ジュニアテニス備忘録(16)ポリエステルガットへの変更時期 | 柵飯事2~shigaramimamagoto ~

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1 ポリエステルガットとナイロンガット
 ナイロンガットとポリエステルガットの比較は、様々なサイトに情報がありますので、詳細は割愛しますが、御存じのとおり、ポリエステルガットの優位性は、耐久性、コントロール性能、スピン性能ということとなります。
しかしながら、ポリエステルガットの性能保持期間は非常に短く、爽快に打てるのは基本的には10日程度、せいぜい2週間というのが一般的意見でしょう。また、女子を含めてジュニア競技者は、ミスショットによる角切れを含めて、数時間から数日でポリガットを切ってしまいますので、耐久性という面では、ナイロンガットに比べればはるかに持つと思いますが、大きな期待はしない方が良いと思われます。
 ナイロンガットのように、たわみ及びたわみ戻しが大きければ、トランポリン効果によって少ない力でボールは飛ばせますが、雑に言ってしまえば、ガットの中でボールが暴れて、想定よりも遠くに飛んでしまうということが指摘されています。もう少し言うと、ラケット面とボールが飛んでくる角度やインパクトの強さ、振り上げる方向によって、ガットのたわみ方が変わってくることが、強打をする選手にとっては、コントロール性能が乏しいと評価する要因です。
 一方、ポリガットはたわみ幅が少ないことから、強打をしなければボールは飛びませんが、その代わりボールが潰れやすく、潰れ戻りのチカラがボールを飛ばす要因に占める割合が高くなります。要は、ボールがラケットフェイスの中で暴れにくくなることから、振った方向に飛んできやすい、すなわちコントロールしやすいということとなります。
 さらにポリガットはガットの交差点の摩擦が小さいことから、縦のガットが動きやすく、スナップバックと呼ばれるその効果でスピン性能が上がるとされています。ガット性能は縦糸が大きく影響されることが実証されていることから、一般的にハイブリット張りをする場合には、縦ポリ、横ナイロン(又はナチュラル)ということとなりますが、さらに強力なパワーがある選手ですと、ボールの潰れが大きく、ラケット面でボールが暴れてというよりも、物理的に飛びすぎてしまうことから、エネルギー吸収性の高い縦を柔らかいものにしてバランスをとっています。錦織選手やフェデラー選手が有名なのは御存じのとおりです。
 
2 息子の場合
 さて、我が息子が縦横ナイロンを卒業したのは中一の途中だったと記憶してきます。これは、ナイロンが切れやすくなったことと、試合に向けてスピンをかけやすくする必要がある時期を迎えたという理由で、コーチから推奨されたものです。サーブ及びストロークは、スピンが多くかかればコートに収まりやすくなり、スピンを抑えればスピードが上がるという関係になっていますので、極端なことを言えば、スピン量の調整が試合の組立に関わってくるということです。
 初めは、ナイロンはモノで、ゲージは1.25、ポリは廉価で柔らかめで、ゲージは1.20と細めでスタートしたと記憶しており、これだけで、いきなりスピン量が増大したと記憶しています。また、インパクト時の衝撃が大きくなるポリはひじに対する影響が指摘されていますが、それはそのとおりで、一定の筋肉がついてからの使用を奨励されますね。
 その後、これも切れやすくなり、ゲージを上げたり、違う商品を試したりしましたが、中2の後半にはポリ×ポリになっていたと思います。何度もこのブログで触れていますが、我が息子はADD(注意欠陥障害)ですので、微妙な感覚の違いには無関心であり、パワーはなかったのですが、ポリの利点が単純にフィットしたためにそうした選択をしたと思います。繊細な感覚のお子さんであれば、ボールをガットがつかむ感覚が欲しくて引き続きハイブリッドを使用する場合も多いようです。
 
3 ポリ使用時期
 ポリガットはそれなりの価格がしますので、我が家ではこの時にロールガットとして、高校まで私がホームストリンガーをやって経費を抑えていましたが、そもそも、高校の部活でポリが1月切れないのであれば、スピン量が少ない打ち方と言えますので、最近増えてきた比較的耐久性があり、そこそこのスピン性能もあるナイロンガットの方が性能維持の期間が長いので、当面はそちらの方を選択した方がお得でしょう。
 ポリへの移行タイミングとしては、
・常時10日以内でナイロンが切れてしまう。
・体がある程度しっかりしてきた(ひじの負担)。
・スピンサーブが打てるようになった(きちんとしたスピンサーブは結構大変です。)。
・ショートクロスにチャレンジできるようになった(スピンコントロールをできるようになった。)。
などのいずれかが考えられます。
 ただし、サンデープレーヤーが飛びを抑えるためにポリにするという話を聞きますが、飛びを抑えるということは、パワーも減るということです。人の趣味にケチをつけるものではないとはいえ、そうしたプレーヤを見ると、そもそもポリを使用するようなパワーやスピン量ではなく、フォームや打点等別に改善すべきところがある場合が多いようです。
たわみ幅が大きいと、ストロークの場合、飛ぶというよりボールの軌道が上がりやすくなることからすれば、ポリの選択は、飛びを抑えるというよりは、コントロールをしやすくするためにするもの、という言い方の方が正しいと思われます。