ジュニアテニス備忘録(その11)なぜ海外の選手が強いのか私論(2) | 柵飯事2~shigaramimamagoto ~

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たまにユーロロックや日常についても投稿してます。

4 テニスクラブの立地
 テニスコートは相当の面積を伴う一方で、バレーボールやバスケットボールのように一度にプレーできる人数は多くありません。また、コート整備するための投資が必要であることから、一人当たりの使用面積が多い野球やサッカーを習う子供たちの主な練習場所が学校のグラウンドで対応可能なのに対して、ジュニアテニスの練習コートとして廉価で、かつ、交通の便の良い場所を確保するのは至難の業です。指導者も都市部に偏在していることから、ジュニアテニスの指導に力を入れているクラブは非常に限定的です。テニスブームのころは近郊農家が休閑農地の有効利用としてテニスコートを設置することが流行った時期もありましたが、そうしたところも都市化するとマンションや駐車場に変化し、残存している名門クラブは、オーナーや地主さんの意地、つまり、マーケットというよりは属人的な理由で維持されている状況で、ジュニア育成という意味では不安定であると言えます。
 また、例外もありますが、あまりにも田舎だと子供たちや指導者が集まらないですし、都市部だとコートが確保できないことから、ジュニアテニスの名門クラブは微妙な立地、つまり、ある程度の人口がある街の郊外にあるのが一般的でしょう。一方で、子供の人口が多い都市部の御家庭ですと、クラブが遠すぎてお子さんに競技テニスをさせるまでに至らないことが多いのではないかと思っています。そのため、名門クラブに通えるところにある特定の公立中学校から何人も強豪選手を輩出しているなど、テニス競技に適している潜在能力をお持ちの子供たちの参入が阻まれている状況と考えられます。街中には、公営のほか、企業や大学が保有するテニスコートがそれなりにあるのですが、これらは常時使用されていないのに、ジュニアに積極的に開放しているところは、ほぼないと言って良いかと思います。
 これらは、日本の地価に起因するものですが、潜在力のある子供たちをテニスに参入させるためには、使用頻度の低い都市部のコートを有効利用する、いわば最適化が不可欠と思いますが、そうした経営的視点でジュニア育成を考えている方は果たしているのでしょうか。
 
5 オムニコート
 オムニコートはバウンド後の勢いがなくなり、かつ高く跳ねないことから、ラリーが続きやすいサーフェスでありますが、海外大会でほぼ使用されておらず、かつ、ハードやクレートと比較してスピード又はスピンの特性が死んでしまうことから、オムニの練習や競技に慣れてしまうと海外では通用しにくくなると言われています。特に伊達公子さんがそれを強調されていました。
 この点については異論はないものの、小雨でも使用でき、大雨の後でも比較的すぐに使用できることから、日本においてはオムニは魔法のコートとされています。練習時間の確保や屋内施設化による高コスト化を回避する観点からすれば、特にローティーンまではオムニコートのメリットは大きいと思います。むしろ、オムニコートを完全にやめるよりは、多様なサーフェスでの練習や試合の機会の確保の方が現実的でしょう。一般愛好家がオムニを望むこともあって公営コートのオムニ化が異常なまでに進んでいますが、本当にこれは避けてもらいたいものです。
 
6 極東
 これは別に機会に書こうとは思いますが、日本の地理的不利さですね。一つはヨーロッパや北アメリカなど下部大会のサーッキットが盛んに開催されているエリアから遠いこと、そして、タイや中国では盛んに行われていますが、我が国における開催回数も非常に少ないと思います。将来有力視されている海外選手の大会や練習での来日もほとんどない状況ですから、日本人選手は海外遠征することになりますが、参加できる日本人選手はスポンサーのいる場合や御実家が裕福である場合に限られており、日本人全体での底上げが厳しい状況と言えます。
 
続く