業界で、こうした形で、しかも影響力の強いスポンサーを黙ってパージするという企業が、視聴者に対して日本テニス界を牽引しているとの喧伝するのであれば、それは一企業や一個人の問題ではないと捉えられても仕方がないと思われます。また、次回にも申し上げますが、SNSですぐにあることないことが拡散される時代に、説明もせず、じっと黙していれば、また、今回の件を触れるコメント投稿を削除すれば、皆が忘れるという感覚であること自体、企業のガバナンスとしていかがなものかと思われます。
 このブログでは触れていないですが、テニス選手とスポンサーの関係悪化の事例も間接的に聞き及んでいます。選手は目先のことでパツパツなのかは分かりませんが、業界全体としても、資金確保についてはその場しのぎで、計画性が感じられてきませんでしたので、今回のトラブルについては、テニスイベントではそういうこと起こりうるよね、という納得感も実はあったりします。

 ジュニアの子たちには夢を壊しかねない大人の事情、ですかね。

 また、今回の件は企業の体質ではなく、一職員の問題だとしても、イベント企画企業やマスコミにありがちなクライアントの使い捨ての悪い風習の表れの側面があると感じていますので、その話は次回掲載します。

続く